宇部興産常盤工業用水【3】

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(「宇部興産常盤工業用水【2】」の続き)

情報この記事は工業用水管路の観点から記述しています。
笹山1丁目の生活道としての記事は こちら を参照してください。

恩田小学校の西門の先が何処へ向かうかは、鋳鉄蓋の位置が教えてくれる。校門を過ぎた先に斜めへ伸びる細い道があり、その途中に見えていた。


即ち管路はここで国道に別れを告げ、独自の経路を進み始める。
鋳鉄蓋はラーメン店前の通路上に存在する。


些か宣伝的かも知れないが、過去の事実なので記述しても差し支えないだろう…かつてここに「醤醤(じゃんじゃん)」というラーメン店が存在していた。
山口県西部は九州の食文化の影響を受けているせいかラーメンと言えば豚骨が常識で、巷にある個人経営のラーメン店は殆ど例外なく豚骨味のみを提供していた。(今でも多分にその傾向はある
そんな中、この店は豚骨を含めて多彩な味のラーメンや中華料理を提供する先駆けとなった店だった。若い世代をはじめとして客が押し寄せ大いに繁盛していたし、”ラーメンは豚骨が常識”を譲らない私ですら幾度となく利用した。
現在はどうなっているのか正直よく分からない…基本的に踏査時は店舗にカメラを向けないので

この道は最後の民家を過ぎると砂利道になり、両側に田畑が広がるようになる。
恩田小学校の西側にあるこの道は、昭和町方面に自転車で行くときにはよく通っていた。


一定幅の未舗装路が真っ直ぐ伸びている。両側の畑なども数十年前から全く今のままで変わっていない。


あぜ道の途中に鋳鉄蓋があり、紛れもなくこの下を通っていることを裏付けている。


このあぜ道は周囲の田畑に頓着することなく、真っ直ぐ平地を突っ切っている。恐らく工業用水導水路を布設する際に開削し、そのまま通路にしたのだろう。歩道や車道の下以外で独立した場所に布設された管路ではよくあることだ。

砂礫混じりの道で状態はあまり良くない。恐らく布設工事のとき出てきた砂礫がそのままの状態になっているのだろう。


やがて車が通行可能な別の舗装路(市道五反田笹山線)に交わるところでJR踏切に出会う。


ここで市道と共に芝中第一踏切を横断している。
踏切を渡った先の市道上に鋳鉄蓋が見えているだろう。


ここまでのあぜ道を振り返って撮影。
この写真だけ後日に撮影されている
ここに酷く錆び付いた表示板がある。私が小学生だった頃から立っていた。


恐らく”車は通れません”等の文言があったと思われるが、記憶が曖昧だし、表示板自体も全面が錆び付いていて文字がまったく判読できなかった。

この鋳鉄蓋から先は、どういう訳かまた導水路のすぐ上が自然の溝になっている。今までのあぜ道の方向からすれば、真っ直ぐ伸びていると考えるのが自然だ。


この溝も既にみた擬似開渠部自体と同様、管路布設の施工痕ではないかと考えている。

管路の上は溝で通路がないので、市道を使って迂回する。
市道はここでT字路に突き当たり、導水路を辿るには左へ曲がるようになる。ここにとっても気になるものがあるのだが…すぐ理解できるだろう。


このT字路の角にあるこのピンク色の建て屋である。
大きさは5m四方程度。簡素なアルミ製ドアと窓があり、電源を要する設備らしく屋上部分に引き込み線がある。


これはまさにその怪しい感じのする建て屋をポイントした拡大地図である。


当初、私はこの建て屋は導水路関連のポンプ室ではないかとみていたのだ。

順当に考えるなら、これは下水関連の処理施設だろう。位置エネルギーを失った汚水をここで汲み上げ、または加圧し、最終処分場まで流下させるためのポンプ室である。そのような設備は珍しいものではないし、目立たないだけで随所に点在する。

しかし今辿っている工業用水路も思えば本土手を出てから一度も加圧されていない。標高差だけを頼った完全な自然流下で工場群まで流れるのだろうかという疑問があった。
更に私が工業用水関連の設備ではないかと疑ったのは、この建て屋には施設名を明示する表示板が見あたらないこと、建て屋の横にある黄色い手すりが宇部興産(株)系の設備に共通してみられる点に依る。市の下水関連の設備なら、何処かに何の施設かを明示する表示があるものだ。
上の地図を見ても分かるように、管路はこのポンプ室の方ではなく開渠部分の下を通されている。恐らくは工業用水とは無関係な設備だろうが、未だ断定できないでいる。[1]

実のところ、この建て屋周りだけ丹念に多くの写真を撮っていた。
電気メーターも覗き込んで契約者名などが読み取れないか調べた…何も分からなかった
関連設備と判明すれば、この設備だけ本記事から切り離して別物件として記事を作成するかも知れない。


次の鋳鉄蓋はこの開渠から更に先の市道上に設置されていた。


ここからは工場群に向かって真っ直ぐ伸びていく。市道の路面上に鋳鉄蓋を見つけることができる。

市道松山通り線を横断する部分。


既に先方には工場群が見え始めている。


市道としては続いているが狭い一方通行区間に向かう。


一方通行区間の先に工場群が近くなってきた。


ここで4車線の市道東海岸通り線を横断する。その先方はまるで管路を避けるように建て屋が一定幅を空ける形で建っていた。


なお、東海岸通り線の下り車線に鋳鉄蓋が見えているが、これは市道に沿って伸びる汚水管か県企業局管理の2期工業用水道(他社所管)である。
管路はいずれとも交わらずその下をくぐっていると思われる。

市道を横断した先は(有)西村鉄工所の敷地内で、想像通りこの砂利道部分を通されている。


残念ながらここから先は私有地であり、進攻することはできない。


扉越しにズームしてみたが、その次の鋳鉄蓋は見つからなかった。


ここから先はセントラル硝子(株)の敷地になる筈だ。何処かで経路を変更して宇部興産(株)が独自に使っているのか、セントラル硝子側にも給水しているかは分からない。[2]

一連の経路図を国土地理院の地図に書き込んでみた。
地図上をマウスでドラッグすることで辿ることができる。


末信から伸びる常盤用水や厚東川1期導水路とは違い、社有の管路だから地図には経路が記載されない。ただ、今回辿ることができた西村鉄工所のところまでの大雑把な経路は概ね今まで辿ってきた通りと考えて良いだろう。

なお、一連の連載記事の題名を「宇部興産常盤用水」としたが、これは便宜上設定した呼称であって、正式名ではないかも知れない。本物件に関して新しい内容が知られたなら追記するか別途続編を作成しよう。
出典および編集追記:

1. この建屋はその後解体され人孔部分のみ露出したコンクリート構造に改変されている。

2. かつてはセントラル硝子側にも給水していたようである。

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