阿武川ダム・平成25年度見学会【1】

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現地踏査日:2013/7/27
記事公開日:2013/8/16
平成23年度見学会と同様で、時系列では「佐々並川発電所・第二次踏査【3】」の続きである。即ち初めて阿武川ダムを訪れた時と同じ順序を辿ったことになる。

思うに前回のダム見学会は不完全燃焼だった。監査廊が見学できなかったことは織り込み済みとして、ダム管理所に入って説明を聞いただけで堰堤を対岸まで渡ることもできなかった。
今回再び訪れたのは監査廊が見学できるようになったのを受けてである。前回は安全対策工事中で監査廊は入口までしか観られなかった。
それから2年経てば問題が解消されてダム堰堤を歩けるようになっているかも知れないし、一昨年と同様だったとしても担当者へ直談判すれば随伴を条件に右岸からの写真を撮れると思った。合わせて前回は計画すら立てていなかった佐々並川ダム訪問を盛り込むなら、この方面をまとめて片付ける行程が組めるという考えだった。

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佐々並川発電所から阿武川ダムは近い。エアコンが効く間もなかったし、軽四なのでダム管理所までの急坂はエアコンのスイッチを切らなければ馬力が出なかった…^^;

今回はダム事務所を過ぎた先にある正規の駐車場に停めた。前回は知らずに管理事務所職員専用の駐車場に停めてしまっていたので。


夏休みの土曜とは言っても仕事の人は結構あるし、何しろこの暑さだ。駐車場には一台も停まっていなかった。さほど関心を持たれず、見学会の存在すら知らない人が大勢と思われる中、単独でしかも二度目の訪問というコアな見学者も中にはあるわけだ…

駐車場の端から上の一枚を撮影するとき、まだダム堰堤の中ほどには例のバリケードが設置されているのが見えた。何処に問題があるのか分からないにしても、未だに一般来訪者はダム右岸まで歩いて行けないらしかった。
やはりダム管理所の担当者に直談判するしかない…
元々、普段は立ち入れない管理区域に職員随伴で観ることができるのが見学会である。担当者がつくなら右岸まで行くことはできるだろう。
それで一昨年と同様、まずはざっと周囲を見て回って最後にダム事務所へ立ち寄り、バリケードから先に入って写真を撮りたい旨申し出てみようと思った。

ダムカードの配布は管理事務所で行っている旨の案内が出ていた。
一昨年は写真に撮らなかっただけで同様に掲示されていた。


一昨年もダムの周辺は撮影しているので、なるべく前回撮っていないところを押さえていこうと思う。

その流れでさっそく気になるものが山の中腹に見つかった。
駐車場の端から撮ったこの写真の中にあるのだが、どれのことか分かるだろうか…


山の斜面に簡易トイレのようなものがある?


さて、これはダムに関係がある設備だろうか?
どう観てもイベント会場などに臨時設置される簡易トイレそのものである。こんな斜面に設置したって誰も利用しようがないじゃん…ってツッコミを入れたくなるような場所だ。


さっそくこれが何であるか分からない。その場所まで行く道もなく、外側が苔だらけなので棄てられているようにも思えた。しかしきちんと立てられているから意味あって設置されているのだろう。

今回は県道に沿って駐車場の端まで歩いてみた。
こちらはホンモノのトイレだ。ちょっとお手洗いに行きたくなったので。


写真を撮っていないがトイレの水は上水ではなかった。「この水は飲めません」の貼り紙がされていた。
本当言うとトイレよりもむしろ水分補給したかったのだが…

お手洗いの裏から阿武湖を眺めてみた。
一昨年に来たときよりもかなり水位が低い。


ズームで窺ってみた。
この斜路はボートを下ろす通路だろう。一昨年観たときは先端部分が水没していた。割と新しいもののようだ。


ボートを下ろす斜路は、大抵が昔のダム工事用道路の転用である。
宇部丸山ダムの工事用道路はボートを下ろす斜路ではなくそのまま遺っている

その右側には…
コンクリート階段が途中まで造られている。その下は普通の山の斜面のままだ。これは意味が分からない。一体何のための階段?
入水志願者をサポートするための階段だとか…^^;


もっともそこまで歩いて行こうとは思わなかった。遠すぎる。歩いていく時間はあれど、一昨年とは条件が違う。残念ながら右膝に障害を負って長距離を歩きづらくなってしまった。痛みが強まり始めたらダム監査廊の見学までできなくなってしまうので自重した。
佐々並川発電所の歩行踏査でも最後の方で軽い痛みが出ていた

遠浅状態になっているのはボートを下ろす斜路くらいのものだった。
殆どが赤土か露岩で埋められた急な斜面である。このあたり私の暮らす地域のダム湖とは大きく異なっている。


あの意味不明な階段を観たい気持ちもあったが、深追いせずここで引き返した。
多分入口に施錠門扉があって近づけなかったように思う

駐車場に他の車が入ってこないだけではなく、県道も殆ど車が通らない。
民家が一軒もなく、水道も来ていないような場所だから当然と言えば当然なのだが…


そうそう…
駐車場の一角にこんな石盤が設置されていると一昨年のこと掲載した。
そのすぐ横に何やら意味ありげなモニュメントがあったのを掲載し忘れていた。


見たところ普通とはちょっと違う色をした岩だ。その一部を円筒状の何かで削り取ったような形をしている。
まるでトンネルの貫通岩をそのまま持ってきたように見える。これは何だろうか?
尋ねるのを忘れてしまった


欄干部分は他のダムに比べてかなり低い。「阿武湖」の銘板が設置されている場所は古い街並みの歩道みたいなコンクリート板が敷かれていた。
ベンチもかなり古そうでダムが造られたのと同時期と思われる。
昔の常盤通りの歩道のような仕様だ


そこから取水塔付近を眺めているとき、一昨年も写したこれに気が付いた。


まるで宇宙船か人工衛星のような造りだ。一昨年観たときとほぼ同じ位置に浮いているが、傾きが大きく水没しかけているし錆つきも酷くなっている。
今はもう使われていない何かだろう。これは何だろうか?
これも何であるか尋ねるのを忘れてしまっていた…


この近辺はダム湖のうちで一番深い場所だから、水面下が見えないだけで結構大きいものかも知れない。

「欄干から身を乗り出さないでください。」の警告板。
これは伊達ではない。大人なら容易に落ちてしまうし、子どもでも高所の恐怖を学習していなければ手すりに両手を預ければ欄干の上に登れてしまう。


阿武川ダムの堤高は95mで県管理のダムで最も高い。[1]そしてダム裏は最も深いだけでなく、周囲は垂直壁で落ちたら上陸することが困難なのも他のダムと同じだ。

私としては…
既に下を写そうとここまでカメラを構えただけで背筋がザワザワとしてくる。


カメラだけを差し出して撮影したダム下の様子。
一昨年訪れたときは本当に怖くて撮影すら出来なかった。


このようなショットを得るにはとにかく手短にやる必要がある。別に自分が細心の注意を払って行動していても、ダム管理所に常駐する職員が観ていたら気が気ではないだろう…

ダム左岸のコンクリート壁に設置された石版。
陰刻部分に白や金などの色が入っていないので地味に見える。


さて、そろそろダム事務所の方へ行って頼み込んでみようか。
せっかくの見学会だから、担当者が随伴するなら撮影はできると思うので…

(「阿武川ダム・平成25年度見学会【2】」へ続く)

出典および編集追記:

1.「山口県のダム概要」山口県作成パンフレットによる。
県内ダムでの最高は国土交通省の管理する島地川ダムの120mである。

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