阿武川ダム・平成25年度見学会【4】

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(「阿武川ダム・平成25年度見学会【3】」の続き)

ダム管理所前に戻ってきたとき担当者から尋ねられた。
「管理所の方の見学は…どうなさいますか?」
「一昨年にお話を伺っていますんで結構です。今年から公開されるようになった監査廊をぜひとも観たいので…」
監査廊と発電所を見学し、それから現地へ到達するにもどれほど時間がかかるか分からない佐々並川ダムの視察を予定していたので、管理所での説明は受けなかった。ダムカードも一昨年もらっていたので辞退した。[1]
しかし監査廊見学の後で後述するような事情あって再び管理所を訪れることになった


担当者は監査廊と発電所の見学について、ここからの道のりを教えてくれた。もっとも一昨年訪れているのでその点は大丈夫だ。

最後にもう一度ダム管理事務所の近くからダム下を眺めた。
キャッチボールする発電所担当の職員の姿はなくなっていた。見学に訪れた来訪者に応対しているのだろう…


それでは…私もダム下に降りて発電所を訪れることとしよう。監査廊見学は発電所の敷地内から向かうことになっているので。

見学会用の幟。駐車場のすぐ近くに設置されていた。


さて、車に乗り込み一旦県道を下る。もっとも佐々並川ダムを訪れるので見学後は再び県道を上ってくることになる。坂の麓まで下って右折し、ふれあい会館などの建物の前を過ぎて更に先だ。

ふれあい会館前を通り過ぎている。右側の黒いものはカメラのストラップである。


一旦ダム堰堤が隠れ、先の分岐を左に行く形になる。
道路そのものはこの先つづら折れ有りの11%登り勾配という厳しい坂道になる。


一昨年はここで間違ったんだった。
確かに新阿武川発電所に向かう入口はここなのだが…


直前の3枚掲載したこの道路は県道ではない。しかしこの写真一枚だけ見ると、如何にもダム管理所へ向かう県道のように見えてしまう。特に発電所を訪れた帰りに道を間違いがちである。これは農林の道で、県道の下をくぐってあらぬ方向に進んでしまう。一昨年はこれで「してやられた」のだった。
引き返さなかったので元の県道に戻るまで酷い遠回りになった

暑いので車の中から撮影している。
一昨年一度訪れているからこの先の状況は頭に入っていた。


新阿武川発電所の門扉である。阿武川ダムの見学会向け幟とは異なり、単に「施設開放実施中」とだけ白抜きされた幟が立っていた。
他の施設と共用できるように発電所名を入れていないのかも…


当然ながら見学会開催期以外は門扉が閉まっていて入れない筈である。しかし自分は見学会以外で訪れたことがないので、普段は撮影に立ち入れない場所でありながらそういう実感はない。

門扉の内側は衝立のように聳えるダム本体、正面に発電建屋があって山の斜面側に昇圧設備、河川側が駐車場となっている。


発電所の敷地内なので本来は「新阿武川発電所・平成25年度見学会」としてファイルを更新すべきなのだが、後で記事化するとき写真を共用するとしてこのまま書き続けよう…

一昨年は駐車場に車を停めたとき、既に発電所担当の職員が出迎えていたのだった。
今年は監査廊が見学できるので、最初に監査廊入口の方に向かう。実際、待機していた担当者が私に気付いて準備を始めていた。


誰の姿もなかったら周囲をじっくり撮影しようと思ったが、車から降りて姿を見せていながらいつまでも訪れないのでは担当者も予定が立たないから、すぐに監査廊の方へ向かった。

私が接近する様子を見て担当者は資料を整えスタンバイしていた。


一昨年もしたように、監査廊へ向かうまでの短い間にサッと周囲を撮影した。


何度見ても驚愕を覚える水圧鉄管。
可能ならあとでじっくりと撮影したい…一昨年は詳細には撮れていなかった。


駐車場は発電建屋に隣接していて、シャッターが開いているので外部からの来訪者はすぐに分かる。見学志願者を待たせてはいけないという心遣いからか、車から降りたときには既に担当者が出迎えている。真摯な応対はありがたいが、本当はもうちょっと自由に撮影したいのだが…
手を伸ばせば届く位置に変圧設備があり見学者を自由に歩き回らせれば危険だという事情もあるのだろう

監査廊のところで案内役として待機していたのは、先ほどとは別の担当者だった。
丁重に挨拶され、手元の資料を提示された。

開放された監査廊の入口に立つだけで、奥から涼しい風が吹き出す天然のクーラー入場口となっていた。
一昨年来たとき入口にあった工事中の札は取り除かれていた。


担当者は正面からの図を拡げ、図面にある設備の概要を説明すると共にこれから向かう経路を提示した。


担当者は図面の経路を指でなぞりつつ説明した。
「現在、この赤丸印の場所に私たちは居ます。これからこの図の赤い線のところを歩いて行きます。」
まったくの憶測だが、そこまでの説明をざっと受けただけで傍目にも現場上がりのプロといった印象を受けた。[2]
「それでは案内します。」


暗いトンネルの中へ向かっていくのは一般人にはそれほど気持ち良いことではないかも知れない。しかし私にとっては真逆だ。何しろこの暑さだ…奥からかなりの勢いで冷気が吹き出しているので本当に有り難い環境だし、サーチライト貸与で中に潜んでいるものをじっくり観察できるなら、半日くらいだって平気で居続けるだろう…
夏の格好をしているので寒さで体調を崩すかも知れないが…

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前もってお伝えしていた通り、後続の2編は限定公開記事になる。特に本年度の見学会ではネタバレ的要素を含むので公平を期するため事前公開も行わず完全に登録読者限定にしている。

注意次編以降の2巻は限定公開記事です。閲覧するには申請が必要です。
(状態:執筆完了、版:2014/8/1編集)


時系列での一般公開の後続記事はこちら。

(「阿武川ダム・平成25年度見学会【7】」へ続く)

出典および編集追記:

1. ダムカードは現地来訪者に対して一人一枚限定で配布されている。しかしカード配布済みの来訪者を記録照合するシステムがないので、時期を変えて訪れた場合、申し出なければ結果的に複数枚配布されることになる。この点について現在では特に問題視されていないようである。
以前は居住市などの記載を求められたが個人情報保護の兼ね合いから現在は省略されている

2. ダム管理事務所に常駐する担当者は現場経験が殆どない職員から、当該ダム建設で職務に携わった現場上がりの職員まで様々のようだ。断定はできないが、現場上がりの職員は当然ながら土木施工の技術や設計に詳しく、殆ど何を質問しても納得いく答が返ってくる。特に複数人で歩いているとき、同期職員の間の会話でふと口を突いて出てしまう土木の専門用語で推測できる場合がある。

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