一の坂ダム【1】

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(「一の坂ダム【序】」の続き)

全く迷うことなく一の坂ダムに到着し、ダム管理事務所の駐車場に車を停めた。
さて、平成24年度ダム見学会のトップバッターは一の坂川ダムと相成った。
見学会等予定一覧表にも記載されている通り、一の坂ダムは見学会期間の前半たった2日しか開催されない。そのため早くから今日か明日のどちらかで訪れる予定をたてていた。

一の坂ダムは初めて訪れたダムなので、去年もしたようにまず通常でも見学可能な場所の撮影を行い、一通り撮り終わってからダム管理事務所に向かおうと思った。


撮影後車に戻らずそのままダム管理事務所に行くことになるので、ポケットに替えのバッテリーを入れておいた。

車から出るや、顔をモワーッとした空気が撫でた。梅雨が明けきらないせいか、とても蒸し暑い。
一の坂ダムはそれなりに市街部を離れた標高100m程度のところにあるのだが、体感的には市街部と殆ど変わらない気温だ。今日が特別な天候なのだろうか…

駐車場からダム湖が見えるので接近してみた。

殆ど無風なので湖面は鏡のようだ。カラッと晴れ渡って青空が広がれば写真映えがするのだが、何処かで雨が降っているのか湿度が高く空の色も冴えない。景色に関しては今日は良い写真が期待できないと感じた。


駐車場の手すりからカメラだけ出して真下を眺める。
身を乗り出す…わけがない…怖くてそんな真似など出来ない
作業用のボートを降ろす斜路だろう。中央が階段、両側にレールが付属している。どこのダムでも大抵ある設備だ。
あのコンクリート階段は一体どの深さまで続いているのだろうかいつも気になる


怖いと言えば、ダムの背面は押し黙った怖さがある。前面はあからさまな高さが恐怖を醸し出すが、背面はダム湖水に隠されて深さが計り知れない種の恐怖だ。


背景が明るすぎるのであまり綺麗には撮れなかったがダム裏の原典画像だ。
中央に四角く白い穴が空いている部分が通常の放水口で、現に湖水を吐き出していた。拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


背面に張り出す形で放流塔らしきものが見える。内側に階段が付属するのは初めて見るパターンだ。
堰堤右岸接続部にここからでも気になるものが見えた。
橙色の「直角カーブあり」の標識がある右横に見える扉らしきものは一体…?
ダムを数多く観てきているので多分あれだろうと想像はついたが…


来るときは車で通りすぎたダム堰堤の方に歩いた。
一の坂ダムの堰堤はそう広くはないが、普通車も自由に通行可能である。


一の坂ダムの銘板。その右下、灌木に隠れるようにひっそりと山口県知事の銘板が設置されていた。


昭和58年3月竣工、県管理のダムである。県内のダムでは割と新しい方だ。


下流側の一角に案内図が集まっていた。


概要の説明板。
河川維持のために造られたダムであることが明記されている。諸元はオリジナルサイズでないと読めないが、県のサイトに記載されているので詳細画像は割愛する。


周辺の案内図。
この案内図にはまだ「21世紀の森・学習展示場」が案内されているが、この施設は平成23年度末をもって廃止されている。
以前は国道側にも案内板が出ていた…2度ほど訪れたことがある


錦鶏(きんけい)湖という案内板。
一の坂ダム設置によって生まれたダム湖に対して与えられた名前だ。


錦鶏湖の由来は、この上流にある一対の滝による。滝全体の流れ落ちる様が鶏の鳴く姿に見えることから名付けられている。
「Wikipedia - 錦鶏の滝」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8C%A6%E9%B6%8F%E3%81%AE%E6%BB%9D
ところで、せっかくダム湖名の標識板を造りながら、設置する場所が悪いのでは…
ここから見えるのはダムの前面の放水路部分である。ダムの背面、水を湛えている側に設置しなければ来訪者には何のことか分かりづらいだろう。

その錦鶏湖をダム堰堤から再度撮影してみた。
やはり写りがイマイチだ。高曇りのような空なので光量不足気味になって写真にメリハリがない。


ダム前面。典型的な重力式ダムである。
放水路の右岸寄りに赤い屋根の建物がとても気になる。まあ、多分今回の見学会でも訪れることになろうとは感じたが…


その更に下流側には薄汚れたコンクリートの建屋が見える。
赤い屋根の建物が載った台座部分の中腹に、斜めにスパッと切られたトンネル状の排水路が見えている。あの高さに設置されていることと、その奇妙な断面が興味深い。
現在位置以外からは見えない…何のためのものかはよく分からない


少し放水路部分に接近して撮影する。
言うまでもなく手すりから手だけ出しての撮影だ。今こうして写真を眺めているだけでも何だかゾワゾワする。
空中に差し出されたカメラはもっと怖い思いをしただろう…^^;


堰堤を真っ直ぐ進んで右岸の山に突き当たる場所に、駐車場からも見えていた扉があった。気になったがそこまでは歩かなかった。
どのみち見学会で右岸まで行くだろうし、帰りに車を回そうと思ったからだ。とにかくあまりにも蒸し暑く、なるべくなら歩きたくない。こんな天候の元で影のないダム堰堤部を歩いているだけでチリチリになってしまいそうなのだ。
早く涼しいダム管理事務所か監査廊に入りたい気分だった

ダム堰堤上から管理事務所を眺めている。
さっき湖面に伸びる階段が見えた場所にボート格納庫があった。


先ほどはあの上から真下を撮影していた。


ダム堰堤を歩き、先ほど立て札が寄り集まっていた場所を撮影している。
ダムの袖部分に特有な多段構造になっている。監査廊入口に続いており、この部分は大抵のダムは通常立入禁止になっている。


そろそろ頃合いも良かろうかと引き返してダム管理事務所の玄関に向かうまでもなく、迎えに来られるように係員から声を掛けられた。
「ダム見学会の方ですね?」
「はい。そうですが…見学開始は11時からですよね?」
「いえ、よろしいですよ。どうぞ…」
先ほどダム堰堤の方に歩くとき、遠巻きにこちらを見ていらした職員だった。先の来訪者が帰って見学者が居なくて手が空いているようだ。

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(「一の坂ダム【2】」へ続く)

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