五十鈴川堰堤

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現地踏査日:2012/7/21
記事公開日:2011/8/4
五十鈴川堰堤は椹野川の支流である五十鈴川の上流にある。
堰堤の位置図を示している。


この地図には五十鈴川という名前は現れていない。上流部に溜め池の表示が見えるので、そこに堰堤があるだろうという想像がつくのみだ。
むしろ地図で目立つのは「法泉寺のシンパク」という予備知識がなければ分からない名所の存在だ。相当に有名なもので国土地理院の地図でも名所として記載されている。


さて、いきなり市外の堰堤を記事として登場させれば「そんな細かなところまでやるの?」と訝られるだろう。

前置きしておくことに五十鈴川の上流部にあるこの堰堤自体はそれほど著名なものではない。この記事を五十鈴川堰堤としてダム・堰堤カテゴリとして収録したのもこの場所を訪れてみようという気にさせた別の理由からだった。その要因たるや話せば読者を激しく脱力せしめるかも知れない。

さて、冒頭の地図を航空映像モードに切り替え思い切り拡大してみよう。


」の字を横向きにした何かが
そこにある。
以前、ダム見学会から離れて荒谷ダムを訪れたことがあった。訪問に先立ち、そこへ至る道を調べたり上空からの眺めが如何ほどであるかを知るためにしばしばYahoo!の地図を参照する。そのとき荒谷ダムから一の坂ダム周辺も合わせて参照していて偶然見つけたのである。

これは一体、何だろう?
堰堤の直下にあるものと言えば、ポンプ室など灌漑用水関連の設備が想起される。ちょっと変わった形だがそのようなコンクリート製の建屋があっても不思議はない。しかし映像から見る限り、異様にその縁が太くハッキリ写っている。ペンキで塗られているのか、それともたまたま撮影角度や光の当たり方の関係でこのような状態に写り込んでいるのだろうか…と想像を巡らせていた。
「Yahoo!地図で見つけた気になる場所【1】」
http://blogs.yahoo.co.jp/sta_vanilla/64972811.html
上記の記事に限らず、訪れようとする地域の周辺を航空映像などで眺めていて予定外に奇妙なものを見つける例は少なくない。それが近場なら折を見て踏査コースに組み入れて正体を突き止めに行くこともある。
もっともいくら酔狂な物件を見つける性癖があれど、地図で見つけた謎の物体の正体を確かめるだけの目的でわざわざ車を市外まで走らせはしない。ただ、一の坂ダムから尾根を一つ隔てた五十鈴川にあるので、この方面を訪れる機会があれば立ち寄ってみようかと以前から決めていた。このたびダム見学会で一の坂ダムを訪れることになったので、踏査ルートに組み込んだ。

なお、一話で完結させるために通常の規定内(一ページに概ね写真20枚)以上の画像を埋め込んでいる。読み込みが遅いかも知れないがご了承いただきたい。

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一の坂ダムの見学会を終えて県道をそのまま引き返し、上竪小路交差点から国道9号を走る。
地図によれば県庁前交差点を過ぎた次の交差点から山側に向かうことになる。地図には記載がないが確か県庁西交差点だったと思う。

地図で予備知識を得ていた通り、その道は県庁裏手で急に細くなっていた。そこで左折し、五十鈴川沿いに谷地を遡行する道を見つけるのにそう苦労はなかった。
細い道は次第に急勾配の坂になった。その途中で法泉寺のシンパクを案内する立て札が見えるが、取りあえず標高を上げていく左の分岐を進んだ。
この写真自体は帰り際に撮影している


かなり厳しい坂を登った先で意外に道幅が広がっていた。
散策ポイントとして整備されているらしく東屋や案内板などがあった。


この先で道は直角に右へ折れ、堰堤の上を渡っていた。道中一台の車ともすれ違わなかった。県庁交差点付近の喧噪とは対極的な場所だ。しかし天気が良く周囲も見渡せるので陰鬱と言ったイメージはない。

東屋の前に設置された案内板には、この周辺の散策路と名所の位置が示されていた。
今回は堰堤を渡るだけだったが、その先にも駐車場があるようだ。


「五十鈴川都市対策砂防ダム」という表記があることから、山の土が雨で押し流されて五十鈴川が底上げされてしまことを防ぐのが主眼のようだ。

上の写真は案内板の全体が入るアングルを意図しながら、実はいきなりネタバレにならないよう若干離れて撮影しているのである。この周辺案内図には例の「凸」の図が記載され、それが何であるかも書かれていたからだ。

さて、正体を自分の目で確かめカメラで持ち帰るために堰堤へ向かって歩く。
ここから先は車では何処にも抜けられない筈である。


五十鈴川砂防堰堤の碑という立派な石碑が据えられている。市街部に近い重要な砂防堰堤のせいか、それなりの投資を行っているようだ。


平仮名で「いすずがわえんてい」と書かれている。
堰堤の踏査が目的ではなかったのであまり丁寧に撮影していない


砂防ダムとは言っても土砂流出だけを防ぐのではなく、ある程度貯水して川の流速も緩和している。
灌漑目的もあるようだ。


堰堤によって造られた湖はそれほど大きくはない。
水生植物の影響か、水は妖しい紺碧を呈していた。


下流側は堰堤ながら結構な高さがある。目測で10m程度だろうか。


正直な話、堰堤自体には興味が薄かったのでこの他には対岸からのこの一枚を撮影しただけだ。


関心の対象は、航空映像で見つけたあの物件の正体である。もちろん左岸から撮影した上の写真を撮るまでにも自分は目にしていたわけで…

写真の枚数は多くなったが、民放の番組みたいに次編へ続く…などと引っ張る積もりもないので正体を明かそう。


欄干の隙間から見えかけているものの正体が推測できただろうか。

横向きの「凸」の形をした
プールだった。


こんなものを拡大画像で眺めても仕方ないと言えばそれまでだが…
大きな原典画像を載せておいた。拡大対象画像です。
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クリックすれば元のサイズに戻ります。


ポンプ室と思っていたその物体の正体は平板なプールだった。航空映像では高さの要素が殆ど把握できずプールとは予測していなかった。

拡大写真を観ても分かるとおり、酷く荒れ果てている。底のコンクリートは至る所ひび割れており、まったく水が溜まっていない。また、凸の字を目立たせる原因となった縁取り部分のタイルもかなり剥がれている。もはや管理されていないのは明らかで、殆ど廃物件とも言える様相だった。

堰堤の真下は五十鈴川堰堤のエプロンに相当するものがあり、その一角を利用してポンプ室と凸池(何)が設置されていた。その下は駐車場になっており、親水公園のようになっていた。


プールと言うよりはちょっと趣向を凝らした人工池と呼ぶべきだろう。
それでも敢えてプールと表現したのは、案内板にもそのように記載されているからだ。かつては子どもたちがパシャパシャ水遊びをしていたのだろうか…


正体が分かってしまえば「以上、オワリ」状態である。しかしせっかくここまで来たのだから、接近して観察しようと思った。
来るとき見つけた「シンパク」を案内するあの立て札の分岐から右の道を行くことは容易に理解できた。しかしその入口を見つけるのはちょっと戸惑った。近くに民家が数軒あり、民家の進入路と紛らわしかったからだ。

立て札のあった場所から鋭角に曲がり、再び五十鈴川を遡行する。
この道はかなり酷い。殆ど車が通った形跡がなかった。至る所で勢いづいた木の枝が道に垂れ込めていた。車の進攻がかなり不安だったが、この近辺は私有地らしく勝手に車を停める訳にもいかなかった。


「法泉寺のシンパク」を案内する表示柱を見つけた。
しかし先述の通りここを訪れたときにはシンパクが何たるかを全く理解していなかったので、この写真を撮るにとどめておいた。


堰堤を前にして最後はかなりきつい坂だった。
こんな酷い道の先に駐車場とは…と思えるような状況だった。

凸池は駐車場の階段を上がった先にある。
堰堤上から視認されていた通り、プールの周辺まで雑草が進出している。堰堤からは河川維持相当分の水が流れ出ていた。


凸池に近づく。
深さは精々30cm程度で昇降口はない。また、中央に飾り石が設置されていることからして、まず子どもたちが泳ぎ回るプールではないだろう。
あんな石を据えていたら怪我の元だ


廃物カテゴリに収録した方が良かったのでは…とすら思える荒れっぷり。砂防堰堤と同時期に親水公園を意図して整備したものの、殆ど利用されず管理の手を離れている状況が想起される。


堰堤の上に立っていてはまず気付くことができない眺めがここにあった。勘の良い方なら3枚上の写真を眺めた時点で気付いたかも知れない。


人面堰堤?拡大対象画像です。
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南小羽山にある調整池もそうだけど、何故か砂防堰堤って人の顔に似てしまうみたいである。

河川勾配が急なので副ダムを設置して水の勢いを弱めているようだ。
泳げば涼しいだろうが、この水の色と周囲の状況からして泳ぐなんてとんでもない…sweat


風流な形の橋が架かっている。しかし時期柄その先は藪に埋もれていて渡ろうという気が起きなかった。


写真にはないが、五十鈴川の流れは清澄で水量も豊富だった。岩場が多く傾斜も急だが、自己責任の上で水遊びするにはいい場所だろう。
もっとも私としては小さな疑問だけ解決できたので充分である。あの凸池あたりもう少し整備すれば夏場でも人々の憩う場になるとは思うが、市民でもないので特に要望する積もりもない。
ここまで整備しておきながら勿体ないなあとは思うけど

しかし…
例えばの話、あの凸池の横に同じ位の大きさで凹池か凹の字の縁取り付きステージを造ったとしよう。

現地へ行った人々は何のことやら分からないが、ネットの航空映像で眺めた人にだけ「凹凸」の字が視認できてネタに気付く…という仕掛けを造るとか…まあそこまでやらないよね^^;


【追記】(8/4, 12:00)

山口県企業局の水力発電支援事業の案内ページに五十鈴川堰堤の写真一枚が掲載されている。
「山口県|企業局総務課|小水力発電開発技術支援事業のご案内」
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a40100/topic/20120718001.html
単なるイメージとしての写真掲載かも知れないが、小水力発電の対象になっているのかも…

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