厚東川ダム・平成23年度見学会【4】

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(「厚東川ダム・平成23年度見学会【3】」の続き)

帰りにゲート室を通るのは早かった。担当者が開けた窓を閉めるとき立ち止まった程度で、私も思いがけない収穫を得たことに満足し後に続いた。

ゲート室から出て担当者は再び入口の扉を施錠した。
扉のすぐ横に割と新しい制御ボックスと樋門らしき設備があった。
字が小さくて見辛いが、水質自動観測装置という表示が見える。


この場所はいつでも自由に立ち入れる場所というわけではないが、見学会以外でもダム堰堤入口から観ることができる。
チェーンがあるので一般には立ち入れないが外側からズームで眺めることが可能

この後で見学するコントロールパネルもダム事務所が開いているとき申し出れば随時見学可能である。
したがって最終章となる本編は限定公開ではなく、いつでも閲覧できる一般公開にしておく。
すぐ横に酷く錆び付いた樋門のような残骸があった。
「宇部興産(株)向けの古い発電用取水口です。今は使われていません。」
手で回すためとしか思えない取っ手が付いているのが何とも原始的な気がする。


この機器に隣接して現在使われている樋門が2基あった。


宇部興産(株)取水口操作盤と表示されている。
恐らくここからだけでなくダム事務所側からも制御可能なのだろう。


ダム堰堤を出た後、担当者は元通り黄色いチェーンを掛けておいた。
「コントロールパネルをご覧になりますか?」
「はい。お願いします。」
それはダム事務所内で職員のデスクがある反対側の一室に納められていた。

秀麗な眺めや驚きの物件こそなかったが、パシパシと写真撮影した。今後の工業用水や関連設備に係る参考になりそうな情報が得られたからだ。

ゲートを操作する制御盤。
8門のゲートに対して「全閉」と「遠方」のところが点灯している。ゲートの今の状態と、遠隔操作されていることを示すのだろう。


ゲート制御盤の横に、ダムの水位をはじめダム水がどう遷移しているかをリアルタイムで示すパネルがあった。


現在はゲートは全閉なので放流量はゼロ、厚東川発電所向けの取水も現在行っておらずゼロ、河川維持用として排砂バルブ(ダム右岸下部にある2つの穴)から 0.54m3の放流を行っていて、このトータルがダムからの放流量となる。
上水工水取水量3.85m3は、企業局の設置した二俣瀬発電所のタービンを回して工業用水として厚東川1期導水路に送られる分、丸山ダム取水量の0.92m3は、小野湖の取水口から圧力隧道と鋼管によって丸山ダム湖に送られる分である。
丸山ダム向けの流下量が0.92m3/秒というデータを元に計算するとダム水は鋼管内で約7cm/秒、圧力隧道内を6cm/秒で丸山ダム湖に向けて移動していることになる…取水口・注水口付近を目視しても分からない位の穏やかさだ
「こっちが主に工業用水関係の制御盤になります。」
そうそう…
これが見たかった のだ。


アジトへ持ち帰って分析しやすいように、パーツ毎に撮影した。
Φ4000の鋼管内を0.93m3で流れていることが表示されている…流量の積算値が物凄い…^^;


ダム事務所では「隧道」と言えば、暗黙に厚東川1期導水路のことを指すようだ。
水位は1.4m以上を指しており、これは思った以上に多い感じだ。
厚東川水路橋の開渠部では精々数十センチレベルで流れている


電圧計とアラート関連のランプ群。


のシールが貼られている部分は、操作によって点灯することもあるようだ。


Φ4000というのは言うまでもなく丸山ダム湖との連絡導水路部分が地表部に現れている「鋼管」部分である。遠隔操作系や流量計のトラブルが通知される。
「一期隧道水位異常」は、破損などがあって水位が急変動したときのためだろうか。
「低水路」「バイパス制御弁」などが何処の設備をさすのかは分からない。以前「鋼管」付近から出発して県道の下をくぐり、厚東川発電所に向かう管理道に沿って伸びる経路を見つけている。そのことかも知れない。
確かにバイパスのような経路を取っている…どういう役割があるのかは未だに分からない

ダム堰堤の左岸接続部では謎の柱をパシパシ写しまくり、ダム事務所に戻ればコントロールパネルを丹念に写し…この見学者は大丈夫だろうか…と思われたかも知れない^^;
「今日はいろいろと面倒な我が儘に付き合って下さいまして…ありがとうございました。」
そして見学会で撮影してきた映像や動画をブログに公開(見学時はまだホームページなど影も形もなかった)することについて承諾を頂いた。
しかし参加を楽しみにしている見学者のプレミアム性を保つためにも一部は限定公開のままにしておきます

ともあれ、地元に居ながら初めて目にするものが沢山あったし、次の踏査に向けて新たなアクションを促す課題も手にしたのであった。

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