佐波川ダム・平成26年度見学会【2】

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(「佐波川ダム・平成26年度見学会【1】」の続き)

一応、平成26年度見学会の連載記事として作成しているが、本編と後続1編は見学会ではなく佐波川ダムに付随する道路や佐波川発電所の取水塔が主体となる。道路は佐波川ダム堰堤の左岸接続部から山と言うか岩をくり抜いて造られた素堀りっぽいトンネルである。
記事を分割するとカテゴリ間を飛び回って読みづらいし分割作業も面倒なので継続記事としている。将来的に3度目以降の訪問があって更に該当項目の記事が増えたなら以下の部分は隧道カテゴリないしは山口市道の独立記事に移動するかも知れない。

参照用のインデックスを設置しておいた。

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《 佐波川ダム・左岸接続部の素堀り風トンネル 》
初めて訪れたときは何処に続いているかもどの位の長さかも分からなかった。
状況が分かっている今なら怖じ気づくことなく余裕をもって調べられる。
トンネルカテゴリから閲覧された読者は初回訪問時の記事も参照されたい


ポータルは正方形で扁額はない。高さ制限のバーが設置されている代わりに幅の制限標示はなかった。通れるどうかは自分で判断してくれ的な規制だ。

内部は削った岩にコンクリートを吹き付けたそのまんまだ。
入口近くの自然光が届く範囲は苔が生えているし雑草も根付いていた。初めて訪れれば道路というよりは坑道というイメージを持つだろう。


どの程度鮮明に撮影できるか新しいデジカメの力量が試される場面だ。
フラッシュオフで撮影している。
なかなか巧く撮れてるじゃん![1]


前のカメラならもっと暗くて不鮮明な映像だっただろう。周囲が暗いときは感応度レベルを変えて鮮明に写るよう光量調整してくれるようだ。写真では出来すぎの感じさえする。肉眼では実際これほど明るく鮮明には見えない。路面が割と綺麗にアスファルト舗装されていることも判明した。

振り返って外を撮影。カメラは外の明るさを基準に光量を自動調整するのでトンネル内は暗く写る。
トンネルの幅は堰堤の幅そのものと一致している。


さて、先に進もう。

この写真など、何だか現実離れしている…スタジオのセットかミニチュア内を歩いているような映像だ。
左側に大きく抉れたように見えている場所が洞内分岐である。


比較対照用に数歩進んでフラッシュ撮影してみた。
天井の蛍光灯自体が鮮明に写る代わりに写真全体はやや暗くなっている。実際の見え方はこれより更に暗い。
洞内分岐部分の断面や大きさが肉眼では分からない程度


位置関係が分かりやすいように動画モードにして周辺を歩きながら撮影してみた。

[再生時間: 58秒]


初回訪問時にはタイムリーと言うかこの洞内分岐付近を撮影している最中にトンネルを通る一般車があった。今回は静かなもので車も通行人の姿もなかった。

取水塔に向かう分岐部分。前方の明かりが見えている。
本線の天井に設置された蛍光灯と前方の明かりだけでこれほど鮮明に撮影できた。


分岐路は直線で天井には蛍光灯がついていなかった。普通の格好で歩くと頭が天井に閊えてしまうので首をすくめて歩くことになる。
この経路も立入禁止にはなっておらず誰でも歩いて入ることができる。もっともその度胸がある人なら…の話だ。
こういう暗闇が怖いとか耐え難いという人がいらっしゃるのも事実


門扉の前まで来た。前方のダム湖側からモワーッとした生温かな風が吹いてくる。
バッテリーを節約したかったので今回はフラッシュ撮影しなかった。壁から滲み出る水や結露のせいか周囲はべちゃべちゃである。


ここから先は企業局の管理区域だから門扉は当然施錠されていた。初回訪問時は予想外の洞内分岐に興奮を覚えつつ、何とか頑張ってこの先を撮影しようと頑張ったものだった。

門扉から外側は現場打ちのボックスカルバート状になっている。真っ直ぐ湖面に向かう部分と、直角に左へ折れて取水塔に向かう部分に分かれている。


湖面へ向かう部分はその先に通路などがなくいきなり急斜面となっているようだ。ここは恐らく洞内分岐部分の明かりを確保するために真っ直ぐ掘ったのだろう。

門扉の格子は両手を通せるだけの幅があった。カメラのストラップに腕を通して思い切り両手を伸ばし、取水塔の通路側へカメラを向けた。前回はカメラが回収不能になることが怖くて思い切れなかった。


大丈夫…万が一カメラを落としても扉の周辺は平坦な通路だから回収可能だ。
カメラの機能を頼りにズームする。


コンクリート壁が切れる少し手前から鋼板の床になっている。崖の外側になるのだろう。
その先の扉には普通ならまず目にすることも能わない「関係者以外立入禁止」の札が貼られていた。


佐波川ダムに造られた設備とは言っても発電所関連は企業局管理だ。ダム本体とは異なるので個別の見学対象にも対応してもらえないだろう。ダメ元でこの後の見学会で尋ねてみようとは思うが…[2]
取水塔へ到達する手段はこの分岐路以外にないので、定期点検のときにはここを通っている筈である。取水塔の内部は他の一般的なダムと同じだろう。ワイヤに吊り下げられたゲートがあって定期点検時に閉められる。取水口や山の中を通る導水路がどうなっているかは…関係者のみ知る世界だ。

門扉を背に撮影。
ズーム撮影に執心するあまり壁に貼られた選択取水塔の銘板を撮るのを忘れてしまった


洞内分岐の接続部分。
本線側の蛍光灯の明かりだけでこの程度が撮影できた。
やっぱり少々高くても最新のカメラを買わないと駄目だなーと実感した次第


更に上流側へ向かって歩いた。
日光から遮断された世界なのでトンネル内は至って涼しい。ゴツゴツした壁や天井は湧水で湿潤していて、天井からは頻繁に水滴が落ちていた。初回訪問時はさすがに怖くておどろおどろしく感じられたが、状況を知った今では足元の状態がよく分からないのが不安なのを除いて涼しく実に快適な空間だ。

洞内分岐を過ぎると素堀りトンネルはやや大きく左へカーブしている。
このためトンネルのどちら側から覗いても出口側は見えない。


そう言えば前回見落としていたものとして、壁には一定間隔で白ペンキで数字が描かれていた。
赤いペンキも見える。補修箇所を示したものだろうか。


直線部分。
先のカーブの部分だけ半径がきつい曲がりになっているので、両側から掘り進めてきて貫通したところで通りやすいように繋げたようなイメージを受ける。


ここから先の一定区間は何故か蛍光灯がないか点灯してない。
そのため足元や壁の状態がまったく分からないまま歩くことになる。


前回訪れたときはどうだったろうか…これほど長い真っ暗な区間はなかったような気がする。蛍光灯が切れたまま取り替えられずにいるのだろうか。市街地に近い地下道なら有り得ない話でも殆ど車も通らない自己責任で通ってくださいという道だ。

しかし今や勝手知った素堀り風トンネルなので、むしろ涼しさを堪能しながら真っ直ぐ歩いていった。

(「佐波川ダム・平成26年度見学会【3】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 現地ではファインダーを覗いたときの状態だけ確認して撮影し再生はしていなかった。そのためどれほど鮮明に撮れているか分からず、アジトへ帰って想像以上に巧く写っていることに驚いた次第だった。

2. ダム見学会の対象となっていない。ダム管理事務所では鍵を持っていないという回答だった。

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