佐波川ダム・平成26年度見学会【4】

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(「佐波川ダム・平成26年度見学会【3】」の続き)

堰堤を戻りながら歩きダム管理事務所へカメラを向けたときだった。
ダム事務所から出て外を眺めていらっしゃる職員の姿があった。


手摺りに腕をかけて外を眺めていらっしゃるが、多分見学者に対応する準備をしようとなさっているのだろう。
「ダム見学会の来訪者らしいけど早くに車が停まったのになかなかコッチへ来ないなー」と思われているんだろうか…
前回もそうだったけどもう少し待って下さいまし…何度も来れる場所ではないから写しておきたい場所が沢山あるので。

思えばダム管理事務所の立地も凄い。殆ど露岩から成る斜面に建てているようで、岩に吹付けを施してコンクリートで平場を造っている。点検用のボートへ降りる階段や斜面は全部コンクリートで固めたのだろう。

ダム事務所の上流側はもの凄い切り立った斜面だ。
汀部分からいきなり深くなっているようで空恐ろしい。ダム以前は相当な崖が続いていたようだ。


ダム下流側の駐車場拡張部分や燃料庫は崖面に垂直擁壁(恐らくウェブソル工法)を設置して平場を確保していた。そうでなければこれほどのスペースは確保しようがない。


ウェブソル工法が世に出回り始めたのは平成時代に入ってからのことである。必要に迫られて追加スペースを確保するために施工したのだろう。[1]

駐車場のすぐ横にトイレがあることを知っていたので、ちょっと小休止する。
トイレの壁から堰堤が割と良いアングルで望めるようだ。


四角い穴にレンズを突っ込んで撮影している。
トイレの壁の外はすぐ垂直壁だ。あまりやり過ぎるとカメラが穴から落下して回収不能になってしまう…sweat


このトイレの側面に大原湖周辺の案内図が貼られていた。


ダム管理事務所へ向かう道は山口市道下出合釣山線という路線名が記載されていた。


案内図ではダム事務所の裏側を通って上流側へ行く道が記載されていた。
そんな所に道があるのだろうか…そのことは初回訪問のときも疑問に思っていた。

ダム事務所入り口近くにある案内標識。これは初回訪問時にも撮影した。
よく見ると行き先がダム管理事務所の方を向いているのである。


愛鳥林1.5kmの行き先はダム管理事務所方向だ。こっちに道があるのだろうか…


じらすようだがまだダム管理事務所の玄関には入らず、建物と崖の間に近づいてみた。
なるほど…愛鳥林エリアと書かれていて建物と崖の間を通って良いようになっていた。


初回訪問時には通らなかった…と言うか、道があるとは思わなかった。
ちょっと行ってみよう。ダム裏の写真を撮れるかも知れない。

落石ネットの張られた崖とダム管理事務所の狭い通路を過ぎると、裏口みたいな場所に出てきた。


ここって勝手に通って良いの?と思えるような雰囲気だ。しかし案内標識通り確かに道があった。
ボートへ降りる階段への通路も場所が分かった。ここからダム裏が撮影できそうだ。


階段の降り口手前には低くロープが張られていた。さすがにこれを跨いでどんどん下って行ったら担当者から制止がかかるだろう…それでお行儀よくロープの手前で立ち止まりカメラを構えた。

ダム裏のショットだ。前回ここまで来ていないのでこのアングルからは初めてである。
ダム湖の水が隠しているから分からないだけで、実際は先ほど堰堤上から真下を眺めてゾッとした程の高低差を隠し持っている筈なのだ。


ここで数枚撮影した。[2]
既に見たように左岸側の同じ場所は素堀り風トンネルなので撮影は不可能である。
願わくばもう少し離れた場所から撮影したい。ダム管理事務所の壁があるので堰堤全体が入らないのである。標識通りの愛鳥林まで行く積もりはなかったが、もう少し先まで探ってみることにした。

遊歩道は小さな燃料庫の前を通っていた。
火気厳禁の札が貼ってあるので、これも非常用電源確保のためのものだろう。


台風など不測の事態で電源断に見舞われるとゲート操作ができなくなってしまう。ゲート操作を必要としないダムでも水位変動などのデータは逐次県土木事務所など各方面へ送出しているので、このような非常用の燃料庫はどのダムにもかならず設置されている。[3]このコンクリート平屋は小ぶりで古そうなので、先に見た垂直壁の燃料庫を後から造ったのだろう。

燃料庫を過ぎると急な崖の中腹を進む山道となった。
湖側も雑木が結構生えていて眺めが効かなかった。


網場を固定するアンカーである。
写真では分かりづらいが、湖へ向かって降りているワイヤーの角度が半端なく急だ。ここで足を滑らせたら一気に湖面まで転がり落ちてしまう。


100mくらい歩いたが湖側の木々が退く様子がなくダム裏を眺められる場所がなさそうなので適当なところで引き返した。

擬木の手摺りが備わっているところもあった。しかし手摺りのないところは本当に怖い。
足元も崖から転がってきた石が結構散乱していて、うっかり踏み付けてズルッとなったら恐ろしい。


殆ど成果なく再び戻ってきた。
結局ダム裏が眺められるのは管理事務所の裏側だけになりそうだ。


暑い中を歩き回ってさすがに喉がカラカラだ。
一旦車に戻り、お茶を飲みまくった。


喉を潤した後、ダム管理事務所に向かった。
今度こそは本当にダム見学会だ。


扉は解錠されていた。最初、素直にドアを開けて中に入ったのだが、職員を呼び出すブザーは玄関入口横に付いていたので、改めて押し直した。

注意本編以降の第5〜8巻は限定公開記事です。閲覧するには申請が必要です。
(状態:執筆完了、記事作成日:2014/8/14)

(「佐波川ダム・平成26年度見学会【5】」へ続く)

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見学会の限定公開部分を飛ばした一般公開の後続記事は第9巻になる。

(「佐波川ダム・平成26年度見学会【9】」へ)

出典および編集追記:

1. 市道奥宇内線での施工経験に基づく推測。開発はもっと早かったかも知れないが、この場所の垂直壁は平成期に入ってからのものだろう。

2. 異なるアングルのものを総括記事に掲載している。

3. ダム管理事務所の内部に設置されている場合もある。

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