菅野ダム

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記事公開日:2016/7/31
菅野(すがの)ダムは、錦川の上流、向道ダムの下流側に位置する多目的ダムである。
写真は右岸側国道434号の路肩に立って撮影している。


ダム余水吐を中心にポイントした地図を掲載する。


総括的な内容がWikipedia[1]と県のサイト[2]に公開されている。
ダムの概要は以上の項目を観て頂くこととして、ここでは補完的な内容を記載する。
《 アクセス 》
山陽側から向かうには、国道2号三田川交差点から国道315号を北進する。国道が山あいへ分け入る直前に右手に徳山発電所の水圧鉄管がわずかに見える。杉ヶ峠を越えて須々万の集落地を通る市道か、または須々万バイパス(国道376号の一部)を経由して国道434号を更に北上する。

小さな峠を越えると菅野湖が見えて次第に標高を下げていく。きついカーブの後にトンネルを抜けるとすぐ右側がダム管理事務所である。


国道を挟んで両側にダム管理事務所の駐車場がある。また、国道自体は菅野ダムの堰堤上を通って錦川の右岸側へ移っている。


菅野発電所がダム直下にあるが、見学会のときを含めてダム管理所から直接向かうことはない。これは菅野ダムが県土木課管理であるのに対し、菅野発電所は県企業局で管理主体が異なるためである。
《 特記事項 》
・錦川におけるもっとも主要かつ貯水量の大きなダムである。錦川自体は長距離を蛇行しつつ岩国に注いでいるが、周南地域の工業用水および電力需要に対応するため下流のダムと連携して用水と電力を供給している。

・菅野ダムは直下にある菅野発電所においてピーク時発電を行っている。即ち電力需要の高いときに菅野湖から取り出す水量を増やし、そうでないときは発電を停止している。電力需要と工業用水需要のタイミングはかならずしも一致しないので、電力のみ特に増強したい場合でもダム水は流れ出てしまう。この水を後で工業用水向けに有効利用するために下流の水越ダムにある水越逆調整池に貯留し、徳山導水路によって周南の工業地帯に工業用水を送出している。工業用水は徳山発電所で再度発電にも利用される。

・右岸側で国道434号は直角に折れている。反対側は県道8号徳山光線の起点となっているが、大雨などでしばしば通行止めになる。このT字路部分の正面に何の標示もされていない鉄格子のかかったトンネルがある。


これはダムのグラウト横坑で、何も活用されていない。国道の正面から見えるため一定量のドライバーの視線を惹きつけているだろう。

・大変に山の深い場所で、ダム管理事務所ではクマの目撃情報がある。写真は平成25年度ダム見学会において掲示された目撃談。拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。
管理事務所の入口付近に掲示されていて誰でも見ることができた


下流にある水越ダム事務所でも職員が小グマを目撃している。

・選択取水塔が堰堤の国道上に設置されている。国道を往来する車は塔の下をくぐる形になる。当初発電用の取水位置が固定されていたものを後年選択取水塔として平成10年に追加設置されたためである。
水圧鉄管も部分的に付け替えられており、途中で折れ曲がっている。詳細は菅野発電所の項目を参照。
《 見学会情報 》
・夏季の「森と湖に親しむ旬間」における見学会の対象ダムであり、ダムカードの配布も行っている。見学記念にダム管理所で幟を持った状態で記念撮影し写真を配布するサービスがされていた。
2016年には菅野ダム50周年を記念して特別のパネル展示が行われたほか、50周年バージョンのダムカードが制作され現地見学者に配布された。(2016/7/31)

・堤高が高く、ダム下で水力発電を行っている構成は阿武川ダムと同様である。このためダムと発電所を共に見学する場合は先にダム管理事務所を訪れることを求められる。ダム管理所では管理室の見学と説明のみとなる。発電所までの道のりが遠く入口が分かりづらいので、ダム説明の終了後、担当者によって車の誘導が行われる。これは発電所は企業局管理となり管轄が異なるためである。なお、平成28年度見学会は菅野発電所への管理道が7月度豪雨で被災したため中止となっている。
ダム監査廊の見学はかつて最深部まで行われていたが、引率者および見学者の負担を考慮して最上段の監査廊のみに限定された。引率も随時ではなく30分ごとに見学者をまとめて実行するよう変更されている。(2016/7/31)
《 個人的関わり 》
かつて錦川総合開発事務所へ車を走らせた頃、必ず堰堤上を通ったダムである。
ダムを渡った後、国道434号は左へ直角に折れる。路肩の外は深い谷なのだが、雑木が伸びすぎていて以前から谷底は見えなかった。運転しながらでは僅かに菅野発電所から伸びるNo.1鉄塔が見えるだけだった。


懸垂碍子の片方が殆ど下向きになり、送電線が著しく下方に引っ張られている。このことからまだ見ぬ菅野ダム下の谷の深さを想像したものだった。当時から興味はあったが、デジタルカメラ普及以前の時代であり、ダム管理所に車を停めて眺めたり撮影するには至らなかったようである。
平成23年の夏季に開催された見学会でのレポート。

限定公開記事: 菅野ダム・平成23年度見学会
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 菅野ダム

2.「山口県|河川課|菅野ダム

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