湯免ダム【序】

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現地踏査日:2012/7/21
記事公開日:2011/7/29
湯免(ゆめん)ダムは、長門市の三隅地区にある辻並川の上流に造られたダムである。

下の位置図で場所を確認して頂こう。


平成18年度に完成したダムで県内では極めて新しい。反映の遅い上のYahoo!地図を航空映像モードに切り替えると、まだダム湖も堰堤も観られない。

現在こそ整備された県道秋芳三隅線により、峠のトンネルを一つ経て容易にアクセスできるが、私の記憶によれば平成期に入るまで車が無理なく通れる峠道はなかったのではと思う。
それ以外に関してこの近辺に関して持ち合わせる個人的な知識はない。言い換えれば私にとって「まったく初めて訪れる地」である。調べれば判る客観事項を私がくだくだしく説明することもないので、ダムに関する予備知識は県のサイトを参照して頂こう。
「山口県|河川課|湯免ダム」
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a18600/dam/yumen.html
例によって本編では現地へ行くまでの経路とダムを目前にした道草を時系列に沿って収録している。ダム本編は「湯免ダム【1】」から始まっている。

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平成24年度・森と湖に親しむ旬間が始まり、本年度最初の訪問地として一の坂ダムを見学したのが昼前のことだった。
21日の時点ではまだ梅雨明け宣言が出ておらずもの凄く蒸し暑かった。一の坂ダムとその近くにある別の物件を踏査した時点でかなりの疲労を感じていた。気候が良くないので湯免ダム行きについては日を改めようか迷っていた。
一の坂ダムは21日と22日しか見学会がなかった…湯免ダムは期日をおいて後半にも2日ほど見学会期間があったので日を改める余地はあった

次の見学先として当初決めていた湯免ダムは三隅町にあり、山口市内からだと国道435号と県道を継いで行くことができた。やや遠く感じられたが、昼食を取って一息ついて元気を取り戻したので予定通り湯免ダムを目指すことにした。
吉敷西交差点から国道435号に入る。迷う要素はなく、秋吉で県道に乗り換える場所だけ注意が必要くらいに感じていた。初めて通る国道でもなく、少なくとも一年以内に秋吉側から走ったことがあった。

ところが…
以前走ったことがある筈の国道を逆から通っただけで、予想しない事態に苦しまされることになる。殆ど湯免ダムとは無関係なのだが、山口側から国道435号に入ると信じられないほど登り坂がきついのである。
登坂車線が続く真っ直ぐな登り坂を延々進むことになる。非力な軽四のせいかサードにしてもエアコンのスイッチを切らなければスピードが出ない。30km/hがやっとで、後続の原チャリにすら追い越される始末だった。
まいった。車を運転しているのにまるで自転車で峠に挑んでいるみたいに汗だくになった。
何処か調子が悪いのかも…

峠のトンネルを過ぎると、気候は急速に悪化した。ちょっと灰色っぽい雲が前方に見えたかと思うと、それこそ叩き付けるようなもの凄い雨。ワイパーを最高速にしても追いつかない程だった。この国道はそう幅が広くない上にちょっとした駐車帯もなく、停まって豪雨をやり過ごすことも出来なかった。


これが峠を越えて次の300m程度のトンネルを過ぎた途端、晴れ間が広がり路面はカラカラに乾いているというのだから恐れ入った。まったく天候の変化が極端だ。

県道に入る頃には晴れ渡って見た目はかなり快適な空になった。
実際はもの凄く蒸し暑い


何処にでもある小川のように細くなった厚東川の上流部を渡った先で湯免ダムの案内板が見えた。


峠を登っていくというイメージは殆どない。既に充分標高が上がっているようで、程なくして峠越えの大水峠トンネルを迎える。


最高地点はトンネルの美祢市側にあるようで、トンネルに入るや一本調子の下り勾配になる。
この下りはトンネルを出てもなお続き、やがて左下にダム湖の末端が見えてくる。


ダム湖もダム堰堤も道路から見下ろせる。
見落とそうにも見過ごしようがない程分かりやすい位置にあるダムだ。


ダム事務所も道路から見えていたが、その手前でダム裏を眺められる駐車場を見つけたので車を乗り入れた。


ダム事務所まで行くとダム裏の全容を撮影できない。少し離れた場所から撮ろうと思ったのと、長いこと神経張りつめた運転だったので、目的地を射程内において休息したいのもあった。

駐車場からダム裏を眺める。
眺めは効くが、薄曇りの空なのでやはり写真映えがしない。


この駐車場の横から湖底に向かっている道を見つけた。
車が間違って入り込まないようチェーンが施されているが、歩いて入るのは別に構わないらしい。


多分あれだろうという想像はついていた。
まあ、慌てることもないのでカメラを持ったまま偵察してみた。

くにゃくにゃと曲がりながらダム湖の方へ降りている。


かなりの勾配で下っていく。
当たり前だが先まで歩けば引き返して来なければならない。しかも帰りは登りだ。暑いのであまり長く歩きたくないのだが…


そんな驚くべき結末は待っていないだろう。
それでも何となく末端まで歩いてしまいたい心境になっていた。


まさか…昔の道なんてことはないだろう。
ガードレールは古いが足元はコンクリート舗装されていたからだ。


最後の方は勾配がきつくなっていた。


やはり…全く予想通りの結末になっていた。


下っていく道はダム湖に吸い込まれて終わりだった。水位が高いのでここから先は分からないが、恐らく同じ勾配で下っているのだろう。
これは恐らくダムの工事用道路の痕跡だろう。ダムによっては湖にボートを浮かべるときの搬入路として転用されていることもある。

もう少しダム裏が広く眺められると思ったが、木々が成長してしまっていて眺めを遮っていた。


足早に引き返す。
霞がかかったような空で見るからに暑そうだろう。


再び駐車場に戻ってきたとき、ダム事務所の手前にちょっと気になる階段を見つけた。


ズーム撮影している。
踊り場のある階段が湖面まで続いており、まるでボートの発着場のようなものが造られていた。あの場所まで行けるのだろうか…


まあ、それは見学会が始まってからのことだろう。
まずはダム管理事務所に向かおう。すぐに見学会参加ではなく、一の坂ダムのときと同じように周囲の撮影が必要だからだ。

(「湯免ダム【1】」へ続く)

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