厚東変電所

変電所インデックスに戻る

情報この記事は山陽本線の厚東変電所について記述しています。
山陽新幹線の新厚東変電所については こちら を参照してください。
記事作成日:2014/6/5
厚東変電所はJR山陽本線向けの設備で、山口変電所よりJR西日本厚東線を経て送電されている。


正門の位置をポイントした地図を示す。


野山時代、厚東変電所は自転車で到達可能なくらいの距離にあった。後述する変電所横にある踏切の写真があるので、変電所にも少なくとも一度は訪れている。しかし当時はそこまで物件範囲を拡げておらず変電所の写真は一枚もない。今回も撮影は変電所そのものが目的ではなく、山陽本線の踏切や橋りょうにみられる地名記録の副産物だった。

変電所の銘板。
JR西日本となっているが国鉄時代から存在していた変電所である。


変電所の北側を国道2号が通っている。
厚東変電所への電力は山口変電所から一回線による送電鉄塔で送られる。


国道の近くにみられる13番鉄塔をズームしている。
タイプとしては中国電力が変電所間に設置する一回線鉄塔と同じだが、この種の鉄塔を見慣れていると通常のものと違うことに気付く。
腕金が妙に長い。


国道2号のこの区間は親父の運転する車で何度も通っている。窓から外を眺めていた幼少期から普通と違う変な形だなーと気付いていた。
鉄塔自体が折れ点に設置されているので導体が躯体に触れないよう長くしているのかも知れないが、現在ではその場合内回り側の腕金を短くするのが普通である。まあ尋常な精神の持ち主ならこんなところまで観察していない。幼い頃から興味をもって眺めているものに対してはこういう点にまで及ぶものなのである。

次の14番鉄塔は不可解なことに異常に高い。
この高い鉄塔から足元の変電所に向けて導体を降ろしている。


そして変電所への15番引き込み鉄塔は山陽新幹線の橋りょうよりずっと低いのである。


このアンバランスな状況は約一ヶ月前に自転車で訪れたときに気付いた。

そのときに撮ったのがこの映像である。
14番鉄塔だけが突出して高いことがよく分かるだろう。[2014/2/11]


一つ手前の14番鉄塔が異様に高いのは、現在となっては意味がなくなっている。もしかするとこの場所で山陽新幹線側にも給電する計画だったのではないかと想像される。実際には山陽新幹線側には接続されていない。
山陽新幹線の岡山博多間が営業開始したのは昭和50年のこと[1]なので、JR西日本厚東線(恐らく国鉄厚東線などという名称だったとは思うが)や厚東変電所が造られた時期からそう離れていない。14番鉄塔を嵩上げしたものの、既存の送電系では容量不足などの問題を解決できなかったので別途山陽新幹線向けに新厚東変電所を造った…という事情があるのかもと思った。[2]

最後の鉄塔が15番で、JR西日本厚東線という路線名になっていた。
昭和47年7月設置ということなので、自分が幼少期に眺め始めた時期とほぼ重なる。


さて、ここまでの写真は変電所正門から一旦西側へ歩き、戻りながら撮影している。西日がきつくて太陽を背にするアングルでなければ画像を結ばなかったからだ。

ここが変電所敷地の西の端になる。
フェンスの外側まで近づこうにも農道との間に自然の溝があるのとほいとを隠し持った枯れ草が蔓延り接近を拒んでいた。


十字架のような形をした鉄塔は宇部岬変電所でも見かけた。
基本的な設備群は概ね共通するようだ。


正門まで戻ってきた。
このすぐ内側に興味深いものがあるのだが…西日が本当にきつい。


井戸である。
それも電動式ではなく手押しポンプ式だ。傍には水道栓も設置されていた。


変電所に何で井戸が…と思うのは捻ればいつでも清水が出てくるのが当たり前な現代の生活に慣れているからだ。厚東変電所向けの送電鉄塔が設置されたのが昭和47年なら、当時は厚東区一帯のどの民家にも井戸に水資源を求めていた。次第に電動ポンプが普及したが、手押しポンプの井戸もまだかなり遺っていると思う。

今度は正門から山陽本線の方へ歩いてみた。
架線へ接続される部分を撮影している。


逆光を避けるために一旦踏切を渡って反対側から撮影している。
線路と変電所のフェンスの間は草刈りされておらず接近できなかった。


農道は変電所の横を万治踏切で渡っている。
万治とはこの近辺の小字である。


四角いプレハブ小屋の側面からコードが伸びていて架線に繋がっている。
お約束のブーンという電気音がここまで聞こえていた。


下り線と上り線の表示がそれぞれ小野田方面・本由良方面となっている。
宇部・小郡となっていないのは、隣接する饋電区分所からだろうか。


碍子を拡大撮影。
何とも言えない奇妙な形である。


電気音を採取するために動画モードでも撮影しておいた。

[再生時間: 34秒]


音を放っているのは敷地の中央に置かれている箱からのようだ。


ズーム撮影。
こんな箱から四六時中異音を発しているわけだから、さすがに民家が近くにないような場所に造られるわけである。


JR関連の変電所で市内にあるものと言ったら、ここと宇部岬変電所くらいしか思い付かない。あと、居能駅のすぐ西側に居能饋電区分所がある。
厚東変電所はたまたま目に着いたのと、新厚東変電所を先に記事化していたので、近くを訪れた折りに撮影しついでながら作成しただけである。個人的関わりもなく、この総括的記事だけで足りるだろう。
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 山陽新幹線|概要

2. この記事を書き終えた後のこと、地理院地図で厚東変電所付近を表示させていて送電鉄塔が変電所の横を過ぎて厚東川より更に南へ向かっているように記載されていることに気付いた。現在ではこの経路は存在しないが、かつて西日本旅客鉄道株式会社厚東高圧線と呼ばれる送電系があったようだ。14番鉄塔が高いのは、かつては山陽新幹線の上を跨いで架線を通していたからと思われる。

ホームに戻る