西宇部変電所【2】

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(「西宇部変電所【1】」の続き)

そいつは私がここへ来たときには居なかった。
撮影を始めてカメラを構えてあちこち移動している間にコッソリやって来て、私の挙動を逐一監視していたらしい。
このショットを撮影しようとして気が付いた。


…と言っても私以上にお節介で詮索好きな人間ではなく…
喚き立てる黒いカラスだった。


周囲に他のカラスは居らず、こいつ一匹だけだった。
下でカメラを構える私に向かって威嚇するように嘴を突きだし、何か主張している。

忌々しいこの挑発ガラスを動画撮影した。
お前は全世界の晒し者だ^^;
[再生時間: 17秒]


動画の通り、こいつは高電圧など全く意に介さない様子で鉄骨の上をぴょんぴょん移動していた。未だ電気の怖さを学習していないのだろうか…
もしかするとバチッ!!☆と火花が散って黒焦げカラスが落下するシーンを観られるかも…と思ったが、そうならないと確信を持って行動しているようだ。
カラスには漏れ出る電磁波を感じ取る能力があるのだろうか…

なおも動かず、同じ場所でコッチを凝視しながらガーガー喚き続ける黒ガラス。


知らん。勝手に鳴いてろ。
無視無視…^^;

一旦離れて全体像を撮影しようとしたのだが…
それでなくても逆光なのに薄曇りの空模様なので、明るさ調整がとっても面倒だ。普通に遠景を撮ろうとしたら背景が真っ黒になるか、こんな感じで白トビになってしまう。


離れて撮影してみて初めて電気音を発散している機器の横にもケヤリムシ・フラワー(何)が設置されていることに気付いた。
台座のパイプ部分の側面にのシールが貼られている。


どうもあのマークは業界の人だけに分かる位相を示す記号のようだ。配列が逆順になることはあっても同じ図形に違う色が塗られることはないらしい。

思えばまだ変電所の向こうに見えかけている建屋をズーム撮影していなかった。

再び門型鉄塔の前に戻る。
性悪カラスはまだコッチを見下ろしつつ喚いていた。無視無視…^^;


天気が薄曇りで光量不足になるのでズームするとピントが甘くなるのは避けられない。
イメージアップのためか外壁には縦筋にペイントされている。屋上に置かれた錆びだらけのタンクが気になる。


まるで大手デパートを思わせるような巨大な建屋である。
中は一体どうなっているんだろう…見学できるようなときが来るだろうか…(まずないだろう


煙突本体を支える下部の部材もかなり酷く錆が出ているのが見える。
もう使われず廃モノとなってしまっているのだろうか…
風向を示す吹き流しが寂しくたなびいていた


ズーム撮影しているものの、被写体が自分でないことにすねたのか(?)カラスは右横の鉄柱に飛び移り、やがて去っていった。

さっきまでカラスが留まっていた門型鉄塔。
2連の碍子でダブルの活線を引っ張っており、ジャンパ線はかなり離れたところを通っている。


絶縁が目的だから、2連ある碍子の鉄塔に取り付けられた側は殆ど電気が来ていない筈だ。もっとも人間やカラスの方が碍子より良導体なので、鉄骨を辿って近づけばバシッ☆!!となってしまうだろう。
当然黒焦げ…しかしカラスならこれ以上黒くは…^^;
このあたり工業用水や道路とは違って流れる様子は何も見えず音もしないのに、接近すれば明白な結果を引き起こすのが電気の怖いところであり面白いところだ。

通用門からフェンスの奥に向かう側は舗装されており、その先に別の平屋があった。
細かな金網が邪魔して撮影できないので、フェンスの上から有刺鉄線の間を通してカメラを横向けにしている。
背伸びしての撮影…腕が攣りそうだ^^;


宇部岬変電所で見つけたあの小屋と同じ機能だろう。
大きさから位置関係までそっくり…正面に配電盤とかかれた出入口があり、右側にはこれまた出入りに苦労するような幅の狭いドアがある。


幅の狭いドアの奥にあるのはどうやらトイレらしい。臭突は見あたらないが、ズームして観察すると「トイレ」と書いてあるように読める。
ドア部分だけズームしたかったが撮影の姿勢的に限界だった
宇部岬変電所の建屋もそうだったけど、トイレのドアがこんな幅狭とは…中電では体格がでっぷり太っていてトイレが近い人は変電所構内のメンテナンス要員は勤まらないかも知れない(嘘笑)

さて、フェンス前から離れて三角溜め池側に広がる空き地に向かった。

2系統ある鉄塔の基礎。
地表に露出している部分だけでも厚さ1m程度ある。階段などはなくこの上に登るのはちょっとしたタスクだった。


送出方向の眺め。
向かって右側が協和宇部線、左側が宇部変電所に向かう経路だ。


現在いる基礎の近くまで沼地が押し寄せている。元々軟弱な地盤なので広範囲に基礎を打って鉄塔を建てたのだろう。
周囲は少しずつ水際が得意な植物に進出されており、沼地部分はいずれ埋め尽くされるのではなかろうか。


宇部変電所向けの鉄塔は鉄骨の脚部分だけ巻き立てる通常の基礎となっている。この場所は割と早くから陸地部分だったらしい。


この乾いた平場から少し離れて、溜め池の中に立っている鉄塔がある。
異様に暗いが天候が急変してきた訳ではない


よく見ると桟橋らしきものが設置されていた。鉄塔の脚はコンクリート巻きになっているものの補助部材を含めて水に浸かっている。大丈夫なんだろうか…


可能なら桟橋に近づいて観察してみたいと思った。

この辺りは正規のネットフェンスから離して別の仮設フェンスが張られていた。そのフェンスは…


こんな具合に溜め池の汀近くまで接近していた。
どうしてこんな中途半端なところに柵を造ったものだろう。この外側を辿れないこともないが、幅の狭い土手部分を歩けるだろうか…


狭い土手の下まで沼地が迫ってきている。無理なら別に接近などしなくても良いのだが…
うーん…どうしようか…

(「西宇部変電所【3】」へ続く)

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