新山口変電所・初回調査【3】

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(「新山口変電所・初回調査【2】」の続き)

ここまで記事を作成していて、撮影対象によっては写真サイズを大きくしなければ迫力に欠けることに気付いた。特に水平方向に細かなヒダの目立つ碍子を撮影したとき、モアレが出て画像が不鮮明になりやすい。
そこで気持ち悪さ(?)を強調したいターゲットは、大きなサイズの写真に差し替えた。マークのある画像ではマウスを載せると拡大、ダブルクリックで最大化、シングルクリックで元に戻るように設定している。
当初はマウスオーバーで拡大され、マウスを画像から離せば元のサイズに戻るようにしていた。しかし拡大表示でブラウザ画面にスクロールバーが現れたとき、マウスを動かすと画像が元に戻ってしまう。そのため些か不自然だが画像の拡大・縮小に上記のような操作を割り当てている。

【追記】(12/20)
この11/30にSkyDrive側で実施された更新により、表示画像サイズや仕様が若干変わったので合わせてソースの変更を行った。


それでは続きをどうぞ♪
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正門を過ぎたあたりから、敷地内のあらゆるものがビッグサイズになってきた。
単に大きいだけではなく、全く見たこともない奇妙な気持ち悪い形をした機器が集結している。

理由は想像がついた。
本州の背骨部分を縦断する電気の大動脈とも言える超高圧線がここに接続されているからだ。次のコーナーを過ぎた先に立っている送電鉄塔がそうである。


経路図によれば、新山口変電所は県内の中央部に沿って進むルートと関門海峡を横断して九州に向かうルートの中間点に位置する。
ここから九州に向かう超高圧送電鉄塔は、周囲の影響を避けるためか近傍の最も高い山地に沿って通されている。それらは立地こそ山口県内にあるものの、九州電力の管轄とされている。

超高圧送電の規格は500Kv(50万ボルト)で、県内で普通に見かけるどの幹線・支線よりも高圧である。市内にあっては山岳部を通る比較的大きなものでも精々220Kvだ。
昇圧して送電するのは、電送中のロスを減らすためである。送水するのに細い開渠などで個別に流すと蒸散で失われやすいが、ポンプアップして水圧を高め、太い導水路にすればロスが少なく効率的なのと感覚的に似ている。
太い導水路で大量の水を送る場合、強烈な水圧や漏水に耐える堅牢なダクタイル鋳鉄管などが用いられるように、電力の場合も漏電や高圧による絶縁破壊に耐えられるよう堅牢な設備が必要になる。

超高圧線を吊っている碍子。
ワイヤーが複数本なのでV吊りになっているが、その碍子がちょっと変わっている。
通常のヒダがある長尺タイプではなく、ワイヤーを中心に算盤玉のような碍子を多数繋げている。 (碍子間のくびれが大きいのでそう見えるだけかも…
何故かところどころ違う色の碍子を挟んでいて、まるで青空をキャンバスに巨大なビーズクラフトを作って遊んでいるようだ。


ジャンパ線は3重線で、門型鉄塔からは5mくらい離して吊られている。それほど絶縁を破ろうとする力が大きいのだろう。
門型鉄塔の梁部分中央に通路らしきものが見えるのだが…まさか…

これは恐らく先に見たガス遮断器と思う。横長のパイプの両端に柱状碍子が生えている点が共通している。
しかし大きさは全く異なり、まるで化け物のようだ。
比較対象となるものがないので分かりづらいが、機器の横に据えられている物置みたいな制御盤が人の背丈に相当する。言い換えれば碍子の部分だけでアパートの2階建てくらいの高さがあるのだ。拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


ズームして遮断器の端に貼られている表示板を確かめた。
関門連系線2号とある。あの関門海峡を一跨ぎしている系統だろう。
横置きのパイプの直径が何ともデカい。


この周囲にあるものが如何に巨大で現実離れした形をしているか…
大きな写真に差し替えたからじっくり堪能して頂こう。拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。

拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


柱状碍子の一本をズーム。
ズームするとその気持ち悪さもかなりのものだ。
レストランにある大きなプレート皿をどんどん積み上げたらこれに似たものが造れるのでは…


そして今回の踏査で”気持ち悪さ度ナンバー・ワン”の座を獲得した機器だ。

碍子の数が物凄い。三角柱状に張り巡らされた碍子はまるでクリスマスツリーだ。意味あってこういう配置になっているんだろうけど、夜点滅させてイルミネーションにする積もりなのかという感じ。
そして2つのツリーを結ぶその中央にあるエイリアンの如き物体拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


気持ち悪いっ!!!
何なんだこれはっ!! 拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


見学会とかあったら是非とも尋ねてみたい。
あのクニャクニャした管は一体何?
何でそんな形でなくちゃいけないの?
碍子ツリーの先端に一本の鋼管みたいなものが渡されているのだが…
その中央部分はくっついているのかどうか分からない。とにかく意味不明に曲がったオブジェが絡み合うように配置されている。それも一つや二つではない。碍子ツリーの上部にもまるで蛇の如く絡みつくクニャクニャ配管が見えている。

これが何というものなるか、どういう役割を果たすのかさっぱり分からない。
幼い頃から変電所の敷地内にあるものは見てきた積もりだが、こんなけったいな奴は初めて見た。恐らく殆どすべての読者も同意して頂けると思う。
如何にも現実離れしていて、何だか秘密裏にアブナい実験や研究をしている”エリア51”が連想されてしまった。

振り返って撮影。既にここまで歩いてきていた。
再び敷地のコーナーに差し掛かる。


逆光でとてもまぶしく感じられるが、実際この日は好天で気温もかなり上昇していた。汗ビッショリというほどではないが、ジワリと汗が滲むほどの陽気だ。

そろそろ車を取って来なければ、引き返しに歩く距離が長くなってしまう。
しかしフェンス越しに次から次へと現れる見たこともないエイリアンたちに圧倒され、そのまま最後の敷地のコーナーを曲がっていた。

ここにラスボスの如き幹線が控えていた。


ここが新山口変電所へ出入りする電力の大動脈部分だ。
碍子が高すぎてフェンスの網目にカメラを押し付けると全体が入らない。拡大対象画像です。
画像にマウスをかざすと拡大、ダブルクリックで最大化します。
クリックすれば元のサイズに戻ります。


中国西幹線というのが正式名称らしい。


敷地に接続される最も近い送電鉄塔。
撮影にとっても苦労した。鉄塔から相当に退いても全体がファインダーに収まらないのである。


腕金付近を拡大。
ワイヤーは何と4重線になっている。張力も相当のようで、3連の碍子を2セット並べて引っ張っている格好だ。
中部方面に旅行したとき6重線を見たことがある
ジャンパ線も見たところ通常の鉄線ではなく、剛性の鉄棒を渡しているように見える。もう重厚さが私たちの近辺に立っている送電鉄塔とは桁違いだ。


このまま一番端まで歩いたら、正門前に停めた車まで相当歩かなければならない。
この日は変電所ウォッチングで終わりなのではなく、自転車による県道37号チャレンジという体力を要するタスクがある。
体力を温存しておくためにもここで一旦車を取りに戻った。

(「新山口変電所・初回調査【4】」へ続く)

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