新山口変電所・初回調査【4】

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(「新山口変電所・初回調査【3】」の続き)

正門に留め置いた車を動かしに戻り、コーナーを曲がって管理道の中ほどに停めた。それからさっき見た超気持ち悪い機器群があったコーナー付近まで戻った。
このあたりは敷地内に置かれたあらゆるものがビッグサイズで、全く見たこともない奇妙で気持ち悪い形をした機器が集結している。拡大対象画像です。
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先ほど見た中国西幹線1号の横が2号となっている。拡大対象画像です。
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3つの相で1回線を構成し、標準的な送電鉄塔は6つの腕金を持つので、大抵は2回線として送電される。
鉄道への給電など規模がやや小さい場合は1回線鉄塔の場合もある

したがってこちらが中国西幹線2号となっている。
同じ鉄塔の両腕から1号と2号へ引き込まれている。


化け物級なガス遮断器、意味不明な碍子ツリー、そして知恵の輪みたいなくにゃくにゃ鋼管を横から撮影。拡大対象画像です。
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この場所から敷地内のパノラマ動画撮影をしておこうと思った。
しかし管理道に立ったままだと目の細かなフェンスに遮られて機器類がよく見えない。フェンスを避けて写すためには、視座を高く保つ必要があった。

ちょっとお行儀が悪いが、管理道に沿って設置されたガードレールの柱に足掛かりを求めた。


ガードレールの柱とビームに立ったままパノラマズーム撮影。
足元が超不安定…カメラが上下に微動するのはどうしようもなかった…^^;

[再生時間: 19秒]


中国西幹線と同規模の送電鉄塔が敷地内に繋がっている。
いやはや、とにかく巨大だ。


機器の密集度は先のものよりやや疎らだが、大きさは同程度だ。拡大対象画像です。
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ここからとりわけ目立つガス遮断器をズーム。
フェンスから離れた敷地の中央付近にあるのでどの位の大きさか見当がつかない。拡大対象画像です。
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こういう高電圧のかかった機器を目にすると常に思うことだが、
あの真下まで行ったら何が起きるだろうか?
普通に考えれば、一定限度を超えて接近した瞬間、バチッ☆!と稲妻が走って黒焦げになって終わり…と想像してしまう。
まあ、剥き出しの生きたワイヤーや碍子に触れれば確実にそうなるが、例えば上のガス遮断器では外側の筐体に触れても意外に何も起こらないのでは…と思う。

筐体部分まで電気が来ているなら、脚の部分は高度に絶縁されていなければそこから地面に電気が漏れ出てしまう。しかし実際にはコンクリート基礎の上に直置きされている…ということは、筐体の外部に高電圧はかかっていない。
更には遮断器の周囲に鎖での囲いがされていないし、昇降禁止など作業員に注意喚起する札などもない。
分路リアクトルには昇降禁止の警告板があった

こんな化け物みたいな機器がこのままの形で搬入されたのか現地で組み上げられたのか不明だが、詳細を知る専門業者の手によって据え付けられたのは確かだ。彼らは当然この機器の役割や構造を熟知して作業にかかったにしても、何と禍々しくけったいな形をした機器だという印象を持たなかったのだろうかと思う。

新山口幹線という経路名らしい。
こちらの方が中国西幹線より前からあるのだろうか。標示板の文字は日焼けして薄くなっていた。


引き込み部分を撮影してみた。
こちらもワイヤーが4重線構造になっている。


架線部分をズーム。
正方形状のスペーサーが入っている。遠くから見ると全体が1本の太いワイヤーに見えるのだが、実際は一辺が10cm程度の正方形を成すように配置されている。


そしてそこが管理道の末端だった。
正方形の敷地の最後を折れるコーナーは門扉になっていて、管理道は続いているものの進入できない。


管理道のどん詰まりから振り返って撮影。
すぐ裏手まで雑木林が迫ってきている。中電のメンテナンス要員もここまで来ることは滅多にないだろう。


車では抜けられないことを確認した後、引き返すことにした。

敷地の門型鉄塔に接続される最も近い送電鉄塔2対。
奥が中国西幹線、手前が新山口幹線だ。


鉄塔は管理道から若干離れた傾斜地に立っていた。
せっかくなので足元まで行ってみることにした。

傾斜地に立っているせいで、4本の脚の長さは均等ではなく敷地の低い部分が長くなっている。


写真では華奢な脚に見えるが、実際はこれほどの太さがある。
市街部で普通に観られる送電鉄塔は、大抵脚がアングル(等辺山形鋼)である。ここにある高い鉄塔を支えるのにその程度では不十分らしく、鋼管でがっちり支えられている。


制作者の諸元表を見つけた。
鋼管の継脚は高さ21m、これに地面の傾斜に合わせてA〜Dの片継脚を足して調整しているらしい。


真下から鋼管の脚に沿って見上げる。全身を堅牢な鋼鉄で覆われた機動戦士のようだ。
メカニカル系をこよなく愛する人たちには結構萌えられるかも知れない。拡大対象画像です。
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No.1鉄塔の足元は特にフェンスなどで囲まれておらず、自由に立ち入ることができた。
そして鉄塔の真下まで到達できたときに行う”お約束”を…拡大対象画像です。
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背が高く腕金から脚から部材そのものが太いので物凄く鋼材が込み入って見える。それから何だか碍子が低い位置に見えるが、実際は充分高い場所に吊られている。サイズが大きいので近くに見えるだけだ。

ちなみにこちらが前回訪れた山口変電所へ接続される山口大嶺線のNo.1鉄塔だ。
全然、規模が違うことが一目瞭然だ。


隣接して立つNo.2鉄塔。
敷地の直前で送電方向が鋭角に折れているため、引き回し線が躯体に接触しないよう腕金が面白いことになっている。最上部にある架空地線を吊る腕金部分も手裏剣みたいな形をしている。拡大対象画像です。
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No.2は敷地から大部離れていて、鬱蒼とした藪の中を歩いて行かなければならないので自重しておいた。
熊が出るような場所ではないが人里離れた地に居るので深入りは躊躇われた
これだけ撮影すれば充分だろう。
そろそろ戻ろうか。
何もかもがビッグサイズなこの場所では、車すらオモチャみたいに見えた。


ここで車を転回し、来るときの管理道をそのまま戻った。
正門の裏側に軽四なら通れる細い道があり、豊田方面へ抜けるなら近いことは地図で確認していたものの、車の通った形跡が薄いことから自重しておいた。

さて、興味本位で押し寄せた変な来訪者に対しても、中国電力は最後まで懇切丁寧だった。


車に乗ったり降りたり歩いたりを3度繰り返して、確かにちょっと疲れた。
暑かったし、汗をかいたし、気持ち悪かったし、そして新鮮だった。

展示物(?)が入れ替わるような場所ではないから、何度も足を運ぶようなターゲットではない。一度観に行けば足りるし、この方面に興味がなければ現地どころか記事すら追って読もうとは思わないだろう。
しかし敷地内に並ぶ無機的な機器群はあまりにもシュールで、一度でも実物を目にすればこの世のものとは思えない非現実的なものに映るに違いない。

なお、現地へ行ってフェンスの外から眺めたり撮影したりする分は全く自由である。
この機器たちによって電気に依存気味な我々の生活が支えられているとの教訓を得るために観に行くも良いが、もしかすると現実にまみれた日々の生活に飽き飽きし、思い切り非現実な別世界を垣間見たいと願う人々にとっては面白いターゲットではなかろうか。

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