新山口変電所・第二回調査【2】

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(「新山口変電所・第二回調査【1】」の続き)

初回調査のときと同じ要領で、車で少しずつ移動しながら敷地の外を歩いている。既に車は管理所前まで移動し、ここまで戻って撮影している。
最初のコーナーに相当する付近には機器が置かれておらず空き地になっていた。


典型的なタイプの遮断機。
このサイズのものなら近場の変電所でも見られるだろう。


太陽光発電パネルの文字が見えているが当然そこまで接近はできない。
フェンスの内側には簡易柵のついた通路がある。いくら超高電圧とは言ってもよっぽど接近しない限り「撃たれる」ことはないのだろう。
できれば敷地内で担当者随伴で見学・撮影してみたい


片側にファンを装備した巨大な灰色の箱。
箱の大きさは一辺が4mくらいのサイコロ状だ。すぐ後ろの巨大な碍子に繋がっている。パイプがファンに接続しているので熱を発する機器らしい。
巨大碍子の傍に計器が置かれている…かなり近い気がするがあの場所でも短絡せず大丈夫ということだ


電気を運ぶ線は、変電所では変圧などいくつかの手順を通すために地上へ置かれた機器群と接点を持たなければならない。しかしそのままでは地面へダダ漏れになってしまうので、線を固定することができるが電気は通さない素材を使う必要がある。ここで用いられる碍子は、良好な絶縁物として知られて相当な長期間が経つ今もその素材や形状は殆ど変わっていない。プラスチックなど新しい素材の碍子もあるようだが、今なおセラミックのこの形状がコスト的に最適であることを示しているようだ。

裏側に分路リアクトルという門外漢には意味不明な機器名が明示されている。何をするものかさっぱり分からないのは初回調査のときから同じだ。
恐らく懇切丁寧に説明してもらっても多分理解できる状況にならないのでは…^^;


気温変動による伸縮があるから、電線はかなり弛ませた状態で張られている。
それでも年中雨風に晒されるわけで、耐久性ある素材とはいっても定期的に点検や交換が必要になるだろう。


碍子の白、筐体の灰色、端子部分の黒。なべてモノクロだ。変電所をはじめとする電気関連設備が如何にも無機質で近づき難い印象を与える所以である。
稼働中はあらゆる生命体を寄せ付けない世界だ。そう言えば目に見えない電気の危険性を学習しているのか、敷地内には鳥一匹さえも姿を見かけなかった。


物干し竿のような棒に接続された部分を過ぎるあたりから、次第に電気音が大きくなってきた。


音の発生源は、この「昇るなあぶない」の標示が取り付けられた機器だった。


機器に昇降する梯子を塞ぐ形で作業員向けの標示が出ている。確実に切断されていることを確認した上でこの標示を外し、梯子を昇り…などと作業手順が決められているのだろう。

一番うるさい音を発している機器の前でフェンス越しに映像と音を採取した。

[再生時間: 26秒]


電気音は揺らぎがありながらも常時唸っていた。充分に離れているから騒音公害という程ではないが、いわゆる電磁波過敏症の人々にとっては我慢ならない音だろう。

変電所につきもののブーン音は冷蔵庫などのモーター音を想起させる。確かに冷却用ファンが付属した機器があり、そこからも音を発している。しかし回転する部分を持たない変圧器も同様の音を発散させている。
専門外なのでよく分からないが、鉄心に電流が通ることで僅かながら変形と言うか歪みが発生し、その反復が音の発生原因になっているという。[1]機器を格納する筐体の共振や部品の経年変化も音の増幅に関与するらしい。

車を停めた建屋の前まで戻ってきた。
管理所のすぐ裏側まで門型鉄塔が迫っている。


有刺鉄線付きフェンスの内側は元駐車場だったようで、区画ラインと縁石が置かれていた。
一般来訪者がそこまで入れていたとは考えづらいから、管理所に常駐していた頃のものだろうか。


建屋全体とその前に建つ電波塔のようなものをカメラに収める。
すぐ裏側が藪を伴った斜面なのでカメラを構えるのに困った。目一杯藪に背中を押し付ける形で撮影している。


ここが管理所の正面入口になる。
直接生命にかかわる危険な機器が一杯な場所なので門扉の上部にも有刺鉄線が張られていた。


人の出入りする門扉に銘板が設置されていた。
現在は善和にある宇部営業所が管理元になっているので、ここは常時無人である。
二階建ての管理所は一体何に使われているのだろう…


車両用門扉の内側には、サイコロ状をした分路リアクトルより更に大きい機器が並んでいた。
大きさと設置状態が異なる2本の柱状碍子が見える。


門扉は縦筋状になっているので門扉越しに撮影するにもアングルが制限された。
そこで背伸びして有刺鉄線の間から撮影している。


直立する柱状碍子からは三導体のワイヤが伸びていた。
斜めに植え付けられた碍子の方が細いから、新小野田火力発電所から送られた220Kv電力を超高圧向けに500Kvまで昇圧しているのだろう。


振り返って管理所前の電波塔を撮っている。
同様の塔は宇部変電所にもあった。


そう言えばダム管理所にもこれと似たような塔がみられる。変電所はライフラインに関する重要な設備なので、いち早く情報を送受信できるように設置されているのではないかと思う。

歩くほどに車から離れてしまうので、ここで管理所前に停め置いていた車を先に回し、同じ場所まで戻ってきた。
管理所から次のコーナーまでの区間には特に「気持ちの悪い機器群」が集中しているのを初回訪問で覚えていた。


凄まじいほどゴチャゴチャしている。門型鉄塔の脚、碍子を設置する架台、張り巡らされた多重の導体、その他訳の分からない諸々のもの…
そしてこの場所にあったのは、初回訪問で見た覚えのない新パターンの「気持ち悪い何か」だった。
名称も役割も分からないのでそうとしか言いようがない…^^;

(「新山口変電所・第二回調査【3】」へ続く)

出典および編集追記:

1.http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1334380703など。

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