徳山発電所(東部発電事務所)

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記事編集日:2012/8/5
徳山発電所は企業局東部発電事務所の管理する水力発電設備で、周南市徳山地区の市街部北端、山間部の麓にある。東部発電事務所は徳山発電所をはじめとする管轄内すべての発電所を遠隔制御する中枢として機能しており、徳山発電所と同じ敷地内に存在している。

地図で位置を示す。


最もアクセスされやすい経路を基準に説明すれば、国道2号の三田川交差点に起点を持つ国道315号に移り、北上して高速道路の立体交差手前にある三差路を右折した先である。
徳山地区は北が高い傾斜地になっており、徳山発電所は住宅地を離れていよいよ山地にさしかかる場所にある。

市道から写した東部発電事務所の入口。
前方に見える青看の先にあるのが国道315号で、右折すれば杉ヶ峠を越えて菅野ダムに向かう。


右側の建物が東部発電事務所、その左側奥にある白っぽい建屋が徳山発電所である。


東部発電事務所は通常のオフィスめいた外観であることは理解できるとして、徳山発電所については外観からイメージしづらいかも知れない。事務所と同じ2階建てで見かけの大きさは事務所より小さい。発電所にありがちなものものしい変圧器や大規模な送電鉄塔もない。
一般家庭向けに似た送出用のコンクリート電柱は建っている

ダムのないこの場所での発電が可能な理由は、市道を挟んだ背面の山腹から伸びる水圧鉄管路の存在によって示される。


この水圧鉄管路はすぐ前を通る市道からはもちろん、周南より北上する国道315号からも僅かばかり見える。

徳山発電所は水力発電所でありながらこの付近にはダム湖や大きな河川はない。
付近を流れる東川は水力発電にも工業用水にも関与していない
発電および工業需要を賄う水は総延長14kmもの長さをもつ徳山導水路によって運ばれている。導水路は背面の山腹から水圧鉄管路によって地下30m付近に設置された徳山発電所のタービンまで落とし込まれ、高低差と引き替えに電力を産み出す。地上からは分からないだけで、実は海に浮かぶ氷山の如くタービンや発電機を格納する部分が地下3階まで存在している。
導かれた水はそのまま工業用水として徳山分水池に送られる。徳山発電所は電力生産だけではなく工業用水の中継地点としても関わっているわけで、管路で必要な水を導き、需要地に近い場所で発電することから街の中の水力発電所のように機能している。

東部発電事務所は所管内の発電所の司令塔として職員が常駐しており、関係者でなくとも何か用事があれば一応尋ねていくことはできる。他方、徳山発電所の内部に入れるのは基本的に見学会に限定される。
平日で業務多忙時でなければ個別の見学希望に応じて頂ける可能性はあるかも知れない
発電関係の設備で地上に現れているものは事務所前の山の斜面を這い降りる水圧鉄管路と発電建屋の上層階のみなので、どれくらいの規模の設備があってどういう仕組みになっているか等は見学会でなければ一般には知り得ない。

管路で導くタイプの水力発電所は県西部には稀なものの県内にも数ヶ所稼働しており、そう珍しいものではない。しかし市街地に近接して稼働する発電所としては県内最たるものだろう。それはもちろん理由あって現在の場所にこの様式で採用されたのだった。

現在こそ平成期の合併で周南市となっているが、その構成員となっている徳山地区、新南陽地区は瀬戸内海に面し、背後に山地を控える地勢で共通している。豊富な水量の錦川があるものの急峻な地形に阻まれて周南地区に向かうことができず、内陸部を蛇行して岩国より瀬戸内海に注いでいる。工業地帯の発展と共に水需要が逼迫するのは周南の地形的宿命だった。
そこで錦川の豊富な水を瀬戸内側に導き工業用水を確保すると共に、標高差を利用して電力需要も賄う中核的役割として徳山発電所が建設された。それも現代からしても斬新な構想や施工レベルとは裏腹に建設されたのは昭和中期のことである。

国土地理院の地図では主要な導水路は青い点線で表記されるから、地図を辿れば徳山導水路の経路を調べることが可能だ。一見何とも不可解で複雑なルートで導水されていることが分かるだろう。
この経路の理由について平成24年度見学会で説明を受けている

東部発電事務所入口の壁には事務所および発電所の果たす概要をまとめた説明板が設置されている。
背後の山腹に水圧鉄管路および上水槽が見えている。拡大対象画像です。
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東部発電事務所の玄関正面には、徳山発電所の立体模型が展示されている。拡大対象画像です。
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《 個人的関わり 》
注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

なお、平成28年度の見学会の参加で3度目になったが、一通りの情報を取得済みであるので今後新たな企画が開催されないうちは再訪する予定はない。
初めて徳山発電所を訪れたときの見学レポート。
時系列記事: 平成23年度見学会(2011/7/30)

平成24年度に再度訪れたときの見学レポート。
時系列記事: 平成24年度見学会(2012/7/25)
出典および編集追記:

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