宇部興産窒素線・No.82鉄塔

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記事作成日:2013/12/18
宇部興産(株)窒素線のNo.82は、了善河内墓地の最高地点付近に存在していた鉄塔である。[2009/12/6]


かつて建っていた位置図を示す。


前後に一組ずつ碍子を配した耐張型鉄塔で、市道了善河内線が墓園の最高地点に達し折り返す地点に見えていた。[2010/2/21]


折り返し地点には市の設置したカーブミラーがあり、そのすぐ傍だった。[2009/12/6]
銘板にはまだマジック上書きの跡がみられなかった


市道了善河内線自体、地元の方が墓参に訪れる程度なので一般車両が通ることは殆どない。まして北条地区にはまったく無縁な私なので、今になって思えば現役時代のNo.82鉄塔を数枚撮影していただけでも良しとしなければならなかった。

以下の5枚は窒素線の撤去が始まったことを知った同じ週の休日に訪れたときの写真である。架線と碍子が除去されているものの、鉄塔番号を示す銘板はまだ遺っていた。


現地を訪れたときには折悪しくちょうど近くで墓参りの来訪者があって、撮影アングルが制限された。
鉄塔を撮影する間も変なものを撮っているものだと墓参客に奇特な目で視られ大変やりづらかったsweat


直前のNo.81は栄ヶ迫池中堤を渡り、直後のNo.83は北条の沢を横断している。スパンが長いため鉄塔下部は標準よりやや大きく1m程度あった。
鉄骨にもマジックでNo.82と記載されている。
コンクリート基礎上に落ちているのは連絡用の掲示札だろう


No.82銘板部分。
経年変化で白地が薄れて数字が読み取れなくなっていたので、後からマジックで上書きされていたようだ。


できれば鉄塔の真下から見上げたアングルを撮りたかった。
しかし墓参客の冷ややかな視線があってさすがにおかしな姿勢での撮影ができなかった。


12月上旬に訪れたときの現地の様子。
基礎コンクリートも除去され、周囲は整地されてまったく分からなくなっていた。


道端に建築ブロックとコンクリート塊が散らばっていたが、以前からあったもので窒素線の基礎跡ではない。


撤去すれば多少なりとも土の跡が残るものだが、それさえも感じさせないほど丁寧に現状復旧されている。
周囲に合わせて枯れ草を含んだ流用土を被せたようだ。


上の写真では、No.82鉄塔のあった方向を眺めて撮影している。正面の向山の端に切れ込みのようなものが見えている。
次項で述べる。

《 向山に刻まれた東西の溝 》
No.82鉄塔より次のNo.83鉄塔を通して向山の方を眺めると、山に壮大な切れ込みが入っているのを観ることができる。かなり大きいものらしく、了善河内墓地以外の場所からでも判別できる。
再び碍子と架線が除去された頃の写真である。


背の高かったNo.83鉄塔は既に存在していない。
しかし山の切れ込みにNo.84鉄塔はまだ存在していた。


ズーム撮影。
切れ込み部分はかなり深い。周囲の木々の描く稜線より5m程度は低い。


この溝状領域は航空映像でも確認できる。
下の航空映像では十字型に溝状領域ができているのが分かるだろう。


この溝状に見える部分のうち、南北に伸びる溝は明らかに背丈の低い窒素線が樹木に接触してしまわないよう定期的に刈り払いされた結果であることが分かる。[1]

以下の3枚は現役時代に撮影した写真である。
谷地に建つ背の高いNo.83鉄塔の次は向山の斜面に存在していた。[2009/12/6]


窒素線はこのように中の山団地の住宅群の上を斜めに横切っていた。
No.83鉄塔は中の山団地の一角に存在していた。


もしこの溝状部分に木の枝が伸びていたなら、明らかに窒素線の架線が支障してしまう。したがって接触を避けるために定期的に伐採された結果という推測ができる。


No.83とNo.84の間では中国電力の送電鉄塔が上を横切っている。この鉄塔の設置時期は調べていないので分からないが、窒素線が下を通らなければならないため鉄塔の高さを上げられない。このため経路に沿って樹木を伐採し架線の接触を回避していたように思われる。
もしかすると窒素線のラインに沿って地山もある程度掘り下げられているのかも知れない

12月上旬に再び訪れたときの映像。現在の状況だ。
既にNo.84鉄塔も除去されている。7月に鉄塔が撤去された後は伐採が行われていないので、周囲の木々が伸びて心なしか切れ込み部分が狭まっているように見える。


窒素線の廃止により今後このラインに沿って伐採されることがなくなるので、年を経るにつれて溝状の部分は次第に不明瞭となるだろう。

厚東川発電所側 厚東川発電所側に移動 窒素工場側に移動 窒素工場側
No.81No.83


出典および編集追記:

1. 航空映像では東西に伸びる溝状ラインも見える。これは市道藤曲2号線からも観察できることが分かっているが、山道は通っておらず発生理由には調査を要する。詳しくは派生記事の向山に刻まれた南北の溝を参照。

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