宇部変電所【1】

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現地踏査日:2012/6/17
記事公開日:2012/6/24
時系列では市道真菰線を経て桃山開閉所の門前から写真を数枚撮った後のこととなる。終点は宇部変電所の敷地前になるので、続けて撮影してきた。
現地への行き方については、総括編に書いておいた。
派生記事: 宇部変電所|アクセス
詮索好きな見物人には好適なことに、宇部変電所周囲のかなりの部分は市道に面しており、容易に観察することができる。本記事では東門から西門へ移動するように紹介する。
行きと帰りに撮影した双方の写真を掲載しているので撮影時間が異なるものがある

桃山開閉所に隣接する宇部変電所の東門はフェンスの網目が細かく、門扉越しでは外から殆ど眺められない。市道に沿って移動した。


最初に目に付くのが西門の近くに建つ巨大な鉄塔の脚だ。


真下から撮影すると大きすぎて全体像が入らない。しかし普通の引き込み鉄塔と比べて異色なことに気付く。


市道を先に進み振り返って撮影。
背後にある変電所の門型鉄塔に繋がっていない。


耐張碍子で引っ張り、まるでローソクのように立っている碍子に接続して…そこで停まっているように見える。


鉄塔の側面には鋼製の梯子があり、その中央にスパイラル管が伸びている。あの中を通っているのだろうか…
1回線3相分があの細いスパイラル管で間に合うのだろうかという気も…


鉄塔の脚の部分に銘板が取り付けられていた。
小郡線という名称を持つらしい。平成10年6月というからかなり新しい鉄塔の部類に入る。


敷地内まで引き込んでおいてそこで終わり…の筈がないから、鉄塔に沿って真下へケーブルを下ろし地中化の形で変電所へ接続しているようだ。平成期からの比較的新しい鉄塔にこのようなパターンが多く見られる気がする。
宗隣寺付近に同様の引き留め鉄塔が観られる
最後の引き込み鉄塔が建つのは変電所の管理敷地内なので、地中化しても掘削工事でバックホウが知らずに引っ掛けるなどの事故は起こりにくい。空中に晒されないのでワイヤの劣化や破断が起こりにくいし景観も保てる。高圧線を埋設し安全に送電する工事技術や高度に絶縁された資材の開発が進んだのだろう。

その地中化工事と関係あるかどうか分からないが、敷地内では空いた敷地に何かを設置するらしく掘削工事が進んでいる最中だった。
日曜日なので現場自体は停まっていた


掘削機械は同じものだし、置かれているメタルフォームも土木工事では一般的な資材だ。しかし何を設置しようとしているのかは当然分からない。溝状に掘削しているので鉄塔の据替ではなくケーブル埋設だろうか。
こういう場所での掘削大型機械の運転は、地下埋設物や高圧線の接近限界を常に留意していなければならず、通常の工事現場より更に気を遣うだろう。


小郡線はまこも池を渡ってここに接続されていた。
架線の設置高が従来よりも高く、2回線の耐張型鉄塔としても従来タイプとの違いはすぐ分かる。
従来タイプのはずんぐりした外観で中央の段の腕金が上下の腕金より外側に張り出している


更に変電所敷地をぐるっと回る市道に沿って進む。
高さや形状が若干異なる鉄塔がここに集結している。いずれも2回線鉄塔だ。
右側の耐張型鉄塔など典型的な従来タイプ


敷地内に建つ最後の鉄塔は足下の門型鉄塔に引き込まれているので、電線を引っ張る方向が鋭角に曲げられ奇妙な形になっている。


送電線の引き回しといい、鉄塔の躯体といい、大きいながらよくも精密に造ったものだ。もっとも従来タイプだから建って数十年経っているだろう。


この2基は先の平成期の鉄塔よりもかなり低い。
外回りの活線を躯体から離すために腕金に厚みを持たせ、懸垂碍子を2本吊り下げジャンパ線で回しているのが分かる。


広がった腕金でワイヤを受けて、背面の狭い腕金でまとめて門型鉄塔に送っている。2本重なって建っているように見える。


市道を進んでいくと新旧2組の鉄塔が重なる位置に来る。元々が筋交いの入った鉄骨なので重なるとゴチャゴチャした印象を受ける。
従来タイプの鉄塔は、鉄骨が赤茶けて見える。経年変化による錆だろうか…


3組も並ぶとかなり壮観だ。


市道小松原桃山線は意外に車の通りが多い。特にこの区間は非常に狭く、適当な所に自転車を停めて観察…という訳にはいかない。邪魔にならない場所へ留め置き、フェンスに接近した。

除草剤を撒いているのか単に栄養が乏しいからか、地面には枯れ草が見えるだけで草が生えていない。


変電所では定番の遮断器。どの変電所にも必ずあるし、大きさや型もほぼ一定だ。
年に何度くらい開閉されるのだろう…また動作時にどんな音がするのだろうか…


市道は変電所の敷地外側をなぞるように通されている。フェンス側に蓋のない側溝があり、見かけ以上に市道の幅を狭くする原因になっている。フェンスに貼り付いての観察もやりづらい。


さて、今のような明るい時間帯にこの市道を通るとき、注意して観察すればかなりの違和感というか圧迫感を覚えるポイントがここにある。
もっとも殆どのドライバーは気にしている様子はないし、そもそもこの市道自体それほどメジャーな存在でもないのだが…

(「宇部変電所【2】」へ続く)

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