宇部変電所【3】

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(「宇部変電所【2】」の続き)

西門のすぐ横からは高いブロック塀が始まっていて内部の様子は窺えない。僅かにブロック塀の始まる場所からこれだけ見える程度である。
右側の遮断器は接続されていない…古いタイプの遮断器で廃棄処分にされるのだろうか…


敷地の中央に、山口変電所でも見たファンの着いているデカい機器が鎮座していた。


一部のファンだけが回っていた。機械音はここまで聞こえて来なかった。機器の温度に応じて自動運転されているのだろう。

[再生時間: 18秒]


駐車場に留め置いた自転車を移動した。
市道は西門を過ぎて暫く塀に沿って進み、それから変電所より離れる方向に曲がっている。昼間は殆ど来ないが夕方以降は車で通り慣れた道だ。

前方に2基の鉄塔が見えてきた。高い方の鉄塔は腕金に架線が通されていない。


この鉄塔だけではなく先へ伸びていく鉄塔も同様になっていた。元からあった2回線分を撤去したか、あるいは将来の増強のために腕金だけ造ったのだろう。
恐らく後から造ったものと思う。それと言うのも県道琴芝際波線沿いの浜田付近にある鉄塔も当初通常の鉄塔で、後から1回線分の腕金が継ぎ足された状態になっているからだ。
今から5年くらい前のことと思う

小松原方面より狭い市道を経てここにやって来るなら、最初に見える変電所の姿はこんな光景になる。
高いブロック塀に宇部変電所の文字が見える。


市道が直角に曲がる地点で、ブロック塀に沿って進む未舗装の道があることに気がついた。


ここより奥に入る道はまだ行ったことがない。行き止まりは自明だから車での進攻は躊躇われるし、自転車でも前回は西門まで来て引き返していた。
民家の敷地へ入っていきそうな感じだが自転車ならそれほど抵抗感はない。押し歩きする。

入口に立て札があったが、立入禁止ではなくゴミの不法投棄に対する警告だった。その先も車は別として歩いて入るなら問題なく行けそうだ。


振り返って撮影。
この砂利道は中電の設備と民間の資材置き場への進入路を共有しているようだ。


変電所にしては珍しいブロック塀の仕様だ。
有刺鉄線がない。


厳重な囲障が標準仕様である変電所なら、普通は高い塀に有刺鉄線を張り巡らせるものだ。ブロック塀は相当に高く表面に何の足がかりもないから、梯子を持ち込めば別として内部へ侵入される危険は低い。
塀で隠れて見えない部分は仕方ないとして、上に出ている部分はネットフェンスに邪魔されずクリアーに眺められる。

それはそうと、塀のすぐ向こうにある設備は使われていないのでは…


鉄骨の赤茶色がとても目立つ。何よりも門型鉄塔の最上部の腕金に架空地線が張られていない。それも先の鉄塔のように今後張られるための予備という感じでもなく、放置され一部が外れ掛けているように見える。碍子群は健在だが、死んでいるのかも知れない。

砂利道の一端は近くの民家へ、他方はこの敷地に向かっていた。ロープ一本低く張られている状態だから侵入阻止の意図は殆どなさそうだ。


自転車を留め置き、そこへ踏み込んだ。

ブロック塀はその先で切れていて、外側に張り出した有刺鉄線付きネットフェンスに変わっていた。


ネットフェンスは敷地に沿って伸びていたが、その手前に通用門があって入れなくなっていた。

この敷地に隣接して2階建ての民家らしき建物があった。変電所の近辺は結構敷地の近いところまで民家が建っている。


なかなか観るものが結構あるので、一つずつ片付けよう。まずは入口前から見えていたこのフェンスに囲まれた小さな島状領域だ。

1基の門型鉄塔に1回線分引き込まれていた。何やらあれこれと掲示が出ている。


ヘルメット装着の天使坊やが訴えかけている。”さくの中に入るのはやめましょう”
入りませんって。「あぶない」どころじゃないよ。命が惜しい…


もう一枚ある表示板は更にイラストがマンガチックだった。
石をなげないでください。


投げつけられる石つぶてを見つめる2回線鉄塔の図だ。左上に何やら台詞が書かれていたらしいが、色褪せていて読み取れない。
まさかこんな設備に向かって石を投げつけ、碍子を割られる被害でもあったのだろうか…
投石が原因で遮断器が作動したら半端じゃない損害賠償を請求される気がするのだが…

このフェンスは変電所の敷地全体を囲むものよりは網目が粗く中を眺めやすかった。
笠を被ったローソクみたいなやつと、超大盛りソフトクリームを思わせる白い碍子。引き込み線と碍子だけなので電気音などは何も発生していない。


銘板が見えたので正面から撮ろうと思った。


この接近には少々テクニックを要した。草地は相当に深く、その中を歩きたくなかったのでコンクリート基礎の上を伝った。ネットフェンスが外に張り出しているので、お腹が当たらないよう引っ込めて(?)基礎の上を蟹歩きで移動する必要があった。

山大医学部線という経路名らしい。


凄い…
山大医学部って、専用線持っているんだね。
施設が膨大で多数のベッドを抱えているし、医療用・研究用で膨大な電力を必要とする機器群があるのだろう。
工学部も独自線持っているのだろうか…

ここから先の経路は地中化されているようで、燭台の上に載った白ローソクから伸びる3線は一つにまとめられ、コンクリート基礎に刺さったスパイラル管に伸びていた。


敷設年月などを示す銘板は見あたらなかった。
医大に向かう送電鉄塔なんて昔から見たことがないから、当初から地中化で送電されていたか、電力需要が増えた最近になって地中化で新規に敷設したのだろうか。

この地中化開始地点へ電力を供給している鉄塔は変電所敷地の奥に見えた。
深い草に覆われていたのであまり気乗りしなかったが、撮影できそうな場所まで接近することに。

このとき、民家だとばかり思っていた建屋がどうやらそうではないらしいことに気付いた。


外観から古い民家とばかり思っていたのだが、裏側に出入口はなかった。建屋は円筒状のコンクリートの上に載っていた。フェンスはないので接近できたが、コンクリート基礎部分は意外に高く上部を窺うことはできなかった。
私はその壁と言うか基礎というか、その表面が気になった。
なんか、変な模様だな…

一枚物の壁ではなく、妙に継ぎ接ぎだらけだ。何だか彫刻みたいな意味ある文様のようにも見える。
しかしまずは引き込み鉄塔の写真を…とばかりに先へ進攻した。

(「宇部変電所【4】」へ続く)

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