宇部変電所【5】

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(「宇部変電所【4】」の続き)

踏査としては前編で終わりだが、後日この方面へ撮影可能な時間帯に来る便があったので、もう少し補足が必要と思った場所の写真を撮影してきた。
時刻は既に午後6時半を過ぎているので、遠景を撮影したショットはピントが甘いのをご了承いただきたい。

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西門入口の写真。
市道小松原桃山線を起点側から走ったときは入口が正面に見える。この近辺は市道の全区間においてもっとも標高がある場所だ。


西門が宇部変電所の正門となっている。県道から来たときは市道屈曲点の内側が西門入口なので見逃すかも知れない。

西門から見たブロック塀の始まり部分。
前編ではこの部分のショットが抜けていたのでフェンスの内側を撮影した位置が分かりづらかったかも知れない。入口にはかつての門柱と思われるコンクリート柱が建っており、このネットフェンスから少しばかり敷地の内側が観察できたのだ。
コンクリート柱には何の銘板も遺されていなかった


それから前回イラガの幼虫に進攻を躊躇わされたあの場所へ行ってみた。
未舗装路の先は民間の資材置き場でさすがに車を乗り入れるわけにはいかないので、西門の駐車場に車を留め置いたまま歩いた。

例の円筒形コンクリート柱の上に載る小屋である。
この2枚とも帰り際に撮影したので既にかなり日が陰っている


”こんな変電所の敷地に近い場所にまで民家が…”と見間違えた建屋だ。


この場所まで来ることには何の問題もない。フェンス門扉には散歩中の犬の糞を持ち帰るよう呼びかける文言がみられる。散歩コースにもなっているということか。


この敷地は手前に建屋があるのみで他には何もない。奥の方には有刺鉄線付きフェンスには2箇所確認できた。もっとも外側は著しい藪に覆われていて接近する道があるかは疑問だ。


円筒形コンクリート柱の半分は敷地内にあり、階段の横には配管が見えていた。
上部に蓋などは見あたらず、外から見える限りでは貯水用タンクのような感じはしない。


それから前回イラガがぶら下がっていて撤収した場所に接近した。
コンクリート柱上部から4条のパイプが突き出ている。今でも化学工場などでは普通に見かける構造だ。


前回注意して観ていなかった部分があった。
パイプは地下へ潜っているのではなく、地表付近にある縞鋼板にはパイプが通るだけの穴があいていた。蓋もパイプもかなり錆びついている。


迂闊に接近すると錆び付いた蓋が抜けて転落…という事態が想起されたのでそれ以上は接近せず、開口部に腕だけ伸ばし内部をフラッシュ撮影した。
パイプは液体用の配管ではなく、電気コードを保護するための鞘管だった。


蓋は50cm程度の角桝を覆っていて、深さは1mくらいだった。地中に潜る鞘管は4本なのに、桝の中にはそれ以上のケーブルがスパゲッティー状態に絡まっていた。現在は使われていないか、あるいはよほどメンテナンスを必要としない設備のように思えた。

鞘管の存在で「冷却水循環用ポンプ小屋説」が怪しくなってきた感じがある。もっとも電源線だけを地下埋設しているだけで、本体はポンプ小屋かも知れない。そうでなければ小屋が円筒形コンクリートの上に載っている意味が分からない。あの形状からはどうしても貯水槽が想像される。

コンクリート基礎部分に何か手がかりがあるかもと思い、背面を観察した。
小屋の前には5回線をぶら下げた鉄塔に向かう踏み跡がある。雑草の茂り方がもの凄く、今の時期だと微かにここが踏み跡だと分かる程度だ。


この経路が桃山中学校の裏手に伸びていることは地図で確認していた。しかし現状がこんな状態だから、ここを通って登下校している生徒はいないらしい。変電所の裏手に住む生徒がいないか、登下校路として通らないよう学校から指示されているのだろう。

草地の中を歩いて円筒形コンクリート柱の側面を再確認してきた。ある場所はこんな具合に殆ど塗り込めたように継ぎ接ぎが密着しているのだが…


正方形状のパッチが浮き上がり妙に目立った箇所もあった。
何でこのような奇妙な構造になっているのか気になった。写真で観れば正方形に切った布を貼り付けただけのように見えるだろう。


しかし触ると堅く意外にしっかりしていた。端が浮き上がっているものの引き剥がす方向へ動かすこともできなかった。
剥がしちゃアカンだろ…sweat


頭上に垂れ込める木の葉に注意して円筒形コンクリート柱の外側に沿って進んでみた。
下半分はチキン肌(?)状態の壁で、上部は打ち継ぎ足したような外観になっている。外壁は背丈よりずっと高く、上部がどうなっているか全く見えない。


登ることができないのを見越してか、コンクリート柱の外側にはフェンスがなかった。先の方は木々の繁茂が酷いので踏み込まなかった。
結局、外壁にはこの建屋の正体が何であるかのヒントは見つからなかった。

この小屋をズームした地図である。


地図でもこの建屋は記載されているものの名称はない。また、現在から12年程度反映が遅れている航空映像でも確認できる。あいにく手前の鉄塔の背面になるので形状が確認しづらい。しかし外壁をざっと巡った限りでも、円筒形コンクリート柱の上に建屋が載っている状態だった。

更に時代を遡って昭和49年度の航空映像を眺めると、よりハッキリとした円筒状の建屋として観察できる。規模としては桃山配水池とは比べものにならないが、構造が似ているし場所も近いことから、上水関連の設備ではないかと思う。部分的に中国電力のフェンスの内側にあるのは、電機関連の操作だけは中電側で行っているからかも知れない。
正体が何かの答えは必ずあるし、腕ずくの方法で調べることはできるだろう。しかし今までしてきたようにそこまではせず、奇妙な外観の存在理由と共に憶測に止めておくことにする。完璧に正体が判明したら、案外つまらない建物なのかも知れない。

前回は気付かなかったが、この円筒形コンクリート柱に隣接して汎用の外灯が建っていた。ここは人通りどころか接近するのも躊躇われるほどの草地だから、外灯など全く場違いな感じだ。
さっきの地下ケーブルの一部もこの外灯に伸びているのかも知れない


かつて中学校の登下校路になっていたとしたら、保安用としてこの場所にも外灯が必要だったのだろう。今も点灯することがあるのか分からない。暗くなるまで待っていれば分かるかも知れないが…^^;

日が長い時期ながら、ひとたび西日が沈み始めると待っているまでもなくかなりのテンポで暗くなっていく。そろそろ撮影しても鮮明が映像が得られなくなりそうなので撤収することにした。

市道を歩いて駐車場まで戻るとき、同じく前回気付いていなかったものがあった。


ブロック塀の内側にある門型鉄塔に宇部高千帆線という経路名が確認できた。
県道宇部船木線の市境を過ぎた場所に高千帆変電所があるから、宇部変電所から小野田方面向けの送出線だろう。


これだけの写真を撮って車に戻った次第だ。

今の時期ならこれ以上踏み込めそうな場所はない。
再び涼しくなり周囲の草木が枯れてきたら、フェンスの外側に沿って奥を踏査することがあるかも知れない。
その時期が来るまでは、新しい情報がもたらされない限りひとまずここで完結としよう。

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2014年1月に小串台を訪れ、そのとき桃山開閉所のフェンス裏がきれいに草刈りされ、フェンス外側を伝って歩ける状態になっているのを見つけた。
それで正門からの撮影しかできなかった桃山開閉所の追加写真を撮影し、宇部変電所の裏側まで到達できた。桃山開閉所に隣接する宇部変電所の部分を続編として案内する。

(「宇部変電所【6】」へ続く)

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