宇部岬変電所【1】

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現地踏査日:2012/5/23
記事公開日:2012/5/29
宇部岬変電所はJR宇部線向けの設備で、見初変電所の下位に相当する。
地図で変電所の位置を示している。


いきなり「JR宇部線向けの変電所」なんて書いたのだが、実を言うと航空映像などその存在を知り、地図を元に訪れたのではなく、自転車でうろついていて偶然見つけたのだった。初めて訪れたのはおよそ半月前のことになる。
そのときは時間が押していたので写真を撮らずに帰っていた

上の地図を拡大しても宇部岬変電所であることを示す文字は見あたらない。こぢんまりとした設備なので航空映像では変電所らしき場所には見えず、今まで多用していた手段 - 航空映像で見つけた気になるものを実地にあたる - に依らず見つけた物件ということになる。

現地まで車で行くことは可能だが、道が少々分かりづらい。位置的には宇部岬駅から近くても駅前から直接行く道はなく、市道笹山通り線笹山第1踏切を渡る場所にある分岐路を線路沿いに進むことになる。

帰り際に撮影している。
前方に見えるのが市道笹山通り線および笹山第1踏切であり、変電所は背中の方になる。


巻き戻すように笹山第1踏切より後退している。
ここに石灰石運搬用引込線の分岐点があった。既に廃止され、この場所にはまだレールは遺されているものの市道の交差部などではレールは撤去されている。
完全撤去されていないのは待避線に流用する可能性からか…?


この位置から振り返れば、線路から離れる方向へ分岐路がある。
一般向けの設備ではないので案内板などはない。


入口から眺めている。
変電所は若干高い場所にあり、スロープになっている。入口の下からは変電所の設備は見えづらいが、電波塔のようなものは遠くから見えているのですぐ分かるだろう。


変電所の敷地は線路面よりも5m程度高い丘にある。
見初変電所から伸びていた送電鉄塔の引き込み鉄塔が見える。


この場所へ初めて来たときの印象は
広々としていて開放感がある。
直近に訪れた見初変電所が民家やアパートに囲まれて接近しづらく、充分に眺めることができなかっただけにこの場所はとても開放感があった。高台はこの変電所だけではなく、民家や花壇、畑などもあった。してみるとスロープがある入口は変電所だけでなく民家も共用しているようだ。
したがって車で現地を訪れた場合は変電所のフェンス寄りに停めた方が良い

まずは容易に観察できるフェンスの内側にあるものに向かった。
スロープから続いているアスファルト舗装は敷地の入口まで続いていた。


このフェンスに掲示されているプレートで宇部岬変電所という名称が判明した。JR西日本のプレートも見えることから、宇部線向けの饋電設備らしいと分かった。


その横のフェンスには宇部新川鉄道部と明記されたタグが掛かっていた。
管理は鉄道部の方で行っているのだろうか。


中にある機器群はそう古いものとは思えなかったが、フェンスはかなり古い。全体が錆びだらけだ。

鉄道向けとは言っても同じ電気を扱う設備だから見初変電所で見かけたのと同じような機器群がある。
敷地全体に砂利が敷いてあり、新厚東変電所で見たような線路に使われたバラストの再利用ではなく汎用の砕石のようだ。


しかし形状や外観は一般家庭向けの変電所に見かける機器とは異なるものが結構ある。
この変圧器らしきものは縦長で形状がちょっと違う。外側に「PCB使用機器」という文字が見える。


フェンスの網目を避ける角度で撮影している。
見初変電所からの電力をH型鉄塔で受け、十字架のような鉄塔で導いている。あまり見かけないタイプだ。


フェンスの網目が意外に細かく、巧い具合に拡大撮影できなかった。
天辺で架空地線を固定する櫛のような歯ブラシみたいな形の金具が面白い。
鳥避けではなかろうか


十字架鉄塔とH型鉄塔の間に張られた活線から敷地内で最も大きな変圧器に1回線が引き込まれている。
この場所でも相当うるさいと思える程の電気音を発散していた。


H型鉄塔や周辺の機器には黄色いタグが取り付けられていた。


フェンス越しでもあり肉眼では判読しづらいが、ズーム撮影で楽々解読できる。
JR宇部岬線という経路名らしい。
アークホーンの形状が見慣れないタイプだ


H型鉄塔から接続されている碍子や機器群。
フェンスの網目のために撮影アングルが制限される。手前にカメラを引けば網目模様が写ってしまうので中途半端な写り方になってしまうのは仕方がなかった。


架台の上に3基の碍子が載っている。碍子の上下には金属製のお椀のようなものが取り付けられており、まるで提灯のようだ。多分、雨水が直接かからないようにするための傘だろう。


その左側に並んでこの機器があった。
黄色いタグに書かれた数字や記号が意味するものが分からない


敷地内の線路寄りにコンクリート製の建屋がある。本当はフェンスから近いのだが、出入口が横に付属しているので少し離れなければ見ることができなかった。
大きさは6m四方に高さが3m程度だろうか。出入りするドアが見えるが窓は一つもない。


宇部岬変電所は見初変電所の下位にあたるので当然ながら無人化されているのだが、作業員が定期的に点検や部品交換などに訪れることはあるのだろう。
それにしてもよく観察すれば、なかなかツッコミどころのある設備と分かった。

建屋の左側にある出入口。
配電盤室と書かれており、ここから作業員が出入りするらしい。出入口の横には
JR西日本広島支社 宇部岬変電所」という縦書きのプレートが設置されている。


まあそれは分かるとして、ドアの右横には何故か手洗い用の洗面台が設置されている。電機関連の設備に水回りなんてあまり聞いたことがない気もしたのだが…

いや…手を洗う場所だけではない。
便所があった。


壁面の中央にあるのはエアコンだろうか。暑い最中に長時間の作業になることもあるのだろうか。まあ、人間用とは限らない。熱を持つ機器の排熱のために専用で設置されているのかも知れないが…
それはともかく、WCというあまりにもお馴染みな略称が書かれた扉はどう見てもトイレであろう。

まあ、作業員たるものも人間…確かに長時間ここで作業をすれば「もよおす」ことはある訳で、それなりの設備が必要なのだろう。あるいは見初変電所と同様、かつて保守担当者が常駐したり一定時間詰めて作業できる事務所を兼ねていたのだろうか。
それにしても窓がない事務所だとしたらちょっと…

ツッコミついでだが、
トイレのドアの幅が狭すぎるのでは…^^;
WCが "Water Closet" の略ではなく何か特殊な機器の略称を意味するのかも知れないが、ドアノブが見えている以上ここから人が出入りする筈だ。こんな幅の狭いドアだったら、相撲取りのような恰幅の好い体格な保守員は出入りがかなりきつい気がするのだが…
横に臭突らしきものが写っているからどう見てもトイレでしょうね^^;

フェンスのせいで撮影は若干困難だが、外周を歩き回ることに困難はなかった。
そこでまずは正面フェンス門扉より奥の方、さっきから変圧器が唸っている方へ歩いてみた。

(「宇部岬変電所【2】」へ続く)
出典および編集追記:

* このページに掲載されたフェンスの写真の一部が放映済みのある番組で使われています。その写真はさまざまな場所で見かけるフェンスの写真の例を取り上げる目的で当サイトの管理者へ写真使用の依頼(2013/9/5日付)があり、当サイトとして正式に許諾されたものです。

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