フェンス門扉を通りすぎ、さっきから敷地内でかなり大きな電気音を発散している機器に接近した。
元は敷地の横からも出入りしていたらしく、ころの付いた扉が開閉するレールがあった。現在はその上に周囲と同じ有刺鉄線付きのネットフェンスが建てられていた。
剥き出しの碍子が鉄線で結ばれているパターンが多い中、この機器同士はコードで被覆され地中に埋設されていた。
電気音の発生源はこの機器だった。
サイコロ状の機器から碍子を経て細長い鉄板に接続され、ラッパのような端子が付属している。どれも見たことのないパターンだ。
この一番うるさい場所で動画撮影で音声を採取してみた。
[再生時間: 12秒]
台所から聞こえてくる冷蔵庫のブーン音はとっても耳障りで嫌なものなのだが、こういう場所へ接近し能動的に「聴きに行く」電気音はそう不快なものではないから不思議だ。
(人によっては「癒される」なんて声も…^^;)
変電所に引き込んでいる鉄塔。
2回線のうち1回線分を敷地内に、もう1回線分は入口のスロープ横に建っている鉄塔で受けていた。
H型鉄塔からの引き込み線。
何処でも同様になっているのだが、碍子間を結ぶ連絡線はひょろーんっと弛ませてある。気温差による伸縮を見込んでのことだろう。
まだ変電所敷地の全体像を撮影していなかった。入口のスロープは視座が低くて全体が収まらないので、敷地の一番奥から正面の門扉付近を撮影した。
そうそう…
上の写真を撮ったとき背中側には民家があり、全体像を収めるためにはかなり庭先に近い場所まで移動する必要があった。
また、私がフェンス越しに撮影している間じゅうこの民家の住民と思われる方が畑で土いじりをなさっていた。
(変な人と思われただろう…もっとも誰何されることはなかったが)
引き込み鉄塔の1回線分がスロープ付近にある鉄塔に伸びているのだが…
この引き留め鉄塔の機能がよく分からない。受けた電力を鉄塔の中ほどにある碍子に接続しているが、他に特殊なものは見あたらない。もしかしてJR関連とは別口の電力を運んでいて、ここから地中化されているのだろうか…
(これと似たような引き留め鉄塔が真締川沿い宗隣寺下にもある)
謎と言えば、入口スロープからも見えていた民家の裏側に建つこの電波塔らしきものも正体が分からない。この変電所および鉄道に関係があるのだろうか。
直方体の建屋の線路側には、宇部線へ給電するコンクリート柱が見えていた。
その方へ接近する。
フェンス門扉より線路側になる場所は自然の土ではなくコンクリート張りの床のようになっている。かつて変電所に関する施設があったのだろうか。
直方体の建屋の線路側になる。
2本のコンクリート柱で支えられた腕金と電線が線路方向に伸びていた。一般家庭向けの電線より太いしコンクリート柱も頑丈だ。
真下へ移動する。
同心円のお椀型を2つ重ねた耐張碍子で支持している。このタイプの碍子は鉄道では未だありふれているが、一般家庭用向けの電信柱では最近まったく見かけなくなった。
(かつて神原交差点の県道側にある最初の電信柱がこのタイプの耐張碍子だった)
電線が引き出されている建屋に接近してみた。
壁に取り付けられた碍子から太いコードが伸びている。その真下にはコンデンサーのお化けみたいなものが設置されていた。
明るさ調整して撮影している。
居能方面と小郡方面の標示が見えている。
この場所なのだが…
フェンスの外側は一般人の往来が結構あるらしく、自然な踏み跡ができていた。
それだけではなく何故か個人の持ち物と思われる物品がフェンスに寄せて置かれていた。
恐らく個人の持ち物なのだろうが、アルミ製の桑折、プラの衣装ケース、そして何故かバスタブも…
架線向けに調圧された電力は、同様に2本のコンクリート柱で支えられた電柱で線路方向へ送られていた。
張力に耐えるようコンクリート柱に引き留めワイヤが2本ずつ接続されていた。
敷地内にあるめぼしいものは一通り撮影したので、撤収ついでに線路側の接続部を観に行った。
石積みの両側は花壇や畑になっている。昔は個人の土地だったところの一部をJRが買い上げて饋電所を造ったのだろうか。
線路との接続部。
架線の上を跨ぎ饋電線に接続されている。重要な部分なせいか、何本ものワイヤで引っ張り支えているようだ。
電力がどのように流れているかは、先の建屋に”居能方面・小郡方面”という標示と共に別々の線が張られていたから、一定の決まりがあるのだろう。もっとも電気に関する知見は殆どなく、物珍しい機器などをカメラでパシャパシャやっている段階だからさっぱり分からない。
まあ、言ってみれば門外漢には訳が分からないので、その「分からなさ振り」が逆に興味深いとも言える。
(かなり苦しい強弁だ…^^;)
ここより宇部岬駅はすぐで、待避線のレールがここからも見えていた。
(向かって右側のコンクリート柱が架線を若干引っ張っているのが見える…パンタグラフの同じ場所が摩耗しないよう架線は中心よりジグザグを描くように張られているという)
冒頭でも述べたように、地理は若干分かりづらいがその気になれば容易に行くことができる場所だ。もっともこの記事如きに触発されてわざわざ現地まで観に行ってみようなんていう私と同様に奇特な方がいらっしゃるとも思われないのだが…^^;
相変わらず分からないものだらけなレポートだったが、いくつかでも分かるや追加の情報が得られたなら追記あるいは続編を作成することにしよう。
終