渡り八幡様【旧総括記事】

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記事作成日:2014/12/11
渡り八幡様は上宇部校区の大小路2丁目付近、風呂ヶ迫池の北側丘陵部にある古い八幡様である。
写真は一の鳥居の映像。


概略の位置図を示す。


渡り八幡様は同地区の守護社で、石の祠には寛政十一年(1799年)とあり歴史は古い。[1]鳥居にはかつて文化十年(1813年)と刻まれていたようだが、大正期に補修された模様。
上の写真の通り、渡り八幡様は現在看る人が誰も居らず藪の中に鳥居や祠などが取り残された状態で荒れ果てている。この状況は些か渡り八十八箇所に似るものがある。

渡りとは大小路2丁目付近に存在していた小字で、現在も自治会名として機能している。詳細は以下の記事を参照。
派生記事: 渡りとは

鮮明な画像を得るためになるべく両手を伸ばしてズーム撮影した。
「鎭守社」の3文字が見える。いわゆる村の鎮守の社を想起させる。


鳥居から先は雑木や竹が生い茂り、何が何処にあるかも判別し難い状態になっている。
春先以降は更に雑草が生えて接近自体が非常に困難となる。


鳥居から入って参道沿いに刀の部材のような石がみられる。
これは昔の鳥居の一部であることが判明した。


正面にコンクリート造りの祠があるが扉は破損しており石像などの類は完全になくなっている。


祠全体がコンクリート製なので、鳥居の修復と同時期ではないかと考えている。

祠を中心として左右に2基ずつの石灯籠がある。
保存状態は問題ないが一部は土台が歪んで傾いている。


この他、敷地の奥に八王子神を祀ったと思われる遺構が見つかっている。
《 アクセス 》
かつては風呂ヶ迫池から流下する川に沿って参拝道があったと考えられる。鳥居の前には常盤用水路が通じており、水路上を渡るコンクリート床版が設置されている。しかし現在は道を通る人がなくなったのか完全に廃道化しており踏み跡すら確認できない。このため常盤用水路に沿って歩く経路がもっとも容易である。

市道丸山黒岩小串線の山門八十八箇所から風呂ヶ迫池へ降りる地区道がある。


この地区道を下る途中、常盤用水路のNo.7隧道の上を通る。
左側に転落防止のネットフェンスが見えている


ここから水路沿いに歩いていくのが最も簡単であろう。
フェンス門扉は施錠されているがその横から水路の管理道へ降りることができる

2014年秋頃、新興住宅地の造成整備工事の関連で常盤用水路のNo.4吐口付近の伐採が行われた。現在は粘性土の斜面が剥き出しの状態だが、雑木が伐採され歩ける状態になったので建設中の住宅地から到達する方法もある。
《 個人的関わり 》
常盤用水路の全線踏査の過程で渡り八幡様の前を通っている。しかし初回踏査では気が付かなかったのか、あるいは存在に気付いてはいたが藪に埋もれた祠を薄気味悪く思ったのか撮影された写真が一枚もない。

初回踏査時は鳥居にあった文字から鎮守社と表記していたが、その後[1]により渡り八幡様の名称が判明した。
初めて記事向けに現地を訪れ撮影したときのレポート。
当時は何の知見も持たなかったので私的物件かも知れないと考えて踏査している。
時系列記事: 渡り八幡様【1】
出典および編集追記:

1. 上宇部歴史マップ 15番

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