大場山

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現地撮影日:2015/3/4
記事作成日:2015/3/11
情報この記事は山岳名としての大場山について記述しています。
地名および小字名としての大場山については こちら を参照してください。

大場(おおば)山とは、東桃山地区にある高峰の一つで、桃山3号配水池の西側にある。
写真は山頂付近の景色。


山頂部付近をポイントした地図を示す。[*]


大場山はおそらく公的な呼称ではなく、どの地図にも名称は記載されていない。地理院地図でも三角点設置の記載がされているのみ[1]である。頂上付近に設置された携帯会社による電波塔に宇部大場山基地局という名称が与えられている[2]ため、本記事において便宜上大場山の呼称を与えて記事を作成している。地元でも実際この名で呼ばれているかは調査を要する。
防長風土注進案には宇部村に存在する山野19ヶ所のうちの一つとして収録されている。ただしこの場所のピークではなく現在の 宇部変電所のある高台かも知れない。(後述する)
《 アクセス 》
桃山配水池の3号配水池前の駐車スペースから更に西へ向かう荒れ道を進む。
配水池のフェンスが途切れる辺りから登り坂になる。


坂を登るとすぐに台地状の頂上へ到達する。
頂上まで未舗装路が通じており一応は車でも進攻可能である。


3号配水池駐車場からここまでの距離は150m程度であり、容易に訪れることができる。ただし列挙された写真からも推察されるように、頂上からの眺めはまったく効かない。ひたすら周囲に丈の高い草や藪が広がるのみである。このため鉄塔などの構造物に造詣が深い探索者でもない限り訪れる価値に薄い。

地形的には大場山は電波塔を中心とした周囲が平坦で何処が最高地点なのかが不明瞭な地勢となっている。この理由は早期に電波塔が設置され、そのときに頂上周辺を削って平坦地を確保したためと思われる。露岩は殆ど見当たらず、地山の露出する部分は概ね風化の進んだ粘性土である。
以下説明用に若干写真の掲載順を入れ替えている

もっとも大きな電波塔に向かう道の左側途中に携帯会社の基地局がある。


反対側から撮影したところ。
このような枝部分があるので四輪で乗り入れても転回は容易だ。
ただし赤土なだけに雨が降るとかなり地面がぬかるみそうな気がする


このような塔が建っている。
真下まで近づくことはできるが、フェンスの外から観察するのみである。


メインの道は山頂周辺で一番大きな建物と塔の前で行き止まりになっている。
フェンスは施錠されていて当然立ち入れない。


宇部テレビ中継放送局(日本放送協会・山口放送株式会社・テレビ山口株式会社)および(株)エフエム山口宇部中継放送所という銘板が壁に貼られていた。
銘板のズームはこちら


このテレビ中継塔の少し手前に分岐路があり、更に西の方へ進む踏み跡が見つかる。
その道は暫く平坦に進んだ後、最後に下り坂となる。


下ったところに別の携帯会社の基地局があり、道自体はそこで行き止まりになっていた。


初めてこの枝道を訪れたとき、昔からの道でこのまま向山の方まで行けるのではないかと思われた。
しかし予想に反して今まで調べられた限りではここから西へ行ける道は知られていない。順当にいけば尾根伝いの道がありそうなものだが、昔はあったにしても通行需要がないせいで失われてしまったのだろう。

この基地局の周辺は宇部興産(株)の社有地を含むらしく一部に古いコンクリート境界杭が見つかっている。
4つの面に漢字一文字づつが陰刻されていた…拡大写真はこちら


この経路を引き返したときの映像。
基地局まで直線的に草が刈られており、その両側は一面背の高い藪でまるで見晴らしが利かない。


したがってこれは昔からの道ではなく、携帯会社が基地局を造るときの工事用進入路として造った経路だろう。大体、山の頂上付近がこれほど平坦を保っていること自体が不自然だ。大場山という山がここにあったとしたら、昔の姿ではないだろう。

電波塔を横から撮影。
遠隔操作されているらしく保守目的以外では訪れる人もなさそうだ。


電波塔に向かう道との分岐点。
順序を入れ替えたというのも、この写真に見えるように訪れたとき電波塔の前に車が停まっていたからだ。
車が特定できない程度に離れて撮影している


現地を訪れたのは平日の午後であり、こんな何もない場所に誰も居る筈がないとばかり思っていた。それだけに一番丁寧に調べたい肝心の電波塔の前に営業車が鎮座し、車の中で昼休みを過ごしている人があることに驚いた。それ故にお行儀の悪い探索を行うこともできず退散した。
誰も居なければ藪を漕いででも三角点を探そうと思っていたのが…

今のところこの見晴らしが利かない小山に残された僅かな興味は、この三角点が何処にあるかという程度である。現地を訪れることに困難はないし車でも可能だが、とにかく「行っても何の眺めも期待できない」ことだけは繰り返して言っておこう。
《 三角点について 》
大場山の最高地点と思われる箇所に国土地理院の三角点が設置されている。[1]標高は74.4mとなっているが、本編のような状況であったために長らく確認できていなかった。[3]

2017年春先の踏査により、標識柱を伴う形で三角点の位置を特定できた。
電波塔入口のフェンス門扉横の高い場所だった。


この辺りは以前訪れたとき標識柱は存在しなかった。礎石自体は標識柱のすぐそばにあったものの標識柱が失われていたために気づかなかったものと思われる。
三角点の等級は礎石を見る限りでは2等のように見えるが標識柱には書かれていない。[5]
等級の数字部分のみ白地となっている
《 個人的関わり 》
高台に電波塔があることは昔から知っていたし、遠方からも視認できる。しかし初めてデジカメによる撮影目的で現地を訪れたのは2010年の7月であった。頂上には特に見るべきものもないため幼少期も親に連れられて訪れたことは恐らくない。配水地近くの高台に前職の知り合いがいて家まで行ったことはある。
《 大場山について 》
大場山(おおばやま・おうばやま[4]は大字中宇部および大字中山に跨る小字で、かつての中山村に属する部分は大羽山と記述される。この状況は隣接する開立(かいだて)について中山村側は貝立と記述されるのと同様である。
なお、本記事で言及した山地名としての大場山は字大場山ではなく大字藤曲字北山田になる。

大場山の「大場」が意味するものとして”目立った山”が想像される。あるいは黄幡にまつわる王馬との兼ね合いもあるのかも知れない。黄幡公園に代表される地名の黄幡(おうばん)は、西岐波村にも同じ読みの大番という字名が知られ、これは労役用の牛馬を弔った黄幡社に由来するとされる。開立周辺には現在も畑地が広がり、昭和中後期までは現在より更に畑地面積が広かった。このことからかつて大場山の裾野まで開墾地で牛馬が重く使われた可能性はあるだろう。

大羽山の北東にあるやや低い峰が小羽山(こばやま)である。この丘陵部を削って宅地開発したのが現在の小羽山ニュータウンに相当する。ただし読み方は恐らく昭和中後期以降「おばやま」と変化している。
出典および編集追記:

* 2017年4月の再訪により三角点の位置が確認されたので一部編集追記を行っている。
Yahoo!地図では電波塔のある位置に正方形の水槽があるが如く水色に着色されているが、この理由は不明である。また、最初期に訪問したとき電波塔の建屋側面の壁にはNHKやTYSなど共用している中継局のサインがペイントされていたが、その後壁を塗り直す際に塗り潰されている。

1.「地理院地図による三角点の位置」その後の再訪で三角点の標識柱と礎石が確認された。

2. NTTドコモの電波塔では宇部大場山基地局となっている。ただし少し離れた場所にあるKDDIの電波塔では宇部西基地局となっている。

3.「FBページ|2015/3/10投稿分」の読者コメントにこの三角点の位置に関する示唆がなされている。(要ログイン)

4. 金山に至る中国電力による家庭向け配電線の経路標識板には「オウバヤマ」という記載がみられる。

5.「FBページ|2017/4/28の投稿(要ログイン)

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