春日公園【旧版】

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現地踏査日:2013/10/18
記事編集日:2013/10/22
春日(かすが)公園は市公園緑地課の管理する近隣公園の一つで、寿町一丁目に存在するとされる。[1]
写真は園内の代表的な風景である。


この公園の位置を示す地図である。


地図の改定があるので今後もずっと同じとは言えないが、少なくともこの記事が公開されてから間もないうちなら上のYahoo!地図でポイントした場所には紛れもなく春日公園の文字が見える筈だ。そして公園の範囲を示す部分が薄緑色に塗られている。

それなりに近い場所へ住む人なら、春日公園なんてあったっけ?と思うだろうし、やや離れた場所に暮らす人も聞いたことはないけど多分自分の知らない公園があるのだろうと考えると思う。
春日公園の分類されている近隣公園とはどのようなものを指すのか分からない。しかし既に記事化しているものとしては南神原公園が同じ近隣公園というカテゴリに入る。南神原公園はちょっと鬱蒼とした森のようであるが、子どもたちが遊ぶには申し分のない遊具が設置されているしトイレやベンチも備わっている。

ところが…
いざ春日公園とされる地を訪れてみると、そこには殆ど予測もつかない景観があるのだった。

この公園には何もない。
下の写真は、春日公園のごく一般的な景観だ。
読者にはここが公園に見えるだろうか。


若干線路側に寄って撮影している。
右側の車が停まっている場所は市道春日町線、そして簡素な柵を隔てて宇部線が通っている。春日公園とされる領域は市道と宇部線に挟まれた部分とされる。


公園と言ってもまず入口がない。当然、公園名を表示する柱などもない。遊具はもちろんのこと、ベンチなどおよそどの種類の公園にも備わっているべきものが何一つない。

本当に近隣公園なのだろうか。
もしかすると私は何が酷い勘違いをしているのでは…という気になってきた。


いや…ここは公園なのだ。
そのことを静かに訴える立て札がある。


「公園内につき駐車禁止」を訴える立て札。
その下には微かに「…園管理事務所」の文字が見えた。設置されてかなり経つらしく押しピンは酷く錆び付き、ビニルで覆われた貼り紙も半分近く剥げていた。
恐らく「宇部市公園管理事務所」と表記されていたと思われる


それでも市の管理する公園だという推測がつく。そのことは市道と緑地の間に置かれた駐車禁止のセフティコーン、乗り入れ可能な部分に張られたトラロープから分かる。市道を駐車場代わりに使うのと同様に、緑地の中へ車を突っ込んで停めるのも阻止したい意図が読み取れる。

大方の読者が一連の写真を見て感じるのと同じ気持ちを共有する。
意味が分からない。
現状は誰の目にも公園ではない。しかし…もしかすると昔はちゃんとした公園だったのだろうか。あるいは現在計画中で今後は他の近隣公園と同程度に整備される途上なのだろうか。

公園とされる殆どどの部分も膝下くらいの草で覆われている。木々もかなり伸びていて、植えられたのがかなり以前のことのように思える。


そのことから、昔は公園だった可能性があるかもと感じた。もしかすると赤崎児童公園(仮称)のように草むらの中に遊具などが隠れているのかも知れない。
何もないただ草だけが生えたこの中を歩き回り写真を撮る私の姿は如何にも奇特だった。もっともここが真に春日公園なら、園内を散策しつつカメラを構える一般来訪者に寸分違いはせず、お咎めを受けるかもと心配するには及ばない。
後は客観的にも奇特な行動に映る周囲の視線に耐えられるかという本人の問題だけだ^^;

市道の終点部分から更に先を歩いてみて、足元に道路側溝の痕跡のようなものを見つけた。
コンクリートの中の骨材が部分的に現れていて如何にも古そうだ。


これはL型側溝の一部だろう。交通量のそう多くない道路で雨水を簡易処理し流すため縁部分に設置される。

L型側溝の頭の高い部分が公園側に向いていたので、市道の終点部分から先の延長部分のようにも思われた。
それは塩田川の上流に向かって伸びていた。


まさかこの緑地部分を利用して道路を延ばそうとしていたのだろうか…
それはちょっと考えづらい。そのためには塩田川の上に蓋を掛けなければならないからだ。これからバイパスなど主要道路ができるならまだしも、この先にある市道栄町線まで繋げたとしても殆どメリットがない。

先へ進むにしたがって塩田川が線路際へ寄ってくるため公園とされる領域は狭くなってきた。


名前は失念したが何処にでも見かける低木が塩田川に沿って植わっていた。
妙に天辺が平らだ。意外にもキチンと剪定されているように思われた。


冒頭の地図では市道栄町線に接するところまで春日公園の領域ということになっている。
実際に「公園内」を歩いて行けるのだろうか…先を辿ろうとしてみたのだが…
試してみるまでもなく無理。


背丈を超える雑草が生い茂っていて、全然人が立ち入った形跡がない。
まあ、藪漕ぎの度胸があれば物理的に進めないこともないが、こんな街中でわざわざ一番歩きづらいところを進んでいたら精神構造を疑われそうだ…

限界地点。
塩田川がゆるやかにカーブして線路側に寄っていて、最終的に春日公園とされる領域の幅がゼロになりそうな気がする。


この場所から振り返って撮影。
線路敷に立ち入られるのだけは防ぎたいようで、ここにも簡素なトラロープが張られていた。


結局、公園にありがちなものを何一つ見つけることができないまま撤収することとなった。


市道の終点付近になる開口部。
行き止まりの道が認定市道であることも不自然だ。この辺りに正規の公園入口など造る用意があったのだろうか。


線路側の表示だけは厳しい。ロープだけでなく線路敷への立ち入りを禁ずる標示板がこれでもかって程に出ていた。


マンションへ出入りする住民や関係者はそれほど多くなく、冷たい視線を気にすることなく偵察できたのは僥倖だった。それにしても草むらを歩き回ったため、ズボンにかなりの”ほいと攻撃”を受けた。

この翌日、市道栄町線側から春日公園の部分に進攻できるのか検証した。
市道栄町線の新堀橋から春日公園方向を撮影している。


橋の接続部分付近では宇部線と塩田川の間に柵はなく、ただ草むらが見えているだけだ。
通れないことはないが、どう見ても「線路敷内立ち入り」になってしまう。


ズームで撮影している。
あの低木が植わっている場所までが春日公園としての領域に思える。
この日は曇りがちで光量不足のためズームのピントが甘くなっている


行き止まりの市道と共に謎めいた存在だ。何かの背景があるにしても、ここに市の土地が残ってしまったので春日公園という緑地状態にしておいて、そこへ到達する手段として認定市道としたようにも思える。
塩田川を真締川に接続するとき現状のように下流へ向けて曲げて接続したのは、神原炭鉱を閉鉱した後の耕地整理時代だった。[2]

この公園は今後どう変わるものだろうか。
今すぐ整備されて他の近隣公園に肩を並べる姿に変遷するとは思えない。こんな細長い土地では利用のしようがないし、今まで公園でなくてもってきたわけだから需要もなさそうだ。第一、宇部線に接しているのでもし公園にするなら線路へ入り込めないよう延々と柵を設置しなければならない。

市道への青空駐車が多い現状を鑑みるなら、駐車スペースとして整備する方が歓迎されるだろう。もっとも駐車場にするほど停める車は多くない。まして線路際の駐車場は車が汚れやすい宿命を抱えている。[3]

結局、「今まで緑地のままであったのだから今後も暫くは緑地のまま」にされるだろう。たまさか公園化されるなどの変化が起きたなら、続編を作成することになるが…
出典および編集追記:

1.「宇部市の都市公園一覧

2.「琴芝」p.18など。

3. 特に駅に近い場所では列車のブレーキで鉄粉が散り車体に貼り付く。長く留め置いた車などに付着した鉄粉は取り除くのが大変である。
大学時代駅に停めた自転車に茶色の斑点がこびりついて困った

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