常盤公園・青年の家【1】

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現地踏査日:2013/7/15
記事編集日:2014/8/5
青年の家の閉鎖を知ったのは割と最近で、ジョギング駐車場の案内から青年の家の文字が削除されたことで閉鎖されたらしいと見当がついた。その後市のホームページを閲覧することによって閉鎖時期も明らかになった。

閉鎖の理由は明確にされていないもののおよその見当はついた。利用者が少なく採算面で難があったのだろう。常盤池の北側にあるユースホステルも恐らく同様の問題が生じただろうが、指定管理者制度に移行し現在も営業を続けている。青年の家は更に需要が低かったのだろう。

今後青年の家の建物がどうなるかは分からない。老朽化が酷いとか別の建物を造る計画があれば壊されるだろうが、外観はそれほど酷い状況ではなかった。改修して何か別の用途に転用するのでもない限り、暫くはそのままだろう。現に閉鎖されて既に一年が経過している。
いずれにしろひとたび閉鎖されながら全く改装もせず同じ宿泊施設として再出発するとは思えないから、現在の「青年の家」としての建物を記録に残しておいた方が良いのではないかと考えた。一度も訪れず自分自身何の想い出もない状況ながらこの建物を一物件として撮影記録する気になった理由である。

この日は常盤池の周遊園路の記事を制作できるだけの丹念な写真を撮ろうと訪れていた。例によってジョギング駐車場に車を停め、右膝のリハビリも兼ねて周遊園路を東條あたりまで歩く積もりだった。
ここへ差し掛かったとき、先のような考えがふと浮かんで、ちょっと偵察してこようという気になったのである。


あれでも一度くらい、自転車でここまで乗り付けたことはあると思う。もっとも外観のみ確認してすぐ引き返したらしく過去の写真は一枚もない。
カメラを向けるのが自分としては今回が初めてである。


大小2つの2階建てがあって、その中央に玄関を持つ構造だ。
廃墟のような様相はないが、明らかに人の気配がしない。


ここまで歩いてきて初めて青年の家の標示板が出ていることに気付いた。
表札のような存在なのに正面を向いていない。玄関に正対しているような位置関係だ。


かなり大きな割石を積んでコンクリートで練り込んだような壁。
昭和中期に特有の造りで、市街部の公園の外壁にも好んで造られていた。


建物が転用されるか破壊されるかにかかわらず、この石版は確実に外されるだろう。
失われないうちに撮影しておいた。


玄関部分はガラスの両開き扉だ。既に玄関前には草が生え始めている。
ガラス扉とポストに貼り紙がしてある。何が描かれているかおよそ見当はついた。


閉鎖を案内する貼り紙が出ていた。
グラウンドやキャンプ場は今まで通り使うことができて、窓口が湖水ホールに移されている。


年号がないが7月1日付けの廃止というのは2013年、去年のことである。[1]ポストも封鎖されていたし、試してみるまでもなく扉は施錠されていた。
どんな施設だったんだろう…
中へ入ったことはついぞ一度もなかった。あれでも遙か昔、幼稚園や小学校時代の行事で訪れたことがあるかも知れないが、自分の中では何の記憶もない。
ユースホステルには幼稚園時代に宿泊に行っている

ガラス越しに中を覗き込んだ。
外がもの凄く明るい割に内部はかなり暗いのでカメラの明るさ調整に工夫が要った。後ろから差し込む光の反射は避けられなかった。
部屋の標示板が何となく学校の教室をイメージさせる。背面の玄関が反射して二重写しのようになってしまった。


撮影した写真を現地で確認するまでもなく、誰も居ない建物の中は不気味な雰囲気があった。廊下の方は割と明るく見えるのだが、玄関前に木々が生い茂ってしまったせいかロビーが異様に暗いのである。
画像がザラついた感じなのは光量不足のため

カメラのレンズをガラス扉に密着させたまま左に振ってみた。
何を片付けた後なのだろうか…階段の横に空の段ボール箱などが積み上げられたままだった。


2階に向かう階段。
下の空いたコンクリート板を並べたスタイルは、陸上競技場のものを思わせた。
階段の端に写り込んだ怪しい白いモノはエクトプラズム…嘘です^^;


下駄箱にはまだスリッパが仕舞い込まれたままだった。しかし床にモノが散乱しているなどということはなく、意外に片付いている感じがする。


ここから中を覗くにも限界があるので、玄関の横を通って奥へ進んでみた。

これは単車や自転車置き場だろう。造り付けが如何にも学校の駐輪場を思わせる。


玄関横の部屋はガラスが艶消し加工されているので内部は分からない。
隣接して一般の民家のような木造平屋があった。


一瞬、カメラを向けて良いものかどうか迷った。傍目にも青年の家とは無関係な民家に思えたからだ。
しかし青年の家以上に生活感がない。この平屋は宿直室のような役目だったのだろうか…


木造平屋と青年の家との間は燃料機具庫らしい。火気厳禁の札が下がった小屋があり、手前の倉庫からはアルミの煙突が立ち上がっていた。


このあたりはかなり草まみれで進攻はちょっと躊躇われた。
一段高くなっている浄化槽のようなコンクリート部分を越えて端まで歩く。

その端に草まみれになった低いフェンス門扉を見つけた。
周遊園路からの出入口だろう。


この先が何処にでてくるか想像がついた。
常盤橋を渡って常盤池の岸辺をなぞるように進むやや狭い周遊園路の一部だ。


そこから先は何処へも行けなかったので一旦引き返した。

一旦通り過ごした民家っぽい平屋が気になる…廃屋にしては新しいし、かと言って誰も住んでいそうにない。
一般の民家だったら庭先をうろつき回るのは不審者の匂いプンプンだが、これは青年の家に付属する宿直部屋だろうと勝手に決めつけて、裏手まで回ってみた。

(「常盤公園・青年の家【2】」へ続く)

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