常盤公園・青年の家【3】

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(「常盤公園・青年の家【2】」の続き)

厨房横の扉のところへ来る段階から分かっていた。
裏庭が荒れ放題になっていた。窓際に植えられた樹木も剪定されないために窓を隠すほど伸びていた。


裏庭に通路がある筈だが今やそれも不明瞭なほど雑草が伸びていた。
この手の景観を嗜む身にとっては、熟成に向かいつつある廃の光景に見える。


廊下側の窓は開放的だったがさすがに近づこうという気にならない。
一年ちょっとでここまで伸びてしまうとは…


廃を醸し出す代表選手、ツル系植物である。
更に次の一年間このままだったらかなりエラいことになるだろう。


ガラス越しに内部は見えたが、この付近は日の光が少なく撮影しても鮮明に写らないと思ったので素通りした。
更に左側の奥に何やら怪しいものが見えている。


あれは…藪に飲み込まれつつある水飲み場では…
その横にはフェンス門扉の残骸もある。


いや、多分残骸ではない。青年の家が営業している間は使われていたのだろう。
出入口の外は緩い斜面になっていて周遊園路の細道に繋がっていた。


周遊園路は何度も歩いたことがある。そして青年の家の建物の存在にも気付いてはいた。ただ、それが青年の家という施設である認識がまるでなかった。

この水飲み場は一体またどうしてこんなことに…という感じがした。
コンクリート造りなので草木がその中で育つ筈がないのである。しかしそのセオリーすら覆すように水飲み場の裏側から伸びたツタ系植物が中まで侵入していた。


蛇口をひねってみたが当然ながら水は停まっていた。
この荒れようだと閉鎖される去年以前から使われていなかったのではないだろうか。


この水飲み場に正対する窓を覗いている。ここは何の部屋だろうか…
何やら横置きにされた看板が見える。吊されたままのハンガーもあり、物置のように見える。


裏庭の一番奥だ。先ほど横を通った煙突が見えている。2階の部屋にはカーテンが閉められていた。
時期をとうに過ぎたアジサイが誰に見とられることもなく枯れて侘びしさを醸し出していた。


一面草ぼうぼう。
その奥には…何だろう…水色の板で仕切られたよく分からない施設が見える。


最初、かけ流しの男子トイレか何かではと思った。
どうやらシャワー室らしい。壁からそれらしき管が見えかけている。足元は枯れ葉が積もっていた。前面の扉も屋根も失われていて完全に廃の領域だ。
左側に見えかけている暗がりが凄く気になるが…


本当にシャワー室だったんだろうか。どうも怪しい。そもそも近くにプールなどない。ここでシャワーを浴びる意義に薄いと思うのだが…


壁には蛇口とノズルが遺っていた。蛇口は緑錆が浮き上がっていてまったく触られた形跡もない。
入口のドアはもちろん壁も天井もない。どうやって使っていたのだろう…


シャワー室奥の差し掛け小屋に入ってみる。
ボイラーのような設備に見える。もしかして屋外で温めた湯を浴びていたのだろうか…


反対側から撮影。
スレートの壁に穴を空けて煙突を通している。シャワー向けの給湯器だろう。
まだ片付けられないゴミがそのまま放置されていた。


もしかしたら室内プールでもあったのだろうかと思い、ドア越しに中を覗いてみた。


プールではなく男子トイレだった。
閉鎖される直前まで使われていたらしく、タイルの洗面の上に石けんの箱がそのまま置かれていた。その先は外からの光が届かずよく見えなかった。トイレやお手洗いではなく率直に「男子便所」と明記しているあたり昭和の匂いが感じられる。


そう…それで良いのだ。
何しろ昭和中期に開設された施設である。昭和の匂いが漂っていなければならない…トイレはまあ許容範囲として、お手洗いという言い方ではちょっと逃げ腰だ。そもそも事後に手を洗うべきなのは分かるとして、手を洗いに行くための場所じゃあないし…まして化粧室なんて表現は逃げもいいところだ。昭和の男子たるものは化粧など論外なのである。もうここはストレート勝負で「男子便所」。これでいい…それでこそ昭和だ。
何熱く語ってんだか…^^;

お手洗い…ではない便所の横は…これが外の明かりが反射してよく見えない。
またしても二重写しのような奇妙な写真になってしまった。


宿泊室らしい。しかしこの場所では明瞭な写真が撮れなかった。
そこで別の窓へ移動した。

(「常盤公園・青年の家【4】」へ続く)

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