常盤池・ながしゃくり

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記事公開日:2015/3/31
常盤池におけるながしゃくりとは、古地図に記載されている主要な7つの入り江の一つで、県営常盤用水路の終点地として知られる。
写真は常盤用水路の注入口上からの撮影。


入り江の先端部分をポイントしている位置図である。


常盤溜井之略図にもその名称が記載されている。


常盤溜井之略図でのながしゃくりは些か屈曲が誇張されてはいるが、その特徴をよくとらえている。入江の先端部から常盤池本体までは細長い水路のようになっており、途中で屈曲している。このため入江の先端からは直接常盤池全体は見えない。ながしゃくりという名称は現在では入江の外形に由来すると考えられている。

常盤用水路の注水口がある入り江として知られる。灌漑用水需要期には現在でも末信潮止井堰より末信ポンプ場で汲み上げられ、厚東川の水が自然流下している。園路の端に近代化産業遺産認定プレートが設置されている。


常盤池に流入する自然河川は少ないので、現在では常盤池の水の大半は常盤用水路経由の厚東川由来と考えて良い。

周遊園路と常盤用水路との交点はボックスカルバートが埋設されている。これは恐らく平成期に入って周遊園路を整備したときの施工と思われる。
初期はどのような状態だったかは分からない


ながしゃくりは常盤池にある7つの入り江の中でもっとも細長く幅が狭い。入り江の先端からにしめの鼻まで延長は500m程度ありながら入り江の末端部分でも幅が100m以下である。幅が狭いため水深も浅く、低水位時には先端から数十メートルが干上がり川のようになる。


常盤用水路による工業用水の流れ込みがあるため、入江の先端付近から両岸にかけて角度の浅い人工的石積みで補強されている。

入り江の左岸は途中まで枝線が延びているが、行き止まりになっているのは高畑の入り江左岸と似ている。


にしめの鼻に至る古道はこの途中から山手に向かう形になる。
入り江の両岸とも土質は殆ど礫質土ないしは真砂土系粘性土で、露岩が殆ど存在しない。このため水位上昇で浸食を受けやすい。右岸には浅い別の入り江があったようだが、護岸整備により原型を失っている。この小さな副次的入江は明治期の絵図にも記載されている。

入江の屈曲点を過ぎることで周遊園路から常盤池の中程までを見渡せるようになる。


右岸に沿って周遊園路が通じているので汀付近および対岸の視認は容易である。他方、左岸自体にはにしめの鼻に到達する道以外なく、汀への接近は常盤池の水位が低くても非常に困難である。
《 アクセス 》
周遊園路が通じているので徒歩なら常盤スポーツ広場駐車場に車を停めて容易に到達できる。ただし園路は自転車の乗り入れ通行は禁止されているので、自転車に乗って到達できる別経路は少ない。市道常盤公園開片倉線の途中から地区道を経由し、常盤用水路の刻む深い沢の途中に出て薬草園付近に到達する経路があるが、数回通らない限り市道からの入口を覚えるのは困難である。
《 その他の記事 》
低水位期に入江近辺を辿ったときの様子。
派生記事: ながしゃくり【1】

東側の入江 東側の入江に移動 西側の入江に移動 西側の入江
金吹楢原


《 地名としてのながしゃくりについて 》
記事編集日:2016/4/2
常盤池の入江としてはもっぱら平かな表記されるが、小字としては長尺り(ながしゃくり・ながじゃくり[1]と漢字表記されることが多い。派生小字として南長尺りがあり、入江のながしゃくりは南長尺りに位置する。小字の長尺りはそれより内陸部にあって常盤池には接していない。

入江の名称は細長く伸びるさまに由来するとされるが、通常沢地が細長い状況は目視ですぐ分かるものではなく常盤池として湛水されて初めて明らかになるので、地名は入江の名称をそのまま継承したと考えられる。常盤池の築堤に伴い池の水が細長い沢地の奥までしゃくるように侵入してきたさまを形容したものではないかと考えている。

場所は市外まで離れるが、秋吉台に「ながじゃくり」という比較的大きなドリーネがあって国土地理院の地図にも名称が記載されている。


このドリーネも他のものと比べて細長い楕円形をしており、恐らくその形からの命名であろう。

現在のところ長尺りを明示した構造物などは見つかっていない。字長尺りの場所は現在の開4丁目に相当し、既に小字の用いられる余地がないことから字名の書かれたものを現地から探すことは困難だろう。
同じ開地区に岩免(いわのめ)りと表記される小字が存在する。由来は異なるが長尺りと命名性が類似しているので、地名発生にあたって相互に影響を及ぼしているのではないかと思う。
出典および編集追記:

1. 入江の名称としては専ら「ながしゃくり」と呼ばれるのに対し「山口県地名明細書」では「ながゃくり」と記載されている。

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