常盤池・楢原【1】

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現地踏査日:2010/11/23
記事公開日:2013/1/3
本編および後続記事では、楢原の入り江の現地歩行踏査を収録する。
本編で収録しているのは、以下の地図に示される区間である。


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(「常盤池・楢原鋭角点【2】」の続き)

入り江に注ぐ小さな川には石やらブロックやらが溜まっていた。
そこを足掛かりに反対側へ移ることができた。


振り返って撮影。


いつの時代に築いたやら不明な石積み。それもきちんとした間知石を揃えたのではなく乱積みで種類もバラバラだ。
しかし池の底に接する部分は直線を形成している。


このあたりは通常水位ならまず接近できない場所だ。


汀ぎりぎりまで寄って入り江の先端部分を撮影している。
遠浅で恐らく満水位でも足が底につく程度の水深だろう。


自転車から離れるのが気になるが、もう少し入り江の出口に向かって歩く。
前方に例の四角いコンクリート塊が、その更に先には白鳥大橋が見えていた。


小さな半島部分にさしかかったとき、足元の土質が急に変化した。


砂の堆積した入り江先端部分とは異なり、この近辺は一面に粘り着く真砂土状の粘土だった。


長時間空中に晒され粘土は細かな粒子となっていた。しかしある程度水分を保っているようで、踏み締めて歩く毎に靴の裏へどんどんくっついていく。忽ち足の裏が重くなってきた。

その先には降りてこられる場所が見つかったので、一旦撤収する。
自転車からあまり離れたくなかったからだ。


市道へ戻って自転車に跨り、最初にあの水没建築ブロックを眺めた駐車場に接近する。
より近くから観察できるし、汀へ降りられる場所があることも確認できていた。


車が停まっている空き地の端まで自転車を乗り入れ、そこから斜面を下って汀へ降りた。


その物体は自転車を停めた空き地から既に見えていた。接近するにも限界があったが、可能な範囲で写真に収めた。
詳しくは以下の派生記事を参照。
派生記事: 水没コンクリート構造物
その後、先ほど辿りかけて引き返した場所に向かった。
学生アパートの見えているあの半島部分だった。


半島の横、入り江に対して出口部分に古い石積みがみられる。
この半島部近くに住んでいた人によるものだろうか…


間知石だけでなくいろいろな素材が混じっている石積みだ。
下の方は波に侵食されかなり崩れている。


間知石、建築ブロック、レンガの欠片、コンクリート片、果ては墓石らしき素材まで混じっている。
現代だったらこうまでして岸辺に何か積もうとは思わないだろう。


前の写真でも分かると思うが、この半島の前後で土質が変わっている。
それまでは広場の土みたいな普通の土砂だったのがこの周辺一帯は粘土系の真砂土だった。


波に洗われて表面がおよそ真砂土らしくもない文様を描いている。


場所によっては赤土っぽかったり茶色だったり灰色に近かったりする粘土だ。


水に洗われている部分はそうでもなかったが、陸地にあって乾いている粘土は酷く足に粘り着いた。歩いているだけで少しずつ靴の裏にひっつき、次第に厚くなっていく。まるでウェイトトレーニング用の靴を履いているかのようだ。

先ほど偵察した場所を確認したので、そこで引き返した。
靴の裏に粘土がくっついた状態で砂浜を歩くと、今度はまた新たに土がくっついていく…


そして自転車を停めて降りてきた斜面がまた粘着系の真砂土だ。靴の裏が重い。

こんな状況だ。
これでもいざり足で結構粘土を振るい落とした方なのだが…


自転車の元へ戻り、付近の草地で足の裏の粘土をこそげ落とした。それでもこの真砂土の粘り着きようと言ったら…


車ならともかく足元が通行人に丸見えな自転車なのでかなり恥ずかしかった。
まあいい…低水位によって今まで見えなかった情報がもたらされたのは期待していた通りの収穫だった。それにしても水没建築ブロックに続いてまた新たな未解決物件を抱え込むことになったのだが…

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本編の続編は、楢原の入り江踏査で興味深い成果が得られたときに作成する。

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