常盤池・楢原【3】

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現地踏査日:2010/11/23
記事公開日:2013/1/18
本編では、楢原の入り江の左岸中間部における低水位踏査を収録する。
収録しているのは、以下の地図に示される区間である。
前編の楢原【2】とは踏査方向と時期が異なる


この踏査は低水位に乗じて半島部の先に存在する水没コンクリート塊に接近する過程で行われた。撮影写真枚数が多いので、汀踏査と記事を並列させている。

同時進行するコンクリート塊物件の記事は以下を参照されたい。
派生記事: 水没コンクリート構造物【3】
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市道楢原線の終点から小さな入り江を見おろすように撮影。
道路からの高低差は5m以上ある。傾斜がきつい上に落ち葉が溜まって見るからに滑りそうだ。さすがに危なくて直接は降りられない。


市道の終点となる直角カーブにミラーが設置されており、そこに入り江方向への竪排水が設置されていた。
ここから降りれそうだ。


竪排水はかなりの勾配で、落ち葉が溜まっていた。その上へ不用意に足を置くとどういうことになるかは予測できたので、側溝の縁に足を掛けて降りた。


岸辺は原始林で覆われているせいか、夥しい枯れ葉が積もっている。力尽きて斃れた樹木もあった。


楢原に付属する微細な入り江。
正面の右岸側は高専グラウンドの端になる。既に半島の先端部分にあのコンクリート塊が見えていた。


振り返って撮影。入り江に流れ込む水は殆どない。
現在の市道もある程度入り江の先端を埋めて堰堤にしているのかも知れない。


微細な入り江の対岸。
この部分は張り出した原生林が進攻を邪魔しそうだし、特に変わったものは見受けられないので目視で済ませることにした。


元々が水没コンクリート塊の接近目的なので、左岸に沿って入り江の末端部に向かって歩く。


半島部の端は護岸が切れていて自然の岸辺になっていた。
そのため岸辺の侵食が酷い。


可哀想だが…この結構な幹径のある樹木が斃れるのはもはや時間の問題だ。
根の殆どが空中に露出し、幹の真下は中空状態になっている。


半島部分の護岸の末端は、如何にも大雑把な施工状態である。


元々はきちんと岸辺に向かって巻かれていたのだろうか…
端が酷く崩れている。その内側には何のためか分からない柱状のコンクリート資材が放置されていた。


半島部の真下に到達する。実際にはこの石積みに正対して例のコンクリート塊が若干沖合いに鎮座している。
石積みの高さは2m程度。標準時でも水深は1m程度だったらしく護岸の真下は砂溜まりになっていた。


砂溜まりはその上を歩いても沈み込まない程度に乾いていた。石積みの真下に何やらニワトリの卵のようなものが数個見える。

半島部分から打ち込まれたと思われるゴルフボールだった。
見たところ外観は綺麗でかなり新しい。


ざっと見回しただけでも3個が転がっていた。汀の先の見える場所まで飛んでいるボールもいくつかあった。
この半島部からナイスショット!を放つ積もりがチョロ数発放ってしまったのだろうか…


この砂溜まりは入り江の末端部分に向かって緩やかに傾斜しているらしかった。
途中から護岸の下まで水が入り組んできて進攻できなくなった。


ズーム撮影。
しかしここから先は前編の「楢原【2】」で白鳥大橋から辿ったとき護岸の上から眺めたので、これで足りるだろう。


水没コンクリート塊の方も必要充分な枚数とアングルで撮影しておいた。その後、足元に散らばっていたゴルフボールを拾い集めた。

私はゴルフなどまったく嗜まないので持ち帰るのではない。池の清掃の積もりだ。常盤池には大型の水生動物は居ないが、これが海洋だとカメの卵と誤認して飲み込んでしまい、腸閉塞を起こして死んでしまった…という事態が有り得るだろう。
流木や枯れ葉とは異なり、こういった合成樹脂や繊維系のものは相当期間放置されても容易には自然に還らない。ロストボールは新品同様でまだ充分に使えるので、分かる場所に置いておけば再び練習に使いたいという人の利益にも適うだろう。もっとも十分多くの個数を拾い集めることができる場所なら、オークションなどで売り捌くことを考える人が出てくるかも知れない…

で、拾ったロストボールは、先ほど撮影した護岸の端のところに上げておいた。用途がよく分からないコンクリート柱状の部材が並べられている場所だ。


たまさかこの写真と場所を知ったゴルファーでも新品のロストボール4個程度のことで回収には行かないだろう。低水位時の今ならそう困難はないが、標準水位に戻ったら陸地から直接この場所へ到達することは殆ど不可能だ。
大雨が降ったらまた流れ落ちてしまうかも知れない^^;

戻るとき、往路では気付かなかったコンクリート柱が入り江の端に打ち込まれているのを見つけた。


通常水位なら間違いなく水没してしまう場所である。


先端に十字が切られているので境界杭と思われる。
コンクリート杭はしっかり固定されていて押しても微動だにしなかった。


同様のコンクリート杭は東條の入り江をはじめ随所にみられる。
昔の境界杭は御影石のものが多いから、このコンクリート杭はそれほど古いものではないだろう。しかしそうなれば杭を設置した当時はこの場所は水位より上だったということなのだろうか…

こうして再び竪排水を足掛かりにして市道へ復帰した。


これで楢原の岸辺踏査は、目視だけで済ませた一部を除いて左岸側を完了したことになる。
右岸側はその殆どすべてが私有地に隣接しており、汀を辿れる条件が厳しい。低水位が必須で、なおかつ私有地をかいくぐって汀へ降りられる場所を見つける必要がある。本編の続編は、それが達成されたときに作成されるだろう。

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