常盤池・にしめの鼻より北側の汀踏査

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現地踏査日:2012/11/24
記事公開日:2012/12/9
常盤池の綿密な踏査を記事化するにあたって、古地図に則り7つの入り江と3つの岬を元にファイルを作成した。収録範囲はきわめて大雑把で、それぞれ「入り江の周辺」および「岬周辺」である。
それにしてもなおどちらにも入らない汀の踏査を行ったレポートをどういうファイル名の下で記事化するか悩んだ。そして徒に悩めばファイル名如きのせいで記事化が進まない本末転倒状態に陥るので、逆時計回り順ではなく踏査した順番でもなく、純粋に「記事化された順番」でファイル名を作成(shore1.htm)している。したがって汀に割り当てられた番号は何の脈絡もなくランダムに飛ぶことになる。必要に応じて後日ファイル名を差し替える事態が起きるかも知れない。
したがって個別記事の直ブックマークは動作が保証されない…これは他の記事でも同様である

…という訳で、話の続きを…

時系列としては、にしめの鼻の踏査完了後になる。
充分な写真と動画を採取し、最初に汀へ降りた金吹の入り江側に戻ってきていた。


リンクから直接この記事をご覧になっている読者のために説明すると、現在概ねこのあたりに居る。


時刻は午後4時を回り、西日を受けて自分の影も背丈の倍以上伸びていた。
水位が低いときに常盤池の可能な限りの汀を辿るミッションを画策しているので、容易には来れない場所だけに金吹の入り江に沿って辿ってみようと思った。もし途中から来た道へ復帰できる場所があるなら、岬を踏査するとき苦労して降りたあの崖を登り直さなくて済むという考えもあった。

ながしゃくりの入り江よりも更に遠浅である。
永年かけて半島から土砂を削り取った結果だろう。常盤池が誕生する以前にこんな緩やかな傾斜地が存在すること自体かなり稀だ。


この付近の汀の土質。
やや堅い粘土状の岩のようだった。水位が下がり大気に晒されて膨張収縮を繰り返した結果だろうか…堆積した粘土だけでなく岩にもひびが入っている。


岸辺はながしゃくり側のような倒木はなく、打ち寄せられる木の枝や木の葉が溜まっていた。

木の枝と言えば、溜まった枝に挟まったサッカーボールが流れ着いていた。


褪色したのか元からそういう色なのか、灰色をしている。
しかし劣化はしていないようで、指先で突くとまだ充分な空気圧があった。


多分、常スポ広場のサッカー場で場外に蹴りだしてしまったボールが流れ着いたのだろう。すべての入り江の水が本土手の方へ向かうことを思えば、ここへ流れ着くのは妥当な経路だ。
充分使えるサッカーボールだし回収できる場所にあったが、そのまま放置しておいた。どのサッカークラブの所有か分からないし、入り江へ蹴りだしてしまった選手はとうの昔に失われたものとして諦めているだろう…
持ち運べば踏査中ずっと片手が塞がるのが嫌だったというのもある

その先の砂浜と言うか土浜(?)は幅も延長もかなりあった。
典型的な円弧を描いている。野生動物はともかく、人間を迎え入れたのは何年ぶりかという程度に人が来ない場所のはずだ。


外観はよく乾いた浜辺に見えていながら、実のところこの場所は思いがけず足がハマった。もの凄く緩い遠浅になっていて、水位が数センチ下がっただけでも汀が大きく遠ざかるらしく、まだ水分を含んでいた。大丈夫そうに見えて進攻し、思いがけず靴が大きく沈み込んだので慌てて体重を引いた。
沢を流れる水がこの場所で地中に潜り、広範囲に緩い浜辺を造っていた。そのため充分に乾いた場所まで陸地側に迂回する必要があった。

浜辺の先端部分に何やらコンクリートブロックらしき灰色のものが見えかけている。殆ど人の手が入らない場所なので人工物らしきものは何でも気になった。


しかしある程度近づいてそれが波によって流れ着いた発泡スチロールのケースとプランターだと分かると、それ以上追跡しなかった。


淡々と汀を辿るだけではなく、来たときの道の復帰も模索していた。岬から汀へ降りるとき相当な苦労をして高低差を降りてきたので、帰路はできればもう少し安全な場所から復帰したかった。
この小さな沢をたどれば何処かで来た道に出会うのは確からしかった。しかしまったく踏み跡がないばかりか、厚い枯れ葉に覆われて足元の地面がどんな状況かも分からず遡行する気にはならなかった。炭生跡に木の葉が大量に溜まって自然の落とし穴ができているかも知れない。

この浜辺の奥から眺めている。
対岸に石炭記念館が見えている。写真撮影と言うかこの場所へ到達した人自体きわめて僅少だろう。


浜辺を過ぎると小さな突端を回り込む。
すぐ近くまで木の枝が垂れ込めている。通常水位ならこの岩場は全部水の下に隠れるから、ボート以外全く接近できなくなる。


突端を回り込むと直線的な汀になっていた。
ここはかなり堅い粘土質の岩だ。
西日を受けているので実際よりも赤茶っぽく写っている可能性がある


常時池の水に没していて低水位時たまに現れる岩場や岸辺は、川辺や陸上ではみられない特異な様相を呈しているものが多い。
ここに見られたのは新しいパターンの岩だった。


上の写真を見ると、流れ着いた木の枝が泥を被っているように見えるだろう。

ところが岩の表面には木の枝も溜まった泥もない。これ全部が一体化した岩なのだ。どういう訳か表面に松葉を沢山散らばらせたような模様ができているのである。


この周辺の岩すべてが同様になっていた。
細い木の枝を種として泥が堆積し、静かに水が引いた後に固化して泥が岩と一体化したのだろうか…

岸辺にも今まで見なかった新しいパターンがあった。
普段は池の水が届かないと思われる場所に洞門らしきものがあった。


土の壁が2枚重なっているように見える。
高い位置にあるため接近できずカメラでズームするしかなかった。


洞門の近くには先のとまた異なるパターンの岩があった。
まるで表面に粘土の茶碗を押し付けたような奇妙な形をしている。


どうしてこういう奇妙な形になるのか分からない。
恰もまるで人がこの岩に働きかけて茶碗状の形状を拵えたかのように見える。
地学を少しでもやっておけば理解できたかも知れないのだが…


2つ目の突端にさしかかった。
既に日はかなり傾いておりそろそろ帰還を考えなければならない。辿ることは可能でも半島に復帰する道筋は見つからなかった。


ところが辿ること自体も少々危うさを感じさせる場所に到達してしまった。

この突端はかなり急な一枚岩で出来ており、その上を歩くのはさすがに心許なかった。日陰になっているせいで表面がやや湿っていた。
途中に何の手がかりもなく足を滑らせればそのままドブンだ。


結局、ここで撤収することにした。
来た道へ復帰できる経路が見つかりそうにないので、最初に降りたあの場所まで引き返そう。

再び足のハマる浜辺にさしかかった。


迂回するのも大儀なので、一本の竹を手にして前方を突き刺しながら進攻した。足がハマるのは沢からの水の道がある場所に限られるようだ。

途中、その竹を浜辺に突き刺しておいた。
ステートナンバーは遺さなかった…例のマジックを持ってくるのを忘れていたので


こうして最初降りてきた崖のところまで戻った。

今回辿ったのは概ね以下の区間になる。


入り江や岬に属さないこのような汀は、当面は同様の通し番号を振って記事化する。

さて、はじめに岬へ降りた場所に戻り、ここから再上陸するために一仕事することになった。
時系列となる呼び出し元の記事を案内しておこう。

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