常盤池・余水吐【1】

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(「常盤池・余水吐」の続き)

時系列では「常盤池・荒手【3】」の続きとなる。

コンクリート三面張り水路とばかり考えていた荒手が江戸期そのままの姿で現存することを知り、遊歩道からかなり苦労して降り立つことが出来た。
荒手の最上流部には余水吐がある。そこは市道の歩道から見おろすことができるものの直接降りられる場所がなく、詳細な観察ができないままになっていた。そこで荒手を一通り踏査した後に余水吐の方へ向かった。


ボックスカルバート部分に到達するまでが溜まり水に少々苦労しただけで、その先は歩くのに障害はなかった。
歩道はすぐ頭上に見えていながら相互に行き来はできない。


市道横断部分。
現場打ちボックスカルバートそれ自体は全く珍しくも何ともない物件だ。昭和後期か平成時代の施工だろう。少なくとも一度は改修している筈だ。


ボックスカルバートと余水吐の接続部には若干水が溜まり、コケが生えていた。
しかし底がコンクリートなので靴の中まで濡らすほどではなかった。


余水吐の越流部が見えてきた。


さて、ボックスカルバートから出るのだが…
市道は交通量が多く、この付近でカーブしているせいで異様に目立つ。往来する車からもこの場所は丸見えだ。あまり気持ちの良いものではない。


市道に付属する張り出し型歩道の下部構造が見える。歩道部分の半分程度は完全に常盤池上にある。
崩れ落ちる心配はないのかちょっと心配だ


コンクリート越流部には2つの鋼製の手すりが置かれていた。
常盤池の水位は概ね標準状態で、現在居る余水吐の底面よりは若干低い。


歩道部を見上げる。
3m程度の高低差があってやはり上から降りては来れない。


余水吐の中から眺めた常盤池。正面に常盤橋、左手に本土手樋門が見える。
既に午後4時を回っており周囲は日が陰り始めていた。


鉄柵は全体が酷く錆び付いており、かなり古いものらしい。完全に固定されている訳ではなく、流されないように鉄線で転落防止柵に結わえられているだけだった。


この柵を足場にすれば上からも降りて来られるかも知れない。しかし鉄柵は余水吐の天端にしっかりとは固定されていないのでぐらついて危ないだろう。

実際それは越流部分のコンクリート上にただ置かれているだけで、ボルト留めされていなかった。元からのものではなく、何処か別の場所にあった柵を流用しているのだろうか…


振り返って撮影。
ボックスカルバートは中程で若干折れ、出口部分でかなり大きく曲がっている。施工時期が異なるのだろう。


常盤池の水位が高いので余水吐から出ることは出来なかった。
この場所もあまりにも目立つので、必要な写真だけざっと撮影後すぐボックスカルバートに戻った。

市道をくぐった先で現状の荒手に取り付けるために右へ屈曲している。


三面張りコンクリート水路の方が若干幅が狭い。高さも荒手より数十センチ高く造ってあった。


現在のコンクリートで固められた余水吐は後世のものなので丹念に踏査する価値に欠ける。
しかし常盤池の水位が極端に下がれば、かつてこの周辺がどういう地形だったのかを窺うことができる。特に余水吐の外側に古い石柱らしきものが汀に転がっていることが分かっている。
これは低水位時に歩道から撮影した写真である…石柱が見えている


現地を訪れたときは上の写真ほど水位が下がっておらず、石柱は確認できなかった。
水位低下時には再訪したい。

ここまでの撮影を終えて、降りた斜面から再び登り直して遊歩道に復帰した。

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水位の低下している時期にこの場所を訪れ、市道から直接余水吐まで降りて周辺に散らばっていた石柱について調査してきた。
このときの様子を次章で続編としてお伝えする。

(「常盤池・余水吐【2】」へ続く)

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