宇部坂下池【2】

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(「宇部坂下池【1】」の続き)

フェンスの網目にレンズを突っ込んだ状態ではカメラを回せないので、有刺鉄線のトゲを避けて背伸びしてカメラを高く保持する必要があった。
以下は余水吐からの3分割撮影である。


堰堤部分は平ブロック、樋門は堰堤の中央という標準的な仕様だ。平成期に入ってからの整備だろう。

樋門へ降りる階段へ近づく。
当然ながら門扉は施錠されていた。


樋門部分はコンクリート製階段で、ステンレスの手摺りがついていた。
樋門を開け閉めする棒が付属していないことから、栓を手で脱着するタイプらしい。それほど容量の大きくない溜め池だからだろうか。


そのまま堰堤を上流側へ向かうように歩いた。地図によれば東側に上池がある筈なので容易に行ければ偵察しようと思った。一応、堰堤の先に道はあったが、殆ど誰も訪れない場所らしく草丈がもの凄い。さすがにこの先へ進攻する度胸はなかった。
ましてイノシシを目撃したばかりだったので


上池に近い側の対岸は露岩が目立つ。特に池の東側に大きな岩が多い。
植生や岩の状態、水の色を含めて馬の背池を思わせる。


風が殆どなく水面は鏡のようだ。
そして自然の造った鏡が反射する岸辺が大変美しい。


先に道はあれど進行不可能なので動き回れる範囲はここまでだ。
堰堤の端から振り返って撮影。


堰堤部から厚東川の方を眺めた。
あれほど急な斜面を登ってきたのだから下界がよく見える筈だが、生い茂る雑木であまり眺めが効かない。


雑木の上に僅か厚東川の対岸に広がる街並みが見えていた。
超ズーム撮影では駅前の県道沿いにあるスーパーが見えていた。


堰堤の中ほどまで戻ったところで最後に全体の入るショットを撮った。このとき池の東側の入り江に不自然な場所を見つけた。

入り江の東側が浅瀬になっていて、何故かそこだけ岩が密集している。
先ほどは近くまで行ったものの雑木の影に隠れて見えなかった。


超ズーム撮影。
何となく岩の並びが不自然な気がする。殆どが水面下にあるのだが、その天端が殆ど同じ高さに揃っている。斜め上から低い角度でズーム撮影しているので写真自体も何だか奇妙だ。[1]


これは自然に岩が寄り集まったのではないと思う。この池の改修を行うか何かで発生した岩を人為的に入り江の一箇所に寄せ集めたように思える。バラバラに大岩だけが積み重なるような地形など聞いたことがない。
その意味で大岩郷は非常に特殊な事例

フェンスに綻びはなく堰堤の内側へ入れる場所はなかったし、敢えて確認する気もなかった。両側に伸びる道はあっても今は進攻可能な時期ではない。

他に行ける場所はないし工事用道路は見つからないなら、撤収あるのみだ。
またこの急坂を押し歩き下りしなければならない。ヤレヤレだ…


転んでもただでは起きない。ステンレスポストのある場所に自転車を待機させ護岸の上を伝って走水路の方へ接近してみた。


水路の中へ降りる梯子のようなものが見えていたのが気になっていたのだ。
点検用・清掃用の梯子だった。タラップが付属することが多いのだが造り付けの梯子は珍しい。そして梯子を要するほど水路は深かった。


写真では実感が湧かないが背丈以上の深さがあった。
縁に立ってカメラを構えるのも怖いくらいだ。


下流側。もの凄い急勾配だ。
走水路の一番下までの高低差は10m近くありそうだ。


これは余剰水を流すための走水路だが、灌漑用水向けの水路が見当たらなかった。
思うに元から存在しないのかも知れない。溜め池の堰堤下に田畑が広がるような場所なら灌漑用水を送る水路が必要だが、この近辺で厚東川へ向いて流れる溜め池なら、市道近辺まで下って来なければ田畑が存在しないからだ。溜め池の整備は灌漑用水向けと言うより治水目的の方が大きいのだろう。

ここまでを撮影し自転車の元に戻った。

来るときから想像つくように帰りはこれほど高い場所まで到達していながらあまりに坂が急で位置エネルギーを利用できない。本当ならサドルに跨っているだけで距離を稼げる一番美味しい状況の筈なのだが…逆に自転車が自走を始めないよう保持しつつ足元の悪いコンクリート路を歩いて降りるという状況だった。ハッキリ言って登りを押し歩きする以上に労力が要った。本当に性根が入った。初めて工業用水道を調べたときのように自転車を市道のところへ留め置いて歩くべきだった。

やっと急坂の麓となる市道まで戻ってきた。


実のところ入口を含めて市道接続部などの写真をまったく撮っていなかったので、立ち去る前に一通り撮影した。[2]
予定外に溜め池の写真を撮影はできたが、当初目的のトンネル坑口到達は成らず、イノシシ遭遇という危うい状況員に晒され、そして一気に体力を消耗してしまった。更に市道を北上はしたものの、当初予定の持世寺は断念して途中で引き返したのであった。

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アジトへ帰って写真を調べたところ、ちょっと奇妙に思える写真を見つけた。

樋門付近から対岸をズーム撮影したときのショットである。
このときは岩と水面に反射する像だけに興味が向いていた。


上の原典映像から核心部分を含めて切り出した画像である。
ここまで拡大すればかなり明白だが、現地撮影時には何も気付かなかった。


岩の側面に円形の穴が空いている。
これは一体何だろう?
まるでコンクリート擁壁に設けられた排水孔のようである。距離があるから本当に穴が空いているとは限らない。たまたま円形に苔が付着している可能性もあるのだが…恰もドリルで削孔したような感じに綺麗な円形だ。

奥の入り江には割られた岩が密集しているような場所があった。これも自然の産物ではなく何かの目的で削孔された岩だろうか。しかし何の目的で?
堰堤からズーム撮影しているので現地で確認する手段はない…と言うか当面は再訪の予定もない。もう少し涼しくなって藪漕ぎ可能になったら当初目的の霜降山トンネルの工事用道路の件と共に調査するかも知れない。その時までこの穴のことを覚えていればの話だが…
入り江と穴の件については本記事より先行報告している[3]
出典および編集追記:

1. 写真自体も白いもやがかかったようで不自然だが、光を反射する岩の表面と水面の光量が著しく異なるためである。エクトプラズムではない^^;

2. 前編の一枚目の写真も帰り際に撮影している。
自転車が逆向きになっていることに気付いただろうか…

3.「FB|8月18日投稿分(要ログイン)

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