県道小野木田線・通行不能堰堤【1】

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現地踏査日:2012/2/16
記事公開日:2012/2/28
テーマ踏査を計画するにあたってネットの航空映像や地図は必須アイテムであり、これを参照しない踏査は殆どあり得ないと言っていい。現地へ赴くより先に上空から眺め、地勢を見て経路計画を立てることができる。もっともそれらは完全な現地の情報を提供するものではない。地図では細かな道が省略されることがあるし、航空映像は数年前に撮影されたデータなので、バイパスが開通する以前の古いままだったりする。

さて、今回は現地には既に車や自転車で何度か行っているのに、後から地図で眺めてみて「これっておかしいのでは…」と気づく場所があった。
もしかしてこの方面に行ったことのある読者は、下の地図をご覧頂くことで私より先に気づいて頂けるかも知れない。


Yahoo!地図は不変ではない。私が地図を埋め込んだこの記事を公開して何年か経つうちに、地図のアドレスはそのままで改訂され違う表示になっているかも知れない。取りあえず私がこの記事を書こうと地図を引用した現時点では、上の地図は小野湖のある入り江部分を渡る県道小野木田線を示していると思う。
県道の経路は黄色で、国道は橙色で示されることになっている

この場所のすぐ近くには厚東川ダムの右岸曝気循環設備棟があり、3年前に訪れて記事も書いている。それ以外でも回数こそ多くないがこの県道を通って先まで進んだことがある。その時には深く考えなかったが、後日地図を見てこんな疑問がわき起こったのである。
この近くに県道が入り江を渡る場所ってあったっけ?
いや、なかった筈だ。
地図を見ると橋ではなく、素直に入り江部分を迂回するような道も表示されている。航空映像で眺めれば、むしろ迂回する道の方がハッキリ見えているし、実際この県道を何度か走ったときはそのルートを通った記憶しかない。

しかしそうなると、地図と現地の状況がまるで合っていないことになる。

一般に、酷く曲がりくねっていたり急な坂を含む道は運行速度が低下するし事故も起きやすいから、その部分に橋を架けたりトンネルを通すことで道路改良する。
現地のことを知らずに上の地図だけを見たドライバーは、入り江の先まで遠回りする道をバイパスして橋が架かっていると考えるだろう。ところが実際には現地がどうなっているかはこれから踏査するにしても、現在ここに車が通れる道など存在しないことだけは早くから分かっていたのだった。

一体、ここはどんな風になっているのだろうか?
どうして車が通れなくなったのだろう…
一ノ坂方面で追加の写真を撮ってきた平日午後のこと、私は近くまで来たついでとばかりに一旦国道2号まで戻り、県道217号小野木田線を通って小野湖の右岸を遡行し車を走らせていた。

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一般に通行されがちな方向に反して、県道小野木田線は小野湖北側の如意寺(小野ではない)に起点があり、国道2号木田交差点にて終点となる。[1]
この流れに合わせて、入り江を渡る橋があると思われる場所の北側から踏査することにした。

木田交差点から県道に入り、以前訪れた右岸曝気循環設備棟をダム湖側に見て一旦通り過ぎた。ここで確かに県道は大きく左へカーブしており、入り江を渡る様子はなかった。
暫くうねうねと入り江に沿って進み、唐突にかなり高度を上げた。それから再び急な下り坂で高度を下げ、入り江の付け根部分できついカーブを伴い再び小野湖に沿って進むようになった。
そのきついカーブの部分に車を停め、踏査することにした。

車を降りて起点側から振り返って撮影している。
地図に表記されている橋らしきものはここから真っ直ぐ進む方向になる。


きついカーブなのでミラーが内側に立っていた。そうでありながら確かにちょっと不自然さがある。


不自然さその1。 意味の分からない標識が立っている。


「あぶないから通行止」という古めかしい文字だけの表示板が立っていた。
明らかに公安や道路管理者の設置したものではなく、全く任意で立てた私設標識の色合いが濃い。


そもそも、標識の意味が分からない。
通行止と言われても、今さっき通ってきたばかりの県道の傍らに立っている。ここを通らなければ他に車が通れる道などないのだが…

初めに車で走ったとき、標識は背を向けておりこのように見えていた。
小野湖に面したところでカキッと左に折れるような感じだ。しかし…


不自然さその2。
県道はカーブしているのにガードレールは線形に沿わず真っ直ぐ伸びている。


やはりこのカーブミラーの外側が怪しい。
元は真っ直ぐ通れる道があったのではないかと疑念を持った。


カーブミラーから先へ踏み込んでみた。
しかしカーブの先はすぐ小野湖面である。その先には右岸曝気循環設備棟が見えていた。


しかし、それっきりだった。
どういうこと?
全く道がないの?


方向が若干違うのかも知れない。
藪の繁茂が酷く、むやみやたらと踏み込めない場所なので一旦撤収した。

先の標識が立っていた近くをよく観察すると、倒壊して藪へ呑まれている別の標識があることに気づいた。


倒壊した看板は殆ど地面に接触する位で、普通のアングルでは撮影できなかった。
カメラだけ標識の下へ送り込み、書かれている文字が読める状態でシャッターを切っている。実際には文字の表示されている側が地面になる。


厚東採石所入口
これと同じ標識が右岸曝気循環設備棟のすぐ近くにも立っていた。

もしかするとこの標識が立っている区間って…

しかし今は早急な結論を避け、再度この標識群の裏手に潜入してみた。

これがその場所だ。
右端に「あぶないから…」の標識が見えているから、この場所は県道より2m程度低いことになる。


藪の中はガラス系のゴミが乱雑に投げ捨てられているらしく、歩き回るスニーカーの下からガラスがバリバリ割れる音がしていた。足の裏に刺さりそうで危なっかしい。
そういう意味での「あぶないから…」ではないよね^^;

見えてきた。
やはり堰堤らしきものがあるようだ。


ここからズームで撮影できる限界。
あまりにも藪が酷く、また汀まで雑木の楽園状態なため迂闊に踏み込めない。


かつてここを通る道があったのかも知れないが、現時点では車どころか人すら全く通れない。
元の道路敷らしき場所に雑木が生えまくっていて進攻どころか視界すら妨げていた。


振り返って現道部分を眺めている。
2m程度ここより高いところを通っているらしいという程度にしか分からない。それにしてもここはホントに酷いところだ…


徒歩ですら進攻不能と見て、ここで車を回した。今度は起点側から攻めてみよう…

再び急な坂を登る。
坂を登り切ったところに砂利道の分岐点があり、山の方へ伸びていた。


さて、何故かここで車を停めて降りて撮影しているのだが…
県道の通行不能堰堤とは関係がないのだが、以前から少々気になっていた物件がすぐ近くにあったからだ。

(「県道小野木田線・通行不能堰堤【2】」へ続く)
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 県道小野木田線|概要」に説明されている。

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