山口宇部道路【3】

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(「山口宇部道路【2】」の続き)

臨空頭脳パークへ降りる道(市道迫条長谷線の一部)を横断すると、我ながら見覚えのある場所へ到達する。
この辺りに宇部料金所があったのだが…


思えば自転車のみならず車時代も含めてここを通るのは久し振りだ。前回に通ったときの記憶と照合してみれば、 現地は奇妙に改変されているように思われた。

一時的に左へ迂回する道が造られたらしく、ロードペイントの跡がまだ遺っていた。
舗装部分は撤去されずそのままでガードレールとフェンスで塞がれていた。


ここに何があったかなどを本編で書いていると先へ進めなくなるので派生記事に切り出しておいた。
派生記事: 宇部料金所跡
料金所跡を過ぎた先、迂回路との合流点に速度規制の看板が立っている。


この看板は有料道路時代からあったと思う。
料金所があった時代はここから先が真の有料道路区間となる。そう言えば有料部分の区間内では速度取り締まりは有り得ないという俗説があった。先を急ぐからとお金を払って有料道路へ乗り込む上得意ドライバーを速度違反で取り締まるようなことはしないだろうというのが理由だが、もちろん真偽のほどは分からない。ただ、有料区間内でレーダーを設置する地点固定式の取り締まりに出会ったという話は聞いたことがないのも確かだ。

料金所を過ぎてすぐ県道へ降りる案内標識が設置されている。


「歩行者・自転車に御注意下さい!!」の立て札は、無料開放後に追加設置されたものと思う。実際に歩く人は殆どないにしても可能性としては有り得るので、ドライバーに注意喚起するためのものだ。

片倉I.C.に差し掛かる。
同じ標識が下りランプ手前にも設置されていた。


今からすれば片倉I.C.は個人的に懐かしい場所だ。いろいろな想いを巡らせながら何十回も車で通った地点である。もっとも生活拠点を今の街中へ移動してからはまったく通ることがなくなった。
先々で県道西岐波吉見線の記事を作成したとき県道側入口の写真を追加するかも知れないので派生記事にまとめておいた。
派生記事: 片倉I.C.
ここでランプを下れば素直に県道西岐波吉見線へ降りることができる。むしろ有料道路時代はランプを降りずに直進したことは本当に数えるほどしかない。


今や自転車ですら堂々と通れる状況だ。この先は最近の数年くらいのレベルで通ったことのない区間で、じっくり味わいながら自転車で通れるのは刺激的である。

このランプから退出する車はかなり多い。無造作に本線へ移ろうとすると車にはねられる恐れがあるので、後続車が完全に切れたタイミングを見計らって本線側へ移動した。
分岐部分には衝突防止のクッションドラムが置かれていた。


県道へ向かって下っていくランプを尻目に本線はほぼフラットなまま大きな沢地へ向かう。
その手前に行き先案内板と再度の「高速道路ではありません」の注意喚起看板があった。


一連の看板の手前に道路とは全然関係ない方向を示している看板があった。今はドライバーに見せる必要がないから方向を変えているのだろう…そのような看板と言えば…

やはりそうだった。橋上凍結注意という冬季向けの注意喚起である。


路面凍結が起こり得る冬場に90度回して上り車線を走る車から見えるようにするのだろう。
支柱にボルト固定されているので全部緩めてから回すのだろうか…面倒臭そう^^;

「橋上凍結注意」の標識の通り、この先には山口宇部道路を自転車で走行可能な範囲において最長の橋が架かっている。


片倉高架橋である。橋の名前を示す立て札が慎ましやかにガードレールの外へ立っていた。


橋へ入る前に一時停止して上の写真を撮った後即座に感じたのは、
橋上は路側部分が殆どない。
いくら自転車が自動車と道路通行上は同じ扱いとは言っても路側帯があれば後ろから迫る車を避けてその内側を通ろうとするものである。しかし橋の区間ではそういう芸当はできない。
こんな状態でも自転車・歩行者は橋を渡って良いのである。橋の仕様自体は有料道路時代からまったく変わっていない。見通しが良い橋なので橋の上の人にはすぐ気付くとは思うが、観光バスや大型ダンプトラックが背後から迫ってきたらかなり恐怖だ。

記事向けに橋の中央からの写真も撮っておきたかったが、いくら何でも危険だ。そのアングルからの撮影は諦め、後続車両がないことを確認した上でサッと自転車を漕いだ。
橋を渡った先にはいくらか幅広のスペースがあったので、そこに自転車を置いて橋周辺を撮影した。一連の写真は橋カテゴリからも参照できるように派生記事を造った。
派生記事: 片倉高架橋
もはや全く来たことのない場所の感覚である。車で通ったことは数回あるにしても、周囲の眺めが利かないのでどの辺りを走っているのか想像もつかなかった。


自動車専用道路部分には自転車などが入れないことを知らせる表示板が立っていた。


これも無料化された後に設置された看板だ。2km先なのでもう暫くあるし、具体的に何という出口になるのかも案内はない。更にツッコミを入れるとすると…
「流出」っておかしくね?
「退出」がホントのところだろう。しかしそれだと追い出すような感じがするので敢えて別の表現を使ったんだと思う。まあ、2km先で降りなければならないことに変わりはないが…

両側に浅い山が迫った部分を堀割で通しているようだ。
相変わらずどの辺を走っているかは見当もつかない。


何の道路か通路か知らない跨道橋の下をくぐる。
ツツジがよく育っていて路側帯部分にまで進出している。後続車両があるからあまり車道側へ膨れることはできない…


跨道橋をくぐった後、両側の切り通しが退いてやっと周囲が開けてきた。
ずっと山の中を通っているようでランドマークになるようなものは何も見えなかった。


自転車ですら高速航行していると見落としてしまいそうな短い橋に出会った。
アルミ3本掛けの欄干があることで橋だと分かった。


欄干部分を観察することで、この短い橋にちゃんと名前が与えられていることが分かった。これは独立記事ではなく派生記事にまとめている。
派生記事: 上の原橋
再び歩行者自転車に退出を促す予告看板が現れた。


今度は図入りの明快なタイプである。
この先1kmの退出すべき出口は宇部東I.C.だ。もっともここでも宇部東I.C.という文言は出て来ない。
I.C.は車に対する分岐点としての呼称だからだろうか


一連の写真を撮っているうちにふと気付いたことがあった。

路側にはガードレールではなくガードケーブルが設置されていた。
もしかすると今では珍しいのでは…


ガードケーブルと言えばかつて親父の車で津和野へ参拝していたとき、国道9号の両側に設置されていたのを思い出す。一枚板状態のビームを取り付けるガードレールに比べて車道脇の視認性が良く、路上に積もった雪を路側へ排除するときには好適だ。防護強度も設計単価も確かガードレールとあまり変わらなかったと思う。
絶滅危惧種というものでもなく現在も山間部や峠越えの旧道などに結構遺っている。しかし最近の道路では山間部でも新規に設置されたのを見た記憶がない。

面白いことにガードレールのビームが橙色であるが故に、ガードケーブルの支柱も同じ色が使用されている。山口宇部有料道路は県管理の代表的な道路だった故に、山口県仕様の橙色にこだわりたかったような感じがする。山口県人からすれば橙色のガードレールなんてありふれていて驚く要素もない位に日常的だ。しかし実際は日本全国何処にでもあるものではないというのが興味深い。[1]

(「山口宇部道路【4】」へ続く)
出典および編集追記:

1. 山口県下では県管理の道(県道や県に委託管理されている一部の国道)だけでなく市道や地元管理の道ですら一部に橙色のガードレールが使われている。ちなみに白色も橙色も設計単価は恐らく同じである。

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