弥生道路・横話

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ここでは、弥生道路周辺にみられる派生的案件をまとめて収録している。
記事公開日:2017/3/14
《 タコベンド 》
弥生道路の高いブロック塀の内側には奇妙にくねった配管がみられる。


自重の支えが要るので敷地内にパイプを支える柱がみられる。


Ωの記号の形をしたこの部分は、その外観からタコベンドと俗称されている。[1]タコの頭と言うか胴体を曲がりに見立てている。ベンドは曲がりを意味する。Tの字型に接合された配管をチーズ(cheeseではなく恐らくはT's)と呼ぶのと同様だ。

もちろん遊び半分で造っているわけではなく、内部を通る流体と外気の温度差で配管が伸縮したときの歪みを逃がす工夫である。
写真のタコベンドは工場敷地内へ曲がった部分を向けて造られているが、横から見たときΩの記号そのまんまとなる立ち上がった形に向けるものもある。子どもの頃私が目にしたのはそっちのタイプの方が多かったと思う。この場所のタコベンドも後年敷地へ向くよう造り替えたのかも知れない。

配管の伸縮など難しいことは子どもに分かる筈もなく、幼少期に私は親父の運転する車からこれを見たとき指さして「パイプが踊っている♪」などと言ったものだった。身近にこれと同じような形をしているものはまず見かけないからである。一風変わった形をしているものは注意深く観察しそれがある場所まで覚えてしまう子どもだった。

完全なタコの曲がりを再現していないベンドもみられる。
さながらこれを名付けるなら「試験管ベンド」あたりどうだろうか…
試験管ベビーみたいでちょっと嫌かな


タコベンド自体はそんなに珍しいものではなく化学関連の工場では割と普通にみられる。しかし誰もが工場地帯の近くに住んでいる訳でもなく、いわゆる「工場萌え」と目される方々によって珍重されることがある。その機能を詳しく知ることまで立ち入らず、純粋にそのフォルムを愛でるのも工場萌えである。工場で日々仕事する人にとってはしげしげと観察する対象でもないのだが、それ以外の一部の方からは思いの外興味深いものに映る。この観察が新しい娯楽の一つと認知されたなら、工場で働いている方々自身も改めてそのフォルムに見入ってしまうかも知れない。
《 沿線のマンホール 》
企業管理の道路であるからか、沿線には宇部興産(株)の設置した各構造物がみられる。路上のマンホールは他の道路にない特異なものが多い。


これは雨水のマンホールである。
興産関連のマンホールは工業用水のものが多い中、雨水マンホールはむしろ珍しい。


少し離れた道路センター近くには同種のマンホールがあった。
無印だがこれも雨水用だろう。幾分新しさを感じさせる。


ケミカル入口近くに2つ並びのマンホールが側溝寄りに設置されている。


中央に「興」をモチーフとした陽刻がある。
これは宇部興産の比較的初期のマンホールとされている。
近年設置されているものは中央にUBEの陽刻


弥生道路はアスファルト舗装だが、これほど重車両が頻繁に往来していながらマンホール付近の路面たわみは殆ど見られない。下地はコンクリート舗装のままオーバーレイ施工されていることによる。同時にこのマンホールと共に道路の建設時期の参考になるかも知れない。
《 沿線の埋設鋲など 》
マンホールとは別に地下埋設物の位置を標示する鋲や柱が設置されている。


これは工業用水管の位置を示す鋲である。
タイヤで磨かれてかなり年期が入っていそうだ。


工業用水と言えば、本路線の栄川第1踏切前のカーブ付近に手製のような鋼板が知られている。


この鋳鉄蓋はかつての重工業都市宇部を象徴する一つの作品として、数年前に宇部のある写真家によって撮影され出展されたことがある。[2]


時系列記事でも書いた「㋶ーメン屋標識(?)」はまだ健在で、そのうちの一つに「水発ケーブル」の位置を示す標示が見つかった。


これは厚東川発電所からかつて窒素工場向けに送電していた特別高圧線の位置と思われる。窒素線は別のところで記事化している通り、中国電力への売電転換時に鉄塔はすべて撤去され、埋設標のみが路上に遺っている。

ちなみに㋶ーメン屋標識自体は路肩をコンクリートで補強されただけでまだ健在である。


何かの埋設標と思われるもののこれが何を意味するものかは調べておらず未だに不明である。
《 栄川第1踏切 》
本路線は西側の端で右折し宇部線を栄川第1踏切で横断する。 写真は市道助田平原線の方を向いて撮影している。


反対側から撮影。
ケミカル駐車場の先に宇部湾岸道路の栄川運河橋が見えている。


踏切には宇部港駅方面へ向かっていた線路敷が現在もまだ遺っている。


居能駅側を撮影。


更に海寄りには工場敷地内へ向かっていた分岐線があったらしいことが窺える。この経路は踏切の手前で分岐する形でレールが今も路上に埋め込まれた状態になっている。


近年、踏切の往来を容易にするためか不陸の酷い踏切をコンクリート路盤に置き換えるなどの改修が何箇所かにみられる。一般道では市道平原厚東川線上条踏切で近年実施されている。次にこの踏切が改修された折には周辺の古いレールも撤去されるかも知れない。
本項目は次回編集追記時には鉄道カテゴリへ移動する予定
出典および編集追記:

1.「FBページ|2017/3/13の投稿」の読者コメントによる。(要ログイン)
比較的普及している呼称らしく検索でもいくつかの記事がヒットする。

2. 宇部井筒屋の展示ホールによる。撮影者や撮影時期などは分からないが、展示を見に行ったときすぐに関心を抱いて撮影場所を尋ねたことがあった。撮影者が会場におらず分からなかった。その後工業用水道をトレースする過程で現物を見つけた。これは平原分水槽から受水する自社区間の識別用かも知れない。すぐ近くには県の工業用水管埋設標が設置されている。栄川の下流には自社管理のものと企業局管理の2本の水管橋が架かっている。

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