市内には中山浄水場と広瀬浄水場があり、広瀬浄水場は正面入口に向かう前に小さな川を渡る。その橋に対して名付けられている。
橋の位置を地図で示そう。
広瀬浄水場に向かうこの道は恐らく水道局管理の道で、市道棚井線から分岐している。広瀬浄水場の外側を回り込んで田園地帯に抜けられるので、一般の車も結構通っている。この日も橋付近を撮影中に軽トラが通過したし、自転車に乗ってのんびり通られる方の姿もあった。
市道側から橋を眺めたところ。
見たところ単純なコンクリート床版のようだ。
橋を渡った先はすぐ広瀬浄水場の敷地で、全面的に有刺鉄線付きフェンスが張られている。
この擂り鉢状の設備は…アリジゴクのようでちょっと気になる。
(もっともあの上を歩いて見学する機会など多分持てないだろう…)
さて、橋はコンクリート床版のように見えてちゃんと銘板が備わっている。
親柱とまでは言えないが、ちょっとそれらしき意匠を凝らしている。
漢字表記で「淨水場橋」となっていた。
淨は浄の旧字体である。
反対側には河川名の古川が記載されていた。
昔、民家の表札に好んで使われていたのと同じ材質の石盤である。
浄水場入口に背を向けて撮影。
後で示すように、銘板は古川を跨ぐ欄干部分に取り付けられている。その手前から実質的な橋が始まっている。
同サイズの石盤に平仮名で「じょうすいじょうはし」である。
(平仮名の「し」の上に点があるような形)
昭和41年12月の完成であった。
(昭和41年なら既に新字体を使っていたと思われるのだが…)
欄干部分は総コンクリートで背丈はかなり低い。
頻繁に車や人が往来する橋でもないので最小限の高さにしたようだ。
そうは言っても欄干には半月状の意匠が施されている。
欄干全体の強度は保ったままで使用コンクリート量を減らすためのいわゆる「盗み」[1]とも言えるだろうか。
(地覆が高いので路上の排水目的に空けられたのではない)
この橋は古川を跨ぐ形になっているが、橋構造自体はその手前から続いている。
浄水場入口横から撮影している。
この橋とほぼ同じ長さだけコンクリート橋脚をもつ橋構造が田の上に架かっている。
どういう訳か、市道の分岐点からここまで盛土していながら橋の手前の部分だけ橋としている。
盛土にすると進入路に分断されて田の作付けに困るとか何かの事情があったのだろうか…
遠くには霜降山が見えていた。
さて、折角ここまで来たので浄水場の正門も撮っておいた。
もちろん一般の立ち入りはできない。
研磨された大理石に金ぴかの銘板。
見るからに新しそうだ。これは平成期に入ってからのものだろう。
(鏡のように自分の顔が映るので撮影アングルに困った)
一連の撮影を行っていると、先ほど気になってカメラを向けた「アリジゴク」の設備の上を点検で歩いていた職員に声をかけられた。
大丈夫です…一般人の行ける範囲の場所だけ撮影しています…決してテロリストじゃあござんせん…
(怪しい人間であることに代わりはないかも知れませんが…^^;)
一連の撮影を終了後、正面入口から右側へ敷地の外側をなぞる道に進んだ。この先にちょっと面白い物件があるので。その訪問は当初から予定していた。
しかし…何故かさっき通り過ぎた軽トラがその物件付近に停まっていた。
橋を撮影中、独り言をブツブツ唱えていたら自転車に乗った年輩女性が通ってびっくりさせてしまったし、アリジゴク設備を点検中の職員には声をかけられるし…何だか今日はやりづらい感じだなーと思いつつ、あの軽トラが停まっている場所へ向かった。
(書き上がったら時系列の後続記事としてリンクを案内します)
出典および編集追記:
1. 舗装やコンクリート構造物の設置で、対象となる場所の一部に材料が入らないよう型枠で仕切られた部分を「盗み」と呼ぶ。そのような下準備を行うことを「盗む」ないしは「盗みを入れる」と言う。
例えば舗装のオーバーレイでそのままだとマンホールが埋もれてしまう場合も人孔に合わせて型枠を仕込み、一気に舗設して後から人孔上のアスファルトを除去する。これも盗みの一つである。
コンクリート資材が高かった時代、必要な場所の使用量を減らしたり他の場所に転用していたことに由来する言葉かも知れない。もっとも盗みを入れる施工法自体は、現在では材料節約というよりも工程の簡素化を目的に行われる。最近は殆ど使われないと思われる古い土木用語である。
(現在の50代あたりから上の土木技術者なら言葉自体は知っているはず)
1. 舗装やコンクリート構造物の設置で、対象となる場所の一部に材料が入らないよう型枠で仕切られた部分を「盗み」と呼ぶ。そのような下準備を行うことを「盗む」ないしは「盗みを入れる」と言う。
例えば舗装のオーバーレイでそのままだとマンホールが埋もれてしまう場合も人孔に合わせて型枠を仕込み、一気に舗設して後から人孔上のアスファルトを除去する。これも盗みの一つである。
コンクリート資材が高かった時代、必要な場所の使用量を減らしたり他の場所に転用していたことに由来する言葉かも知れない。もっとも盗みを入れる施工法自体は、現在では材料節約というよりも工程の簡素化を目的に行われる。最近は殆ど使われないと思われる古い土木用語である。
(現在の50代あたりから上の土木技術者なら言葉自体は知っているはず)