写真は下流側からの撮影。
橋の中央部をポイントした地図を示す。
この道は市道持世寺田の小野線で、持世寺温泉がある辺りの県道西岐波吉見線から分岐して山中を通り、国道490号に至る路線である。善和川はこの辺りで著しく蛇行し、橋は善和川に対して斜めに架かっている。
上流側からの撮影。
周囲に民家が散在していて未だ多くの田が造られている長閑な場所だ。
車が通るとき渡りやすいように双方とも片側に隅切りがなされている。欄干は汎用の白いガードレールで代用されていて橋そのものもごく一般的なものである。この橋で唯一特徴的なことと言えば…
妙に風流な名称の橋なのだ。
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どうしてこのような名前が付いたのだろうかと感じる。
月見橋は特別な読みをするというのでもない。そのまんま素直に「つきみはし」である。
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この橋の名称を与えた由来は何だろうか。善和地区の小字図で調べたところ橋周辺には川西、打越、内川という小字があるが月見に近い読みをする地名はない。何かの文化由来で与えたと考えられる。
橋の周辺は比較的開けていて月を眺めるのに向いているとは言えそうだが、同様の場所は他にいくらでもありそうで、その程度で月見橋という名前を与えるとは思えない。歴史的に著名な人物が月を愛でたのだろうか。今のところ手元の郷土資料にそのような記述はない。月と言えば、持世寺川の上流、かつての持世寺跡とされる場所に明月(めいげつ)という字名がある。その地名は恐らく持世寺周辺にかつて存在した院の一つである明月院に由来する。月見橋は持世寺からはかなり遠いので恐らく無関係だろう。
上流側に河川名の漢字表記プレートが設置されていた。
反対側には平かな表記のプレート。
「よしわかわ」と濁点なしの表示になっている。
一般に河川名を音読するときは「〜川」は殆ど常に「〜がわ」となる。他方、橋名プレートでは濁点なしで刻印することが正則のようだ。橋の名前も「つきみばし」とはなっていない。
堅牢なブロンズプレートとは言っても車がぶつけるなど衝撃がかかれば欠ける。そのとき濁点のような細かなパーツがあればそこが欠けやすいということは言える。しかし恐らくその理由と言うよりは統一ルールによるものだろう。印刷に近いような平板なプレートでも濁点なしで書かれているものが目立つからだ。他方、昭和中期あたりの橋では音読の通りに表記されているものもある。
橋の漢字表記・平かな表記と、河川名の漢字表記と平かな表記の4点セットという架橋年月を欠く変則スタイルだ。
架橋年月を記したものは橋の躯体にあった。
施工時に設置されたもので、1991年1月となっている。
併設されている管は上水道管だろう。
市道田の小野持世寺線は四輪での通り抜けができない山岳市道となっている。したがって月見橋を利用するのはこの奥にある数軒の民家や田畑の所有者に限られる。近年、市道の奥に厚東川水路橋の作業道が建設されていて関係者の一般車両が国道まで出るのに通っているかも知れない。
橋より上流側の眺め。
既に両岸が練積ブロックで補強されている。
下流側の眺め。
遠くへ堰堤状に横切って見えるのが山陽本線だ。
1991年に架け替えられる以前にどんな橋があったか、名称の由来が何かは分からないので今後新たな情報が得られれば追記する。
《 個人的関わり 》
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