隣り合った平方数の間に含まれる累乗数の個数

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記事作成日:2022/1/3
最終編集日:2022/1/4
情報この記事はYahoo!ブログで公開していたもの[1]を元に作成されています。

久しぶりにレクリエーション数学的な記事を書いてみた。もっとも最近はこの方面の活動は殆どやっておらず、過去に自分が書いた筈のブログ記事を見てもどういう事かよく分からない有様だ。

流れとしては3年前にかいた「累乗数を含まない区間に上限はあるか?」の続編である。これは今でもある程度は理解はできるものの、所詮は高等数学までのそれも文系相当のカリキュラムを受けた人間の発想だ。基礎ができてない上に錆び付いているので、3年前よりも更に”劣化した”内容で有り得る点はご理解頂きたい。
但しこのような問題を考えたり結果を予想するのは相変わらず好きである

このブログでは累乗の肩につく小さな数字を直接表記できないので、プログラミングでしばしば成されるのと同様、アップアローで表記する。即ち N の2乗は N^2 と表記する。その他の演算記号もこれに準ずる。[2]
なお、問題の背景や導入部分などは一切省略し、単刀直入に本題に入る。

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小さい順に列挙された累乗数の列を一定の長さの物差しで区切っていけば、その中に属する累乗数の個数は次第に減っていく。ベキ指数のもっとも小さな累乗数は平方数であり、N2 の次に大きな平方数 (N+1)2 との距離は 2*N + 1 だから、累乗数が絶対値の増大につれて疎らになっていくとは言ってもこの長さの物差しには必ず最低一つの累乗数は含まれる。


「少なくとも一つ」だから、2個入ることもあるしそれ以上の場合も有るかも知れない。しかし大雑把に観察する限り、そういう状況は頻繁に起きる訳ではない。

では、最多でいくつ含まれ得るのだろうか?

この問題は、素数を拾い出すための篩いを想起させる。2はもっとも小さな唯一の偶数素数であり、正の整数中ではもっとも頻繁に現れる素因子である。これ以外の素数は奇数だから2を残してその倍数を全部消す。これにより以後の素数の候補は奇数に絞られる。

この絞り込み法を累乗数の問題に移し替えた。平方数は累乗数の中で最も小さなベキ2を持ち、正の整数中ではもっとも頻繁に観測される。2を唯一の偶数素数として”奇素数”なる言葉として扱ったように、平方数を所与の累乗数と考え、ベキが3以上の累乗数が平方数の間にどのように”割り込むか”を考えた。

2を唯一の偶数素数とし、それ以外の素数は奇数のみを論じたのと同様、累乗数の場合も平方数を所与のものとすれば、それ以外の累乗数を考えるなら素数ベキだけを検討すれば十分である。累乗数 Nr において r = a*b (a,b≠1) と分解されるなら {Na}b と書き換えられるので、ベキ指数の小さな順に検討するなら r の最小素因子を指数に持つ累乗数として既に現れている筈だからだ。

一般論ばかりでは分かりづらいから、具体的に数値で検討してみよう。説明のために P(n) という関数を導入する。
P(n) : n2 と (n+1)2 の間に存在する累乗数の個数
即ち平方数を小さい順に列挙し、奇素数をベキに持つ累乗数を重ね書きする。(N,a,b 自身が累乗数でなければ重ね書きと言っても他の累乗数と重なることはない)それらが平方数のどの区間に属するかによって P(n) の値が一意に定まる。以下に累乗数を小さい順に並べた数列を作った。赤色は平方数である。

1, 4, 8, 9, 16, 25, 27, 32, 36, 49, 64, 81, 100, 121, 125, 128, 144, 169

累乗数のうち、全く最初の方だけ眺めているので絶対的なことは言えない。しかし上の数列を見るだけでも、P(n) = 0 となる n が圧倒的多数に思える。隣り合った平方数に他の累乗数がまったく入らないケースである。しかし P(n) = 2 となる事例も確かに存在している。

適当な問題や予想を提示するのは実に簡単だ。解決が極めて困難なものをいくつも投げつけることで、自分を含めた数の信奉者に退屈しのぎの元を提供することができる。最初に思いついた問題で、この記事タイトルでもあるのだが、
P(n) の最大値はいくらか?
上の実例からでも P(n)≧2 であることが言える。しかし P(n) = 3 となるような n が存在するだろうか。即ち、隣り合った平方数の間に3個の累乗数が含まれるケースが起こるかということだ。実例があるなら具体的な n と3つの累乗数の列挙が求められ、存在しないならその証明が求められる。

直感的には存在しない、つまり P(n) の取り得る最大値は2だと思う。感覚的な理由を答えれば「隣り合う平方数の距離が拡がる速度が他の累乗数の発散速度に比べてあまりにも遅い」からだ。2*N+1 のスピードでゆっくり拡がっていく区間に3つもの累乗数が押し込まれる現象はあまりにも稀な事態に思える。他方、それは卑近な範囲の数しか観察していないからであり、非常に大きなオーダーの数で調べれば実例が見つかるかも知れないという希望的観測も抱いている。
《 解説 》
[1]にある内容を(指数表記のみ上付きの文字に変換して)そのままコピーしフォーマットを整えた。本文中では厳密な書き方をしていないが、隣接する平方数の間に入る累乗数の個数とは、平方数と「重ならない」ものに限定している。例えば64は3乗数でもあるが平方数に重なるためカウントしない。215 = 32768 = 85 = 323 だから3乗数であり5乗数であるが、個数としては1個とカウントする。

累乗数は底や指数の取り方にかかわらず増加速度が極めて速く、データ採取が難しいため実演されていない。しかし実際に試すまでもなく P(n) = となるような3連続累乗数は存在しないと思う。それどころか P(n)= 2 を満たす累乗数も有限個しかないように感じる。理由は本文の最後の方に書いている通りである。

この他に実際の演習なく次のような結果を予想する:
・正の整数全体における P(n) の平均値はゼロである?
・P(n) = 0 となるような任意に長い連続平方数が存在する?
平方数を含めてすべての累乗数を小さい順に並べたとき、隣接する累乗数の間隔が何処までも開いていくという予想からの想像である。
「n2 と (n+1)2 の間に存在するある種の数」について、多くの問題が提出されている。最も著名なものは少なくとも1つは素数が存在するというルジャンドル予想である。この予想はほぼ正しいと考えられているものの証明されておらず未解決問題となっている。
出典および編集追記:

1.「N^2と(N+1)^の間に含まれる類常数の個数|Amebaブログ(2012/5/7)
当初Yahoo!ブログで公開していたが、Yahoo!ブログのサービス終了に伴いAmebaブログへ移植している。

2. HTMLドキュメントでは上付き・下付きを表現できるので、アップアローを通常の指数表記に変換した。

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