ふるさとコンパニオン

項目記述日:2019/9/6
最終編集日:2020/1/5
ここでは、宇部市において郷土関連の探訪企画やガイド活動を行う組織であるふるさとコンパニオンについて記述する。後半部分には新人養成研修とその後に要請された正規会員について起きた個人的な齟齬についても記述している。
《 概要 》
ふるさとコンパニオンとは、宇部市内においては郷土の史跡や彫刻などの見どころを市民および他市他県からの来訪者に案内することを主な目的とした団体組織または所属会員を指す呼称である。団体の正式名称は宇部市ふるさとコンパニオンの会であり、宇部市観光・シティプロモーション推進部、観光・グローバル推進課より派生する団体である。[a1]一般には”ふるさとコンパニオン”と呼ばれることが多く、所属会員自身はしばしばふるコンという略称を用いている。以下、この総括記事でも特段の断りがない限りふるコンと略記する。
ファイル名も Furusato Companion の略称から設定している

郷土を舞台に活動する点で共通項が多く、従来から散発的にふるコンの主催するイベントに参加していた。2018年のこと新規会員募集の案内が公開され、同志の誘いもあって将来的なふるコン会員を前提とした研修会に参加していた。しかし市のふるコンに対する粗雑な扱いと組織の硬直化を理由に、研修終了後も正規会員にならず離脱した。(→研修会後の離脱について
【 組織 】
以下の記述は短期間に身を置いて得た知見によるものであり、誤りが含まれているかも知れない。

郷土をよく理解し、人々にその良さや面白さを紹介しようという志ある会員によって構成される組織である。一般的な組織にあるように、会長を筆頭格として会計役などの役員が置かれている。会員の総人数は把握できていないが、アクティブ会員だけでも十数人が存在し、常時活動はしていないもののふるコンメンバーを名乗っている会員を含めるともっと多い。

組織の運営は、市担当部署からの補助金と会員の納める年会費で賄われている。賛助会員やスポンサーがあるかは不明。以前は完全なボランティアであったが、近年では長時間を要する活動に対しても市からの補助で一定の報酬が出るようになった。
【 主な活動 】
対外的には「てくてく街歩き」と題して、市内の著名な史跡や古道を現地案内するプログラムが著名である。引率の都合上参加者数は限定されるが、参加費は(入場料を要する施設や会食などがなければ)無料である。ガイド役は暑い日には途中休憩する場所で冷たいお茶を振る舞ったりすることがある。この諸費用はふるコンが負担している。
写真は常盤池周遊園路における研修時の休憩シーン


特定の分野に知見を持つメンバーは、ふるコンに所属しつつ来園者をもてなす関連イベントでも活動している。写真は石炭記念館2階で披露された渡邊祐策物語と常盤池誕生に関する紙芝居上演。


隔年で開催されるビエンナーレではときわ公園の野外彫刻展示場が舞台となり県外は元より国外からも多くの来園者があるため、ビエンナーレ期間中は彫刻関連のコンパニオン需要に対応して詰め所が設置され、ふるコンメンバーが数人常駐している。
ただし詰め所で対応するのはふるコンのメンバーではない臨時職員である模様

内部的には毎月一回の研修会が開かれ、メンバー間の情報交換を行ったり学習会を兼ねて史跡の視察に行っている。ただしふるコンに登録しているメンバー全員が集うことはなく、名刺の肩書きにふるコン会員を明記していながら一度も参加していないメンバーもある。(→組織の問題について

会員の誰もが専門知識を持っているわけではないが、ふるコンのメンバーとなるには郷土に関する最低限の知識を備えるための研修会を受講する必要がある。その後年会費を納付することによってふるコン会員を名乗ることができるようになる。このため会員の全員が平均的な一般市民の持つ以上の素養を有している。更に月一回の研修会などによる情報共有で郷土関連の知見の底上げをはかっている。会員の平均年齢は概して高く、この総括記事を作成する現時点での最低年齢会員は40歳代後半である。この点で市内各地にある郷土史研究会や活動団体と相通じる問題を抱えている。
出典および編集追記:

a1.「宇部市|観光ボランティアガイド
《 研修会後の離脱について 》
ふるコンに限らずどのような組織でも志願して参加したなら、その組織に自分の意に沿うような変化を求めてはならないのが鉄則である。如何に受け容れ難い会則や旧態依然としたしきたりがあろうが基本的には従うべきであり、意に沿わない部分があっても受忍しなければならない。そうならないように参加する事前にリサーチすべきである。しかし参加当初はそのような状況が分からず、暫く活動することによって徐々に判明した場合に問題となる。

どうにも受忍し難い事項が後から判明したなら、はからずもその組織から離脱する以外ない。団体なら脱会、会社なら退職であるが、制約性がゆるいサークルやクラブなら次第に足が遠のくことによる自然退出も起こり得る。

2019年に募集されたふるコン研修会は将来的なふるコンメンバーを養成するためのものであったため、離脱は好ましくない事象である。しかし研修会に最後まで参加していながら最終回で会員を養成されたときに態度を保留し、後に離脱を表明したのは、組織の在り方について個人的見解であるものの承服し難い問題がいくつも判明したからであった。
【 離脱の原因 】
離脱した原因の中には本質的なものと些か自分本位な部分もある。まとめると以下の通りである。
(1) 会員に課せられる義務について理解していなかった。
(2) 興味がないカテゴリについても取り組むことを求められた。
(3) 無料奉仕だけでなく不本意な自腹があまりにも多かった。
(4) 組織の硬直化を感じ将来的な展望がまるで描けなかった。
(5) 会員の善意を良いことに市は本来必要な補助まで削った。
ちなみに組織の人間関係にはまったく原因がない。研修会で顔を合わせたふるコンメンバーの方々や一緒に研修を受けたメンバーの誰もが郷土を伝える熱意があり、常識的で親切な方々ばかりだった。離脱することによってそれらの人々との繋がりが薄れるのが惜しまれた位である。

したがって離脱の原因の殆どは既存のふるコンという組織に帰せられる。以下、誤解があるかも知れないが個別に詳述する。
【 会員に課せられる義務 】
先述の通り、ふるコンのメンバーは誰もが熟練者であり長い間活動している。他方、新規参入者が殆どなかったせいか、研修会でもふるコンのメンバーになることでどのようなメリットがあるか、あるいはどんな義務が課せられるかの説明がされていなかった。2019年度の募集では私と活動を誘った有志の2人で申し込み、同期の受講者は5人だった。このうちの殆どが高齢者であり、年金で安定した生活を送りつつ余暇をボランティアに充てる余裕があった。この点で現職の自営業者は会合へ参加するだけでも仕事の合間を縫って時間を捻出するハンディキャップを背負うこととなった。

毎月ふるコンの定例会が開催され、研修終了後も参加を求められた。それとは別に任意ではあるものの不定期にふるコンが主催するてくてく歩きなどのイベントが開催されていた。私の中では最高優先順位に位置づけられる渡邊ゼミでも毎月開催が実現できていないのに、ふるコンの定例会だけでも負担が重く感じられた。

定例会は研修会と同じく午前10時からに設定されていて、夜が遅く午前中は家仕事をこなす生活リズムが確立している自分にとっては参加するだけで大変だった。これまで参加したことがあるワークショップなどでもスポット的に午前中の時間を指定されるものはあったが、毎月決まった日に午前10時の出席を求められるのは正直言って苦痛だった。
【 専属カテゴリの未分化 】
ふるコンではてくてく歩きを含めていくつものプログラムを提供している。現地で案内するのは当該地区に専門的知識を持つメンバーが行ったが、参加者の出欠を確認したり休憩時の飲み物を用意する補佐役が別に必要だった。定例会の会場準備などの手間も含めて、これらの世話人は当番制で決められていた。

補佐役を順番で決めるのはふるコンメンバー間での公平を期するためと思われたが、そもそもこの役目を「当番」と呼んでふるコンメンバーが当たり前のように行っている事実に大変な違和感を覚えた。これは私が常々念頭に置いている”何でもやりたいと思って取り組む態度”に反するものであった。「世の中で最も空しい仕事は『やらされ仕事』である」を語録でも唱えているだけあって、到底受け容れがたいものだった。これは狭い範囲だが専門的な尖った知識を持って臨む私のスタンスに相容れなかった。全員が同じような知識を持つべきと求める態度は個人の価値観の軽視であり、かつ時間や労力というリソースの無駄である。それよりもメンバー各人が得意分野を持って知見を磨く方が良いという考えがあったが、これも組織であるが故に提言などできなかった。

郷土関連の活動を広く手掛けていても、すべての分野を容認し受け容れているわけではない。個人的には彫刻関連にまったく興味がないどころか市の彫刻に対する姿勢に納得いかないため、彫刻のコンパニオンを務める気は全くなく将来にわたっても「絶対にしたくない業務」であった。殆ど考えた固まっていたところに、市が適正な補助を行わず後述するビエンナーレにあたってふるコン会員への負担押しつけが露呈したために、この組織では自分は到底やっていけないと確信する最後の後押しとなった。
【 会員への金銭負担押しつけ 】
ふるコンは元からボランティア活動を前提としている。てくてく歩きで参加者をサポートしながら説明を行うとか、温かなコーヒーを振る舞えるよう事前に準備して会場へ持参するといった活動はすべて無料奉仕(ただしコーヒーなど参加者に振る舞うものはふるコンから賄われる)である。しかし市からの補助が充分とは決して言えず、参加者自身の持ち出しが多い。

研修会ではときわ公園が会場となる関係上、駐車料金は運営側が負担したが、ときわミュージアムや動物園の入場料は養成講座の一環でありながら自己負担を求められた。受講者の中には年間パスポートを購入した人も居る。数少ない有志がふるコン会員になろうと参加しているのに、その程度の些末な金額を個人負担させる姿勢に違和感を覚えた。これはふるコンのせいではなく、市がキチンと予算をつけるべき問題である。それがなかったことで、個人的にも「市は人材育成にカネを掛けたがらないスタンス」が改めて認識された。

ビエンナーレでは開催期間中エスコート役として常駐するメンバーがいたが、手当が支給されるようになったのは近年のことである。それまでは終日常駐しても何の手当も出ていなかったという。この件については、ふるコンメンバーに実質的な無償奉仕が強要されていたこと自体が問題である。1〜2時間程度現地で参加者へ説明したりエスコートしたりなら、メンバー自身が好きでやっているうちは問題はない。半日以上もコンパニオンとして時間を拘束されながら何の手当もないというのは、ボランティア活動という名を借りた強制労働である。市はもっと早くに手当を出すべきだったし、ふるコンも気持ちだけでいいから参加会員に手当をつけてあげて欲しいと要求すべきだった。

どんなタスクであれ無報酬で何でもかんでもやり過ぎると、誰しも最後にはそれが当たり前となる。謝意を表すどころかやってくれて当然、やらなければ「以前はやってくれていただろう」という態度になる。このような「やらされボランティア活動」を間接的に強要する態度こそが諸悪の根源であり、多くの人々のやる気を削いでいる。モチベーションを削ぐ原因を与えるのは無報酬より更にタチの悪い「マイナス報酬」を浴びせることであり、このような態度は厳しく非難されるべきである。

個人的にもっとも違和感が強く、問題視すべきと感じたのはビエンナーレ期間中に正規コンパニオンが着用するベストの自腹購入を求められた件である。研修会を終えた後、居合わせた研修員5人にふるコンの正規メンバーになって頂けるかどうかの意向確認がなされた。私は前述のこともあり態度を保留していた。折しも2019年のビエンナーレが始まる前であり、引き続いて研修員に対しビエンナーレ会期中に会場でコンパニオンを務めるにあたってのベストの説明があった。

ベストは公式コンパニオンである証しであり、個人のネームが入るため一着だけ購入して当日コンパニオンを務めるメンバーとの共用ができない。また、専用ベストはビエンナーレでのみ着用が認められ、それ以外での着用は認められない。そして言うまでもなく市が補助するでもなく自腹購入である。そのベストを一括購入するので各人に服のサイズを尋ねていたが、この時点で私はこの組織の中では到底やっていけないとの考えが固まった。

ビエンナーレに関しては、ふるコンメンバーの全員が基礎的な知識を持ち、来訪者に説明するコンパニオン的役割が求められていた。ボランティアの精神で来訪者をもてなすと言えば聞こえは良いが、この件に関しては市が全面的に悪い。ふるコンメンバーの善意に乗っかり、ろくに予算もつけずタダ働きさせているも同然である。そうでなければ、ビエンナーレ期間中しか着用しない専用ベストくらいキチンと市が予算をつけてコンパニオン役に負担がかからないようするものである。

私たちは隔年で開催されるビエンナーレに市がどれほど膨大な予算をつけているかを既に知っている。一応は宇部市の歴史ある重要イベントの一つだから劈頭いきなり廃止せよなどと極端なことは言わないが、現状のまま問題点が対処されることがないなら私は少なくとも協力したくないし、仮にビエンナーレの規模縮小や廃止などという議論が市民から沸き起こったなら、遺憾ながら賛成側に回らざるを得ない。[b1]
この件については「彫刻」の総括記事を作成した折には上記の記述を移動する
【 組織の硬直化 】
研修会後の離脱といった齟齬が起きたのは、ふるコンの活動状況は未知数であり、今までイベントに参加してきた内容からイメージする以外なかったからである。この点から言って当初想像していたよりもギャップが大きかったと言わざるを得ない。有り体に言えば、ごく普通の市民が見て違和感を覚える会則や活動が改善されることなく続けられている部分がある。

組織の運営についてもし提言を求められていれば、おかしいと感じるところは当然発言していた。違和感だらけであった。実際は求められるどころか異見を聞かれる場もなかった。そうなれば組織は変化を求めていないとみなされるので、自分が変わる以外ない。即ち受忍して活動を続けるか、さもなくば組織から離脱するのみである。個人的には承服できない組織に身を置くことなどあり得ない話なので、会員にならずに離脱した。その際に会長には(自ら志願して参加していたので説明責任を果たす必要上)離脱の理由を述べただけである。

以下は会長にメールで提出した生データである。長文なので折り畳み形式にした。また、プライバシー保護を要する部分は改変したり部分的に省略している。

注意以下には長文に及ぶメール引用があります。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

このメールを提出後、会長からよく分かりましたとの理解を頂けた。

その後、会長には渡邊祐策が関東大震災に巻き込まれたときのことをややコミカルなタッチで描いた歴史的資料が発見され、古文書解読の会合へ参加したとき同席した。会場で私は会合よりも先に個人的に会長へ身勝手な理由で離脱したことを詫びた。会長は今ほどの活動が出てきたのですから、むしろ宇部マニアックスとして活躍されて下さいと理解を示された。私は肩の荷が下りたようで精神的にも大変に救われた。
【 類似する問題 】
以前から存在している組織に後から参加した者が、たとえその組織の有り様がおかしいと感じても「後発者」であるが故に何も意見できないため組織が変革するチャンスを失うのは、何処かの集落に引っ越してきた新参者が地区のしきたりの非常識さを感じても提言できないため集落が変わりようのないまま在り続けるのと一緒である。しかし後発者が意見すると「後から来たくせに生意気だ」といった見方をされるのが常である。このため以前から組織(集落)に身を置く人もおかしいと思うことがあっても誰も意見せず、仕舞いにはおかしいとすら思わなくなる。こういった組織や集落に未来はない。衰退し自滅もやむなしである。
何処の集落のことを指しているかはほぼ明らかであろう
《 その他対処が必要と考える問題 》
上記以外で問題があると感じた点を記述する。短期間所属した間の所感と情報を元に記述しているので、既に改善されていたり誤解であったりする部分が含まれるかも知れない。いずれも組織および市の在り方が問題なのであり、個別会員の批判には当たらない。ふるコンの各メンバーは実に真摯に活動されている。
【 幽霊会員の存在 】
年会費だけ払い続けてふるコンのメンバーの肩書きのみ獲得し長期間活動のないメンバーが知られている。ふるコン組織としては年間決まった収入が見込めるため黙認しているようだが、実質的な幽霊会員にふるコンの肩書きを有償で販売しているようなものである。高齢化や時間的制約あって活動できず年会費を納付し続けている場合もあると思われるが、好ましいことではない。如何にもけじめがない。

長期活動できないが会費は納付したいというなら、ふるコンメンバーではなく賛助会員とする代わりに月例会や当番への参加免除という別の扱いをすべきである。さもなければ特定のふるコンメンバーのみ参加免除の優遇措置を与えていることとなるし、組織も賛助会員としてではなく活動実態のない幽霊会員から正当な理由のない給付を受けていることとなる。本来このようなことは規約に盛り込まれていなければならず、これから参加しようとする受講者にも明示されなければならない。

同種のことはふるコンに限らず、市民活動団体を統括しているうべネットワーク「青空」にもみられる。夥しい数の登録団体が所属し、年会費を納付しているが、長期間まったく活動実績がないまま年会費だけを払い続けている「幽霊団体」が相当ある。こちらはふるコンと異なり課せられる義務は会費納付以外ないが、好ましいことではない。本来なら収入として得ることのなかった額を元に運営されていることになり、その収入を前提に現在の運営が成り立っているなら、既に財政的にみて破綻していることになる。
【 健康ポイント稼ぎ会員の存在 】
以上はふるコンの組織としての問題を記述したが、市の設定した制度の齟齬による参加者の態度の問題も看過できない。以下に述べるものは純粋に市の設定した制度的問題であり、ふるコンはむしろ被害者である。

2018年まで身体を動かし病気を遠ざけることを推奨する一環として、健康ポイントなるものが導入されていた。関連するイベントに参加することでポイントが付与され、一定額を貯めれば換金できる制度であった。ふるコンのプログラムにも参加すればポイントが付与されたが、健康ポイントの運用に問題があったため意図しない参加者を招く事態になった。

健康ポイントは年度末が有効期限で、それを過ぎるとゼロになってしまう。最小換金単位が決まっているため、年度末が近づくとポイントが流れてしまうのを防ぐためのポイント稼ぎ参加が目立つようになった。ふるコンに関しては、参加するというだけでポイントが付与されるため、一部の参加者には現地へ行ってただ無為に歩くだけだったり、ガイドの説明を聞かない事例があったという。このことは真摯に活動しているふるコンメンバーや他の参加者には著しいモチベーション低下となった。

会長よりこの件を耳にしたため、私は現状を市保健センターへ報告すると共に健康ポイントの制度を見直すべきであると提言した。この問題については殆ど議論されることがないまま、翌年度には”健幸はつらつポイント”と名称を変えた新しい制度で再スタートしている。
《 まとめ 》
最近のこと、2019年度の新規会員募集へ私を誘って一緒に参加した有志の活動状況を聞くことができた。毎月午前に開かれる月例会やてくてく歩き、当番など参加すべきイベントが多く、仕事との時間調整が難しい面もあって次第に足が遠のいていると語った。彼の考えは「私たちが参加するにはまだ年齢的に早かった」であり、この点について個人的にも全く同意する。

即ち遺憾ながら現在のふるコンは定年退職後の時間がたっぷりあり生活も安定している年金受給者が空き時間の片手間で行うボランティア活動に向いており、それ以外の人が参加してもまず続かないと言える。現に2019年の同期参加者で私と有志以外の3名のうち高齢者2名は続いているようだが、高齢者手前のお一方は離脱が時間の問題であるという。

もちろん上記に該当しない現役メンバーもあり、活動を続ける人々の足を引っ張る積もりはない。ただ当初参加した私と有志は共に現役の自営業者であり、この種の活動に加わるにはまだ数十年早かったと言わざるを得ない。少なくとも現在の運営と組織を見聞してきた以上、高齢者クラブ同然でありそれ以外の人の参加は私なら勧めない。

参加することで時間と行動を共にし、価値観を共有する仲間と出会えるのは金銭に換えられない貴重なひとときである。会員離脱によりここで繋がっていた人々との手が離れるのは遺憾なことではあるが、幸い同じかそれ以上に熱意あり崇高な意志を持ち合わせるメンバーが周囲に沢山ある。私にとって重要なのは活動モチベーションを維持し続けることと、同種の活動のノウハウを自分より若い世代に伝えて後継的活動を志す人を増やしていくことである。今ほど郷土関連活動を生活の中心に据えてしまったからには、私にとってそれはもはや片手間で済ませるべき活動ではない。

組織の問題点は認識しているが、当然ながら現メンバーの誰にも変わるべきことを提言などしていない。ただ、郷土関係の知見は研究会など一部の範囲に限定した人々が持ち合わせるものではなく、もっと広く共有すべきことに私たちは気付いている。私が以前から何処の郷土史研究会にも所属しない一つの理由である。何処の郷土史研究会も高齢化が進み、新規参入者が殆どなく衰退しているのも個人的にはまったく必然の流れに見える。高齢者はまだしもそれより若い人々が入って行ける余地がまったくない。

すべてのコミュニティーには寿命がある。外からの風を入れることを頑なに拒む組織、変わりたがらず新陳代謝がなされない組織の先にあるのは滅亡のみである。確率高く沈みゆくことが分かっている船に乗り続けている理由はない。それ故に組織へ変化を求めることなく、変えた方が良いと思われる部分は先回りして至る所に情報を遺している次第である。
出典および編集追記:

b1. 2019年のビエンナーレは前回開催の2017年に比較して特定のアーティストを招聘しての展示ものや参加型イベントが少なく、またビエンナーレ開催期間中のネット経由の案内も少なかった。特に最終日は2017年は参加者と共にバルーンリリースを行い、事前に最終日イベントの案内も行われたが、2019年には閉幕イベントの案内はもちろん何が行われたのかの報告もなかった。このことより風当たりが強くなる”派手なイベント”を避ける形にシフトしてきたように思われた。