水系カテゴリ

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記事作成日:2022/5/2
最終編集日:2022/7/24
ここでは、物件を撮影した画像(動画を含む)を区分する水系カテゴリについて記述している。
《 概要 》
水系カテゴリは物件を構成する10の主要カテゴリの一つである。現在のところこのカテゴリに収録されている主要なセクションは以下の通りである。
河川、池沼、調整池、排水路
このうち池沼セクションの前身となる溜め池セクションが水系カテゴリで最初に作られた。
排水路セクションが一番最後に河川セクションから分離する形で作成されている。
【 テーマカラー 】
河川カテゴリのテーマカラーを青色と定めている。この色である。

溜め池の水からイメージされる色に依る。海岸カテゴリはこれより濃い紺色、利水カテゴリは薄い水色に設定することで区別している。
【 近接するカテゴリとセクション 】
利水との区別が難しいかも知れない。歴史的にみて現在の活動はダムや工業用水道から始まったことに起因する。これらを早期に利水カテゴリと設定したので、それ以外を水系カテゴリにしている。

厚東川から常盤池へ引水する県営常盤用水路を利水とした後、常盤池から供給する用水路も利水としたので、他の主要な用水路も利水カテゴリに含めている。しかし灌漑用水を貯留する溜め池はすべて水系カテゴリになっている。

上水道と関連する設備が利水カテゴリに含められ、排水路が水系カテゴリに置かれているので、下水道や下水処理施設は水系カテゴリが妥当である。下水道は地表から観察することができないため今のところ物件として記録されていない。下水処理施設のみを建物カテゴリの市の管理物件として分類している。建物カテゴリの階層が深く探しづらくなっているので、下水道サブフォルダを作って移動することを検討中である。

歴史的にみて灌漑用水路には隣接する田へ引水するための堰板を操作する必要上、農道が付随する。それらが後年拡張されて認定市道となっているものが多い。
現状は用水路が完全に暗渠化されているものと通路側に主体があるものは市道および里道に分類し、用水路そのものを重点的に撮影しているもののみ当該用水路セクションに含めている。
《 主要な物件と観察ポイント 》
山野と同様、景観面に見るべきものがある。遠景が写真映えするものが多いので、快晴時の撮影画像が多い。
変化が起きることは少なく、記録上の優先順位は低い。
【 河川 】
現状では河川名をそのままサブフォルダとしている。厚東川のように延長があるものは、道路などと同様に市内外で区切って分類している。

道路や鉄道と異なり、線の要素を持ちながら全線を追跡することが困難である。他の河川との合流点や橋、特殊な構造物のある場所が記録されている。

厚東川の末信潮止井堰は、水量豊富なときに堰を流れ落ちる景観と音を身近に観察できるスポットである。


やや紛らわしいが、河川に堰やダムを建設することで生じた大規模な湖は、当該河川に含めている。具体的には真締川ダムに付随する未来湖は真締川に、厚東川ダムによる小野湖は場所によって厚東川と大田川に含めている。下小野地区にある水位によって変動する陸繋島や河床部にある遺構は、大田川の物件としている。

名称の与えられた河川は市内に限定しても非常に多い。現状は河川名をそのままサブフォルダとしているが、検索が困難なほど多くなってきたので、道路カテゴリと同様に当該河川の管理元(県管理、市の準用河川など)で再分類することを検討している。
【 池沼 】
初期には溜め池というサブフォルダ名だった。後に自然発生由来や早期に使用されることがなくなり殆ど水が溜まらず沼地化しているものも含めて池沼サブフォルダに変更した。

灌漑用溜め池は西日本に多く、中でも本州の西端にある県内で更に平均的標高が低いせいもあって市内にも溜め池は多い。代表格として常盤池は県下最大の灌漑用溜め池であり、歴史的にみても重要な位置を占めている。
殆どすべての溜め池が貯水量確保や老朽化対策として堰堤や樋門が改修されている。築堤初期の姿をとどめたものは殆どないものの、昔の景観を保存している美しい溜め池は多い。
温見地区にある城ノ腰池は、背景に霜降山を眺められる秀麗な溜め池である。


他方、市街部近辺にある溜め池は灌漑用水需要が皆無となった現在では汚染が酷い。学童や釣り客による事故の多発から多くの溜め池が立入禁止となっており、浅い皿池では溜め池管理者が不在となった後で埋め潰され新興住宅地に転用され始めている。

物件の多さは河川以上である。しかし溜め池ごとに水利権者が存在する現状では再分類が殆ど不可能であり、新堤のような同名の溜め池が多発している。今のところ溜め池名を空のサブフォルダとして配下に地域名ごとのフォルダを作って対応している。
【 調整池 】
溜め池の殆どは灌漑用水の貯留という利水目的である。これとは別に保水力が低下した状態の造成地に大雨が降ったとき洪水を防ぐ治水目的で調整池が造られる。広域の造成地では沈砂池建設が義務づけられている。初期には溜め池サブフォルダへ含めていたが、記録物件数が増加したので調整池サブフォルダを作成した。

昭和後期以降のものは構造が概ね共通していて、構造物自体にそれほど見るべきものはない。標高がそれほどない場所に造られたものは、その場所の昔の地勢を解析する上でヒントを与えるものもある。
写真は厚南地区平和町にある竹ノ下調整池


あすとぴあのように造成面積が広い場所では調整池も複数箇所で規模も大きくなる。それらは一通り記録されている。
【 排水路 】
河川以外で雨水の排除を主な目的として造られた人工的な流路である。広義には道路側溝も含まれるが、それらは殆ど記録されていない。規模の大きいものは市の管理する準用河川や指定水路として名前が与えられ河川セクションに含めている。ただし排水路との境目は曖昧である。

排水路それ自体に見るべきものはないが、初期の地形を推測するのに重要な資料となり得ることから、小規模な一部の排水路を河川セクションから切り離して記録し始めた。

主要な河川およびその集水域の水の流れは大体把握されているが、市街部における雨水排除経路の特定は困難な問題である。写真は東芝中水路


河川のみならず排水路も初期の地形解析の資料となり得ることは、道路の方向や敷地の割り振りのような xy 的要素は大きく変化しても、高さの z 要素が大きく変わることは起こりにくいデスクという観測結果に基づいている。
《 必要な客観資料 》
県管理の主要な河川は地理院地図などにも名称が記載されているが、それ以外の微細な河川は地図の規模によっては記載されない。市の準用河川や指定水路、溜め池の名称も地図に名称は記載されない。これらの情報は、市の公開している地区の防災マップに一部記載がみられる。雨水・汚水幹線の情報は市下水道部で計画平面図が閲覧できる。溜め池の詳細な情報は船木支所の農林整備部で閲覧可能である。
《 撮影の優先順位 》
市街地近郊部にある小規模な溜め池は殆ど灌漑用水需要がなく使われておらず、存在自体が危険とみなされて埋め潰される傾向にある。特に新興住宅地需要がなお旺盛な現状では、立地が良ければある程度のコストを掛けてでも埋め潰される。東平原の神田池、旦ノ辻の坊主池が既に姿を消しており、小松原の北にある蟻ヶ迫池も隣接する市道整備で原形を喪いつつある。蛇瀬池のように灌漑用水向けの樋門操作を行わなくなった溜め池もあり、危険な構造物とみなされれば樋門小屋は取り壊されるかも知れない。

幅がそれほどない排水路では、道路幅員を拡げるために暗渠化されることが多い。岬明神川中流域の五十目山では、市道岬赤岸線に沿って函渠に変更されて地表上からは河川の存在自体が見えなくなっている。河川や水路自体の変更がなくても隣接して休耕田となっている場所では、ほぼ間違いなく宅地造成によって景観が変わるので記録が必要である。
《 取り組みを要する課題 》
自然の状態では、水は低い方にしか流れないため河川の経路や溜め池の位置は地形解析の重要な資料となる。考察を要する課題の殆どがこの点に本質を置く。
【 初期の河川経路 】
常盤池とそこに付随する灌漑用水路の築造時期は、資料によりほぼ明らかとなっている。市街部近辺にある主要な溜め池も概ね鵜ノ島開作の後に整備されたと推測されている。これに対して河川は歴史的にみて流路を変更されたものが多く、最初期の流れがどのようであったかの解析は非常に困難である。例えば渡内川・塩田川は上原田炭鉱閉山後の耕地整理で流路を定められたことが判明しているが、それ以前にどのような流路であったかは殆ど知られていない。
【 分水界 】
県内レベルで見れば、降った雨が日本海と瀬戸内海のどちらへ注ぐかの境目となる分水界がある。市内レベルで見ても異なる場所へ注ぐ河川の分水界が何処にあるかの解析は、宅地開発などが進んだ現在では困難なことが多い。

一見フラットに見える市街部でも降った雨は近接するが異なる側溝へ流れる。側溝から指定水路へ、更には河川から海に流れるまでの経路は概ね昔の地形に即している。
【 河川争奪地形 】
上述の河川経路と分水界を統合した初期の地形解析の試みである。県内では島根県益田市で日本海に注ぐ高津川の流れを、深谷川が争奪することにより水の流れが大きく変化した事例が顕著である。

同種の河川争奪地形が疑われている事例として、中山川と蛇瀬川がある。城ノ腰池から温見に流れる河川は、上流部を現在の持世寺川により争奪されたことが疑われているが、裏付け資料は充分でない。
【 由来の分からない溜め池の名称 】
一部の溜め池では、所在地の小字名とはまったく無縁な名称が与えられている。上宇部地区のこっとう池、西岐波村松にあるとん堤などがある。古書をあたることでヒントが得られる可能性はあるにしても、由来が明らかになったものは一つもない。
出典および編集追記:

1.

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