城ノ腰池

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記事作成日:2022/10/17
最終編集日:2022/10/18
城ノ腰(じょうのこし)池は、温見地区の東側、城ノ腰川の上流にある溜め池である。
写真は堰堤からの撮影。


余水吐の位置を中心にポイントした地図を示す。


深山にある大変に美しい灌漑用溜め池である。近年、昔からあった温見地区より霜降山に向かう登山道の一つ温見古道沿いにある。古道の再生者により癒やしの湖という別名が与えられている。[1]
《 概要 》
城ノ腰池は正確には3つの溜め池から成り、もっとも下流側にある池に堰堤が築かれている。


樋門は堰堤の中ほどにあって、水位が下がると現れる。
陶管を繋いで側面に穴をあけて木の栓で締める古いタイプのものである。


古道側に余水吐があり、満水位になると自然に流れ出る。この流水路は現場で加工したと思われる石材で造られている。
石橋が架かっているが、古道からはここを通らなくても堰堤に到達できるせいかあまり通られていない。


水位が低いときの余水吐付近からの撮影。
間知石や堰板を固定する石材らしきものが水没している。


地元の方の話によれば、午前中の早い時間に訪れたとき東から昇った太陽に本城が水面に映って逆さ富士のように見えるそうである。


他に2つある上流側の池はまだ詳細には観察していない。温見古道沿いにある池は水が殆どなく湿地帯のようであった。
《 アクセス 》
持世寺川沿いから入る経路と、温見地区から城ノ腰川に沿って歩く経路がある。前者は登山道から逸れて急な坂を昇って溜め池の裏側に出てくる。後者は距離こそ長いが勾配の緩やかな道である。ここでは温見古道ルートを案内する。

温見地区側は、市道沿いに霜降山の本城登山口と共に案内板が出ている。


ここは厚東川1期工業用水道の No.17 桝がある地点で、これより小川沿いに遡行する道がある。イノシシ避けの金網で里道が塞がれているので、括られている紐を解いて中へ入り元に戻しておく。

川に沿って遡行する一本道だが、途中で本城へ向かう分岐点にやや注意が要る。
三差路になっていて正面左側に石積みが見えるこの場所である。


城ノ腰川はここで左へ折れているので、川に沿って左側の分岐を進む。真っ直ぐ進むと急な登山道となり溜め池を通らずに本城へ向かってしまう。
テンポよく歩けば出発地点よりおよそ15分程度で溜め池に着く。
《 地名としての城ノ腰について 》
城ノ腰はおそらく温見小村に存在する山地字である。地名明細書に記載はないが、厚東地区の小字絵図には城ノ腰の記載がある。
(出典:厚東地区小字絵図)



この地名は、霜降山の築城(と言うよりは土塁)に由来する地名と考えられる。腰は要(かなめ)に通じ、本城に向かうための重要な場所だったのかも知れない。近年、資料を元に復元された温見古道は温見地区側から本城へ至るもっとも難易度の低い(急な斜面の登攀などが少ない)ルートと言われる。
《 個人的関わり 》
2018年6月に訪れたのが最初である。それ以前から厚東川1期工業用水道の桝や正覚寺跡は知っていて、川沿いの奥に溜め池があることは分かっていた。この頃には市内の主要な溜め池は一通り実地に訪れておこうという気があり、道をたどって奥まで進んだ。溜め池への到達が目的でありながら、前項で書いた石積みの分岐路を真っ直ぐ進んでしまい溜め池に出られず延々引き返していた。

初回訪問時は水位が高く、堰堤の下へ降りることができなかった。しかし傍目にも美しい溜め池と感じた。人が訪れることが殆どないせいか堰堤の上は草が伸びていて先へ進むことなく溜め池のみ撮影して引き返している。


2022年春に訪れたときは水位が下がっており、余水吐の周辺と樋門を詳細に撮影している。このときまでに温見古道の話を[1]の記事で知り、城ノ腰池に向かう道沿いと分かった。10月上旬に温見古道の持世寺分岐手前まで歩き、古道を撮影すると共に溜め池の写真も追加撮影している。
出典および編集追記:

1.「宇部・霜降山に新たな登山道『温見古道』 湖へつながる道、地元有志らが整備|山口宇部経済新聞

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