鍋倉橋りょう

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記事作成日:2022/12/31
最終編集日:2023/11/27
鍋倉橋りょうは、県内においてJR山口線の地福〜鍋倉間に架かる一般的な橋りょうである。
写真は線路と阿武川の間にある田園地帯からの撮影。


位置図を示す。


北側からの撮影。


橋台はコンクリート製で、両側の袖部分を石積みにする標準的な構造である。


鋼橋の主要部分はリベット留めで、一部をボルト留めしている。
枕木が動かないように縁の部分で留める構造がみられる。


鋼橋側面にペイント履歴が記録されている。


塗装履歴のところにペイントされている部分で橋の諸元が分かる。


橋より地福駅側。
高い盛土部分が続く。


鍋倉駅側。
地山の高さが追い付くことによって盛土高が下がっている。


ちなみに現地の撮影は2022年12月27日で、鉄道構造物の調査に的を絞って最も遠い徳佐川橋りょうから徳佐駅、鍋倉駅を撮影後に現地を訪れた。写真で分かるように雪が相当残っており、長靴装備での活動となった。
《 鍋倉避溢橋 》
現地で観察する限り、ごく一般的な鋼橋である。しかし建設当時では、この橋りょうは架線や里道との立体交差よりも排水を主な目的に造ったと考えられる。

現在の区間が建設された大正期まで遡って、津和野線線路図といわれる縦断図では、この構造物を鍋倉避溢橋として記載している。
画像は同上資料の接写画像


線路の建設には、縦断勾配が一定限度に収まるように設計される。田園地帯を横切る場合も前後の地形によっては、縦断勾配を和らげるために高い盛土が続く。近くに河川があったり、広大な田園地帯に長い盛土が続くと、大雨や洪水のとき線路敷の盛土に遮られて排水効率が悪くなる。このため盛土部分の一部を橋りょうの形にして水の逃げ口を確保する。主にこのような目的で造られた橋を避溢(ひいつ・ひえき)橋と呼ぶ。文字通り水の溢れるのを避けるための橋と言える。

避溢橋は現代ではまず用いられない語であり、管理上も橋りょうとして命名されている。他の橋りょうと同様に桁下の高さ制限や衝突した際の連絡プレートもあることから、里道が交差していると考えられる。山陽本線の厚東本由良間にある落合橋りょうは、避溢橋の役目も持っていたのではないかと推測されている。
出典および編集追記:

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