道徳橋

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現地撮影日:2016/12/18
記事公開日:2017/1/1
道徳(どうとく)橋沢波川に架かる橋で、上片倉の旧県道付近に架かる橋である。
写真は県道取り付け部からの撮影。


橋の中央部をポイントした地図を示す。


現在ある橋は改良された県道区間から沢波川を渡り昔の道へ降りる途中に架かるもので、橋自体にこれといった特徴はない。
コンクリート床板にガードレールというごく普通の橋で、銘板プレートがあるだけ優秀とも言える。
小さな川に架かる橋ではしばしば省略される


この橋で唯一特徴的なことと言えば…
およそ橋らしからぬその名称だ。


規律正しさを求めるかのような橋の名称に反して、周囲に礼拝所のような存在を想像しそうだ。しかし本当に特別さがない普通の場所である。既に記事化された橋としては、長徳橋を推測させる。

架橋年月は平成9年3月となっているから、まだかなり新しい。


この時期は県道や沢波川の改修を行っていた頃だ。県道西岐波吉見線は4車線に拡幅された上に線形改良されているし、うねうね曲がっていた沢波川も河川改修で川幅を若干拡げられ流路も一部変更されている。道路と河川の一部にでもかかっている部分は、少なくともこの近辺は昔の姿はまるで遺っていないと言っていい。

反対側のガードレールに平かなの読みのプレートが取り付けられていた。
間違いなく「どうとくはし」であった。
銘板のズーム画像はこちら


県道に向かって撮影。
車の出入りを容易にするために片側が隅切りされている。橋に取り付く部分も県道のスロープの途中から分岐しているので下り勾配になっている。


県道側には河川名のプレートが設置されていた。


下流側を向かって河川を撮影。
この沢波川も河川改修で全面的に護岸で補強されている。既に20年が経っていて護岸のブロックから草木が生えていた。


護岸のブロックは片側が練積ブロックなのに対し、一部に空隙を持つブロックが見られる。橋の話題からは離れるが、これは確か「ほたるブロック」と呼ばれていたと思う。
河川の両岸をコンクリートブロックで固めることによって岸辺の浸食がなくなり排水効率も高まった。その半面、滞留できる場所がない護岸ブロックは水生生物にとっては過酷で、蛍の姿が川から消えてしまった。沢波川では河川改修時に水生生物の棲み着きを考慮した構造のブロックを採用している。このブロックは片倉から国道190号交点までの沢波川で特に観察しやすい。

現在の県道は北向き地蔵入口前の三差路を過ぎて沢波川を横断してからは下請川橋まで道路と河川の位置は入れ替わらない。しかし道路改良以前の旧県道は現在の道徳橋付近で2度沢波川を渡っている。それらの橋の名称は不明であり、落とされたり位置を付け替えたりされていていずれも遺っていない。

振る舞いが道徳的であるべきことについてしばしば「モラルが問われる」などと表現する。現代では一見すると環境美化を意図して橋を利用する人々のモラル啓発を意図しているように思われてしまうが、後述するように道徳はこの辺りの小字名であることが明らかになっているので、深く考えずそのまま小字名を橋の名称にしただけであろう。
《 アクセス 》
Google ストリートビューでは県道の反対車線を通っているので遠くから見える程度である。


道徳橋を渡るルートは旧県道の一部のルートだが映像は採取されていない。
FB運用ページへの2度目の投稿。近くに地元管理の道徳公園もあるという指摘がされている。
現地でも地図でもまだ確認されていない
外部記事: 「FBページ|2016/12/18の投稿(要ログイン)
《 個人的関わり 》
注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

記事に用いられている画像は2度目の訪問時の撮影である。
《 地名としての道徳について 》
道徳(どうとく)とはこの橋の場所に存在する小字名である。
画像は岐波地区の小字絵図に現れる道徳。


道徳とは概念を指す一般語であるため、必然的に文化地名である。この近くに道徳と似た明徳(めいとく)という地名表示のなされた電信プレートが確認されているため、宗教にまつわる由来を推測している。同種の地名は古くから修道僧などが集う地に多く見られ、中山観音廣福寺のある周辺には特に多い。ただし明徳とも合わせて地名明細書には収録されていない。

現代では小字表記自体を殆ど見かけないため、住所表示に字道徳が用いられることは恐らくない。他方、小字名としては現役なので登記簿など正規の地番名表示では大字西岐波字道徳のようになるだろう。
出典および編集追記:

1.

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