旧宇部市立図書館【1】

公共施設インデックスに戻る

ここでは、旧宇部市立図書館の建物内部の写真をまとめて収録する。
現在のところ本編【1】のみで外構関連の写真を【2】にしているが、先々で建物内部の詳細な撮影を行うことができた場合はファイル割り当てを変更する。以下の項目は、総括記事を簡素化するために切り取って移動している。
《 建物の内部 》
現地撮影日:2013/10/31
記事作成日:2013/11/16
旧市立図書館の内部を撮影したのは意外に早く、2013年のことである。このときは撮影する目的で現地を訪れたのではなかった。
当時旧図書館の建物1階にあった教育委員会の文化財活用推進室事務所は閉鎖され船木の「学びの森くすのき」に移転している。旧藤山村などの小字を調べようと郷土資料館を訪れて初めて移転を知った。もっとも残務整理があったのか、たまたま1階に居た市職員から説明を受け、小字地図などの資料が郷土資料館か学びの森くすのきのいずれにあるのか調べていただいた。

担当者に調べていただいている間、旧図書館のロビーに招かれそこで待機していた。その間にざっと館内で問題なく行ける場所を撮影してきた。[1]

玄関部分。造りはまったく変わっていない。


最近の変化と言えば、海抜サインの標示が貼られたこと、ふれあい教室の設置である。
入口は学生時代から自動ドアだったと思う。


玄関入口上部には「宇部市立図書館」のサインのうち一部をテープでマスクしている。
ここが再度図書館に戻ることは金輪際有り得ないのだが、もう不要だからと文字プレートを撤去しなかったのは評価に値する。


玄関ロビー。
正直言ってこの場所は通過スペースなので昔からさほど想い出はない。当時図書館を利用していた人も殆ど誰もがスッと通りすぎた筈だ。


通過して何処へ進むのかと言うと…
階段を昇るのである。


今から思えば信じがたいかも知れないが、本を読んだり借りたりする閲覧室は2階にある。エレベーターはなく、階段で昇降しなければならない。
それでは車椅子の人はどうしていたかと言うと…恐らく自分自身が図書館へ出向くのを諦める以外なかったと思う。正直な話、昭和の後期までは図書館に限らず付添人が居ても車椅子の人が容易に外出できる時代ではなかったとすら言えた。バリアフリーという言葉が現れ、段差をスロープに変えて車椅子の人も通れるように改良され始めたのは平成期に入ってからのことである。
階段の左側にはステンレスの手摺りが見えるが、これも私が学生時代通っていた頃には存在しなかった。

壁には一面に風呂場へ施工するような正方形のタイルが貼られている。
昭和時代はトイレをはじめ床や壁など何処にでも普通に施工されていたものだ。現在ではこのようなタイルが入手できるかどうかすら疑問だ。


1階の左奥が事務所になっているというのは、恐らく教育委員会時代に入ってからと思う。1階部分は昔からトイレ以外に訪れたことがない。何に使われていたかも知らない。

大理石張りの階段である。
この階段は本を借りたり勉強に来たりする市民の靴の裏で夥しい回数ほど磨かれた筈である。


階段中ほどの踊り場には独特な明かり採りの窓がある。
もっとも図書館を訪れる人は踊り場の窓などしげしげと観察はしない。私自身、こんな形状だったのかなーと改めて思う次第だ。


踊り場から階段下を撮影。
ロビーの市松模様仕様の床は当時からのものの筈だが、これも記憶がない。


踊り場から上部を撮影していると、不意に正面の部屋のドアが開いた。
撮影中にドアが開いて人物が一部写ってしまったので画像処理しています


現在は不登校児童のためのふれあい教室となっている。
ここはかつて小児用図書が収納された部屋だった。幼児を連れた親は出入りできるが、学生や一般人は入室不可だったように思う。


一般の利用者は階段を上がって右側の突き当たりに進む。
男女別のトイレがあり、正面には木製のドアがあった。


現在琴芝にある図書館にはこんなドアなどない。
しかし旧図書館では階段を上り、閲覧室に入るには自分でこのドアを開けて入らなければならなかった。


出入りが不便ながら、このドアが開放されたことはない。特に夏場はクーラーを入れるし、冬場は暖房が入る。それ以外の季節でもドアが開いていると階段を昇降する人の靴の音が閲覧室まで響く。それ故にドアを開けた人は自分で責任をもって閉めるようになっていた。
閉めるのもそのままだとバタンと音を立ててしまう。当時としては常識の部類なのだが、ドアのレバーを手で押し下げ、その状態を保持してドアを閉めてレバーから手を離す。殆どの来訪者が当たり前のようにそうしていたし、無造作に閉めて大きな音を立てた来訪者には冷たい視線が浴びせられた。何とも面倒くさい作法に思えるかも知れないが、今思えばこの種の「面倒な手続き」を経て誰にも常識的な作法が体得されていた。

今回の撮影で一番感激したのがこの札だ。
「一般閲覧室」と表示された古めかしい札。紛れもなく当時のものだ。もう閲覧室ではなくなっていながらも取り除かずそのままにしているのは本当に素晴らしい。


ドアのガラス越しからも内部は改装され昔の面影がなくなっていることが分かっていた。一応、ドアノブを動かしてみたが施錠されていた。
もしかすると「ふれあい教室」と同様、他の団体が使用するスペースになっているかも知れないので、内部の詳細を写すのは自重し、旧図書館を思い起こさせる部分の撮影に限定した。

一つは天井の電灯と意匠である。これは当時と変わっていない。
天井からぶら下げられた鎖に蛍光灯を取り付けるのも今では殆ど見られない仕様だ。


ドア越しに右上を撮影している。
ここに中二階が造られていて、普段はあまり借り出されない専門書を中心とする書架が並んでいた。


私自身は思い出せなかったのだが、一般閲覧室のドアを開けてすぐの所に冷水器が置かれていた。[5]冷水器は当時まだ珍しかったし、暑い夏場はよく利用した。
書籍の貸し借りを行うカウンターは閲覧室を入って右側にあり、担当者が常駐していた。貸し借りの手続きはまだ電子化されておらず、紙製の図書カードを持参して行っていた。
手元にない…恐らく既に捨ててしまったのだろう

階段踊り場から眺めた外の様子。
当時はしげしげと眺めはしなかったが、もしかするとこの一枚だけで旧図書館の踊り場からの眺めと分かる方がいらっしゃるかも知れない。


以下の2枚は、4年前に撮影したショットである。


まだ玄関の「宇部市立図書館」の文字が隠されずそのままになっていた。


これは2年前の撮影である。
この一枚しかないので正確な場所が分からないが、恐らく建物の裏手ではないかと思う。


ちなみに担当者へ尋ねていた小字絵図の資料などすべては学びの森くすのきへ移転させたという回答があった。
出典および編集追記:

1. 撮影している間も2階のふれあい教室に出入りする方も含めて会釈されるだけで特に注意はされなかった。しかしお一方だけ「ここは一般来訪者が自由に出入りして良い施設ではありません」と言われる方があった。市担当者からここでお待ち下さいと1階のロビーに招かれ待機しており、玄関には一般立入禁止の表示もなく説明に納得がいかなかった。
2階は学校安心支援室(ふれあい教室)となっていて、一般来訪者との極度な接触を避けたい意向による発言と思われる。旧図書館を観に行く方はこのあたりの事情を配慮されたい。

ホームに戻る