旧宇部市立図書館

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記事作成日:2017/8/29
情報この記事は島地区にかつて存在した旧宇部市立図書館について記述しています。
琴芝町にある宇部市立図書館については こちら を参照してください。

旧宇部市立図書館は島1丁目の高台にある建物である。
写真は敷地内からの撮影。


位置図を示す。


地図を拡大表示すると示されるように、現在はこの建物は市教育委員会がふれあい教室および総合教育相談窓口 ほっとらいん宇部の事務所として使用している。[a1]また、同じ敷地内の奥には郷土資料館がある。この資料館も現在は使われていない。

昭和期から平成初期にかけて唯一の市立図書館であったため、多くの宇部市民にとって大変に馴染み深い建物である。一定年齢から上の市民であれば、本に慣れ親しんだ方でなくても旧図書館の位置を即答できる人は多い。旧図書館は市制施行60周年記念事業として、平成3年10月に琴芝町に存在していた宇部紡績工場跡地へ新しい図書館が建設されるまで使われ続けた。[a2]

以下、一般名詞および琴芝町にある現行の宇部市立図書館を指して「図書館」と呼び、島1丁目の現地にあるこの建物を「旧図書館」と記述する。
出典および編集追記:

a1.「宇部市|学校安心支援室

a2.「宇部市|図書館
《 アクセス 》
公共の施設たる図書館は概ね市街部の目抜き通りやそれに準ずる道に面して造られる。ところが旧図書館はそうではなかった。地図で示されるように、旧図書館は産業通り市道小串通り鍋倉線)から離れ、車の離合がそう容易ではない狭い道を進んだ丘にある。特に産業通りから旧図書館までを連絡する道は、現在も市道図書館線という名前で管理されている。

産業通りの広さは旧図書館が存続していた頃と変わりはないが、後述する小串土地区画整理事業が始まるまで県道の小串通り区間は狭かった。浜バイパスは小松原通りを横切った先にまだ広い道がなく、今から思えば車で利用するには大変不便な場所である。もっとも平成初期までは今ほど交通量が多くなかったからさほど問題にはならなかった。
この場所は島1丁目であるが、この住居表示変更が行われたのは小串土地区画整理事業以降であるため、平成初期までは校区名を元にした「鵜の島の(にあった)図書館」という呼び方もよく耳にした。島という名の通り、旧図書館は周囲より一段高い丘状地点に造られている。
派生記事: 島について
旧図書館の用地も土地区画整理の対象からは外され、現在も昔のままの地勢を保っている。
《 変遷 》
【 立地選定の背景 】
最初期にはこの高台は同じ敷地にある旧郷土資料館と共に私有地だった。どのような経緯で市が取得しこの場所を図書館用地に選定したかは明らかではないが、いくつか憶測することができる。
1. 大事な蔵書や郷土資料を水害から護るため。
2. 島地区在住の有力者による影響。
島地区には渡邊祐策翁をはじめ歴代の宇部市長国吉氏など有力者が多く住まう地であった。およそ私利私欲とは無縁な渡邊翁が市民を啓蒙するために図書館用地を提供した、市立図書館の設立に寄付を行った等の理由があるかも知れない。もっとも上記の理由のどれかか両方、あるいはどれでもない事も有り得る。

旧図書館の建設着工は昭和27年6月17日であった。独立した図書館は現在とは異なる市街部で昭和18年11月1日に開館していたが、戦災により建物は元より蔵書15,000冊すべてを焼失している。昭和28年5月25日に完工し、独立図書館の10周年記念式典が執り行われている。[b1]
【 建物の概要 】
鉄筋コンクリート2階建て構造で、広さは337坪、大成建設が1,985万円で落札、建設している。[b2]
写真は正面玄関。


西向きの玄関を入るとロビーで、数脚置かれたソファで待合いに使うことができた。ロビーより正面に一般閲覧室へ向かう階段があり、左側に事務所とトイレがあった。現在は市教育委員会が使用している1階部分の事務所およびその奥には倉庫があるようだが、旧図書館の開館時代から一般の立ち入りはできなかったため詳細は分からない。したがって建物内部の詳細は数年前に撮影したロビーおよび2階の一般閲覧室までに限定されている。
【 閉館と移転 】
平成初期に宇部紡績工場跡地へ市立図書館を新築してからは、旧図書館はその役割を終えることとなった。図書館の利用者増に対して立地が分かりづらく、車での来訪者が一般的となる中で駐車場は如何にも狭かった。一般閲覧室が2階にあってエレベータなどはなく足腰の弱い高齢者には利用しづらく、また蔵書の絶対量も充分ではなかった。閉館の際にイベントなどが行われたかは分かっていない。

この時期は宇部を離れていたこともあり詳細な顛末は分からないが、旧図書館の閉館後は宇部興産(株)の研究室が1階部分を利用していた時期がある。その後旧図書館の1階部分に市教育委員会が文化財活用推進室として事務所を開いた。[b3]
出典および編集追記:

b1.「宇部市|図書館年報」の(平成28年度図書館年報)13 本市の図書館の略年表

b2.「歴史の宇部」(上田芳江)p.158

b3. これに伴い郷土資料館に担当者が常駐しなくなり、常時施錠された状態で見学するには文化財活用推進室の事務所に出向き鍵を開けてもらう手続きが必要になった。更に後年、船木に学びの森くすのきが完成してからは郷土資料館は閉鎖され現在は公開していない。
資料館前の屋外に展示されている史跡などは随時見学可能
建物の内部
昭和中期以前築の建物らしい風合いや意匠、素材が至る所に観察される。特に学生時代から社会人までお世話になった宇部市民は数知れず、郷愁を感じさせる。デザイン面で特に秀でている要素が目立つ建物ではないが、内部の様子を覚えている市民は多い。


階段を上がると特徴的な窓ガラスの目立つ踊り場があり、折り返して上がった正面には小児向けの閲覧室があった。この閲覧室は現在はふれあい教室として使われている。小児向け専用となっていて当時から一般の出入りはできなかった。階段を上がって正面に一般閲覧室へ入る木製の扉があり、昔から入退室の際には各自が開閉することとなっていた。入室して左側に閲覧用のテーブルがあり、正面に貸し出し返却の手続きを行うカウンター、その奥に一般貸し出し向けの書架が置かれていた。また、入室して左側には専門書の書架があり、特に重要な書籍は室内の階段を経て高い位置に排列されていた。

閲覧用のテーブルは一続きの長いものが数台置かれていたが、夏休みなどはいつ来ても学生が占拠していて一般人が閲覧できないという指摘からカウンター近くに一般閲覧用の小さなテーブルが置かれた。貸し出し返却の手続きはカウンターに常駐する司書による手作業だった。
現在、建物は市教育委員会の事務所と学童の教育施設を兼ねて使われていることもあって、他の公共施設のように自由に出入りして内部を撮影できる環境になっていない。開館の曜日および時間帯は一般の官庁に準ずる。撮影する場合は窓口を通し、特に学習している学童への配慮が必要である。
建物の外部
市道図書館線の終点が駐車場となっており、旧郷土資料館と一続きになっている。
写真は敷地の外から見上げるアングルでの撮影。


屋外に展示された史料を実地に観察できる旧郷土資料館のものとは異なり、旧図書館は書籍の貸し借りのみを目的に訪れていたこともあって建物周辺は注意深く観察されていなかった。最近、旧図書館を訪れて外構を調べ歩き時代を物語るいくつかのものを撮影している。詳細は項目のリンク先を参照。
《 個人的関わり 》
後述するように高校時代の通学路途中という好立地故に下校後しばしば立ち寄っている。補習科時代の利用頻度も高かった。以下、ある程度時期をまとめつつ記述している。

注意以下には長文に及ぶ個人的関わりが記述されています。レイアウト保持のため既定で非表示にしています。お読みいただくには「閲覧する」ボタンを押してください。

当サイトにおいて傍目にも非常識と思えるほど膨大でくだくだしい記事を書き連ねることがまったく苦にならないのも、旧市立図書館と大学図書館時代で過ごしてきた数年間があったからと言えよう。

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