不思議数

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記事作成日:2020/2/9
不思議数(weird number)とは、過剰数においてどの約数を除去した和も元の数に等しくできない性質を持つ数である。擬似完全数でない過剰数ということもできる。これらの用語についての説明も含めて詳細は[1]を参照。以下にも簡素な解説を加えた。
《 解説 》
過剰数とは正の整数において、元の数を除いた約数のすべての和が元の数より大きくなる数である。すべての約数を加えたときに元の数の2倍より大きくなる数と言っても良い。この意味で元の数のちょうど2倍になるのが完全数、2倍より小さくなる数を不足数と言う。

完全数と過剰数に任意の数を乗じた数は、かならず過剰数となる。例えば最小の完全数は6であるが、6を除いたすべての6の倍数は過剰数となる。したがって過剰数は無数に存在する。ただしそれら過剰数の多くは構成する約数のうちいくつかを取り除いた和が元の数となる性質を持ち、これを擬似完全数という。そして不思議数とはこの性質を持たない過剰数である。

不思議数は過剰数のうちで小さなグループを構成している。ランダムに過剰数を抽出し、それがたまたま不思議数である確率は極めて低い。そうであってもある不思議数に、その約数の和よりも大きな任意の素数を乗じた過剰数は、再び不思議数の性質をもつ。したがって疎らではありながら不思議数は無数に存在する。

初等整数論における約数と和についてのであり、ある数がどんな約数を持つかは素因数分解の結果に依存するので、他の問題と同様に不思議数の分布や探索も常にある条件を満たす素数の探索に帰着される。
《 未解決な問題 》
以下に不思議数の考察に取り組んだ時点における未解決問題を提示する。ただし相当に以前考察したときのものなので、現在では解決しているものが含まれ得る。
(1) 2以外の平方素因子を持つ不思議数は存在するか?
(2) 素因子2を完全に欠く不思議数は存在するか?(奇数の不思議数)
(1) は考察の過程で個人的に思い付いただけのものであり精査はもちろん予想もされていない。

(2) は著名な数学者ポール・エルデシュの提示した問題であり、それだけに多くの人々によって考察されていると思われる。奇数を小さい方から順次点検したとき不足数となるものが目立つが、絶対値の小さな範囲に観測されないというだけである。最小の奇数の過剰数は 945 であり、過剰数に任意の数を掛けた数は再び過剰数となるので、奇数の過剰数は無数に存在する。しかしながら今まで観測されたすべてが擬似完全数ということである。
《 個人的関わり 》
M.Lines の書籍”数 - その意外な表情”と続編により触発され、レクリエーション数学の過程で付随する問題を考えている。平成初期のことと思われる。完全数や友愛数などでは詳しい研究が行われ数多くの結果が出ていたので、あまり手が着けられていないこの問題を考えてみようと思ったようである。

使いこなせる数学的ツール(周辺の定理など)が手持ちになく、文系の高等数学までの知識とコンピュータを使った数値計算から推論している。現在でも状況は同じだが、当時よりもコンピュータの処理能力が上がっているので1〜2桁上のクラスまでのデータ採取ができるかも知れない。
【 移植公開の理由 】
2019年12月にYahoo!ブログがサービス終了し、記事をサルベージするためAmebaブログへの移行作業を行った。移植後の記事を古い方から点検しているうちにレクリエーション数学としていくつもブログ記事を書いているのを見つけた。いくつか連載しているものもあり、書くだけ書いて非公開のまま放置している記事もあった。過去に自分で書いたはずの記事内容が殆ど理解できないので、改めて論理を追っていく鍛錬のためと、今後Amebaブログが同様にサービス終了したとき再び記事が失われるリスクがあるため、当サイトへ移植することとした。

以下の関連記事リンクに移植公開された記事を提示している。
出典および編集追記:

1.「Wikipedia - 不思議数
2008年にレクリエーション数学の過程でこの問題を考えたときの成果を書いたブログ記事からの転用。
非公開にしていた記事部分も含めて移植している。全3巻。
移植公開記事: 不思議数の探索と予想【1】
ブログ記事自体が十数年前のものであり、その記事も2000年以前に書いた日記から転記しているようなので、現在では自分でも内容がよく理解できない。それ故にブログでは一部を非公開にしていたようであり、本件に関して何か尋ねられても答えられない。

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