不思議数の探索と予想【3】

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記事作成日:2008/6/30
移植公開日:2020/2/9
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不思議数の探索と予想【2】」の続き

正規な不思議数は、さほど多くないと思われる不思議数の中でも更に小さな集団を作っている。先の定理1において Δ は必ずしも2の累乗である必要はなく、2k+1 - 1 よりも大きく、かつ n を構成する最小の奇素数 p よりは小さいだけで足りる。

したがってエレガントさを欠く方法だが、最初に2の累乗を作っておき、次に条件を満たす p を適当に決めて q を探すことで、次の正規でない不思議数が得られている。

25・109・149 = 519712 (Δ = 76),
25・101・167 = 539744 (Δ = 80),
25・97・179 = 555616 (Δ = 88),
26・251・257 = 4128448 (Δ = 136)


更に上のタイプではなく、正規でもない不思議数が存在する。最小の奇素数 p に対して p < Δ という関係式を持つもので、例えば以下の2つがそうである。

23・19・61 = 9272 (Δ = 56),
24・43・107 = 73616 (Δ = 80)


これらの出現パターンはよく分かっておらず、気まぐれに散在しているようにも思える。

この他のパターンとして、2の累乗と奇素数3個以上から構成される不思議数も存在するようだ。そうでありながら、次のパターンの不思議数が存在するかどうか、私はまだ詳細に調べていない。

(1) 2以外で平方素因子を持つもの
(2) 素因子2を完全に欠くもの(奇数の不思議数)


このうち (1) は具体的な探索法を手にしていないだけで、綿密な調査を行えば見つかるかも知れない。同様に、不思議数を構成する素約数の個数にも恐らく制限はないだろうと予想している。既に見てきた方法を援用し、奇素数が2個であってそのうちの少なくとも一方が平方素因子を持つ正規な不思議数が存在しないことは分かっている。

(2) は、不思議数に関する間違いなくもっとも著名な予想である。そして、整数に関する問題の提起と結果を導くことに長けたエルデシュは、次の提案をしたことでもよく知られる。

「奇数の不思議数を見つけたら 10 ドルを、そんな数は
存在しないという証明ができたら 25 ドルを提供しよう」


今は亡きポール・エルデシュの懸賞は、現在からすれば些か安すぎる提案でもある。それと言うのも恐らくこの問題は現在もなお解決していないからだ。

奇数の不思議数が存在するか否かについては、奇数の完全数が存在するか否かと同程度の蓋然性をもって語られるようにも思える。数の過剰性を検証する過程でも気付くのだが、素因子2を完全に欠いたとき過剰数となるために他の素因子が満たすべき条件は、格段に厳しくなる。

一般に素因子2を欠いたすべての合成数について、絶対値 |σ(n) - 2n | はどこまで小さくできるか、また、どのような種の値を取りうるか分析することで、いわゆる準完全数・概完全数の問題も含めて手がかりが得られるものかも知れない。

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