未解決物件一覧

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記事作成日:2018/12/31
ここでは、個別の未解決物件の概要を記述している。仮書きの段階なのでジャンル毎の分類はされておらずまとめてここへ書き溜めている。項目が多くなってきたときに個別案件を分離するなどして整理する。
《 厚東川1期工業用水道のNo.13桝 》
項目記述日:2018/12/31
当サイトでは未だ厚東川1期工業用水道に関する記事を作成していないので、ここで概略を記述する。記事作成後は以下の項目ごと移動する。
【 厚東川1期工業用水道とは 】
厚東川1期工業用水道とは厚東川ダムより取り出されたダム水を市街部まで送る工業用水道の一つで、厚東川ダムの完成した戦後のほぼ同時期に竣功し供用開始されたと思われる。山口県企業局の所管であり、改修を重ねて現在も使われている。厚東区関口付近で厚東川を横断する厚東川水路橋が著名であるが、老朽化が激しいためこの区間のみバイパス管を埋設する工事が進められており、現時点で殆ど完成している。バイパス管に切り替えた後は水路橋は除去されることが確定している。

厚東川水路橋で東岸側へ渡った後、導水路は霜降山北側の比較的浅い部分を隧道で通されている。尾根部分を山岳工法の隧道で通し、沢地にはコンクリート橋を架けてドーム状に覆われた導水路となっている。それぞれの沢地は上流・下流に向けての隧道掘削開始地点となっていたようで、隧道完成後は点検用の桝を造って後は流用土で埋め戻している。このようにして造られた桝には上流側からナンバーが振られ、すぐ近くには地下に工業用水道が通っている旨を知らせる標識柱が設置されている。
写真は末信地区にあるNo.22桝


桝番号は隧道水位計の設置されているNo.1から中山分水槽手前のNo.29までが知られ、後年灌漑用の分水を造るなどした場合にはNo.19-1のような子番号が振られたものもある。他方、すべての桝番号が存在しているわけではなく、標識柱のみが設置されていることで後年廃止されたか土砂が被って埋もれていると推察される場所(No.7など)もある。

工業用水道は、しばしば車はもちろんのこと徒歩で到達するのも困難な場所を通されている。前述のように桝は概ね沢地へ設置されるのであたりをつけるのは容易だが、実地の確認作業は非常に難航した。もっとも近年に確認されたのは2013年の春先に発見されたNo.28である。地理院地図には1期工業用水道の経路が水色破線で記載されているが、実際にNo.28が発見された位置はその経路と大幅に食い違っていたのが原因だった。
【 現在おかれている状況 】
No.13桝は、現在なお桝そのものはもちろん標識柱すら発見されていない子番号なしの最後の桝である。No.12は天狗の滝のすぐ下流に存在し、No.14および子番号であるNo.13-1が県道西岐波吉見線の上の湯手前カーブ狭隘区間内側に早くから確認されている。この位置関係よりNo.13は両者の中間地点にある沢地に存在が推察され、これまでに3度の現地踏査が試みられたにもかかわらず未だ見つかっていない。

踏査難航の理由は推定位置の周辺は社有地が多く接近経路の確立が困難なこと、藪漕ぎ可能なシーズン以外の接近がほぼ不可能なことによる。土砂が崩れるなどして桝と標識柱もろとも埋まってしまったか、あるいは桝が埋もれたまま標識柱を除却して位置が分からなくなっている可能性もある。企業局は1期工業用水道の経路と桝の位置を示すマップを所有していると思われるが、ライフラインを扱う重要な施設であり、およそ維持工事関係者以外は不必要な情報であることから一般公開される可能性はほぼないだろう。
出典および編集追記:

1.「宇部ふるさと歴史散歩」p.215

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