生雲ダム【4】

ダムインデックスに戻る

(「生雲ダム【3】」の続き)

ダム管理所の玄関は堰堤入口の反対側にあり、外周部の扉からして施錠されていた。
壁に外灯は付いているが、玄関に鉢物などは置かれておらず庇の雨樋もない。雨水が壁を伝ってできる汚れが侘びしい感じだ。


中には入れないので、門扉越しに撮影する。
生雲ダム管理所という名称になっている。まあ、誰も常駐しないのだからダム事務所とは言わないか…


お節介ながら玄関ドアより覗き込む。ガラス戸の向こうに下駄箱があり、傘が数本放置されていた。
玄関左側に一般家庭の呼び鈴のようなインターホンが見える。ボタンを押すことで最寄りの有人事務所と通話が出来るようだ。
しかし玄関前の扉を施錠していれば用事があっても一般人は使いようがないのでは…


正面玄関横の庭奥には、山手へ伸びる階段があった。
かなり気になる。何か特殊な設備でもあるのだろうか…


階段には敷地横の斜面から到達することができた。

やはり、何かがあった。
階段を上がった先の平場にフェンスで囲まれた何かがある。井戸か何かだろうか…


井戸ではなく、2m四方を大きく囲った中に小さな円筒形の機器がちょこんと置かれていた。
こんな小さな機器を囲むフェンスが仰々し過ぎて些か拍子抜けした。


雨量計だった。
センサーが仕込まれていてこの筒に降り込んだ雨から雨量を計測しているようだ。


中を覗き込んだ。
金網が入っていて、近くの木から落ちた枯れ葉が入り込んでいる。これでも別に計測には支障ないのだろう。


親切にも枯れ葉を取り除こうか…と思ったがやめた。微細なセンサーが仕込まれていて人が触れるだけで誤動作するかも知れないと思ったからだ。
つまらない冗談だけど…悪ガキが柵の中に入って筒の中にシャーッと立ちションしたら…
生雲ダム周辺、短時間に
未曾有の豪雨を観測!!
…なんてアラートが出るのだろうかと妄想してみたり…w


高い場所へ上がったついでにここからダムの方を撮影してみた。


管理棟の全容。
二世帯住宅並みの広さと部屋数がありそうだ。


裏庭へ降りる階段の上から撮影。ちょうど目線の高さにある2階の部屋が好奇心をくすぐった。


失礼して、階段の途中からちょっとばかりズーム撮影。
ダム管理所というイメージではない。窓にブラインドがあり、部屋の奥に押し入れの襖らしきものが見える。一般の民家を覗き見しているようで少々気が引けた。
お節介だがこんな部屋が使われず遊んでいるなんてつくづく勿体ない…


再び管理道に降りた後は、周囲を偵察したり、ダム堰堤へ向かって詳細が足りないと思われる部分を追加撮影したりで、もう殆ど行き尽くした感じだ。結構いい時間になってきた。

最後に撮ったターゲット。
駐車場の端に百葉箱が置かれていた。雨量は管理所裏の雨量計で、気温などはここで計測しているようだ。


そろそろ帰ろうか。
日がかなり傾いてきて、周囲の気温が急速に下がるのを感じていた。

帰りは何処にも寄らないから、お手洗いに行っておこう。
駐車場で車を降りたときからダム管理棟の裏手にトイレがあることに気付いていた。

作業員詰所と倉庫はさすがに鍵が掛かっていた。しかし便所「お手洗い」や「トイレ」と書かないあたり時代を感じさせる)は施錠されていなかった。自然歩道を歩く人々が利用するのを考慮しているようだ。


せっかくなので”小さなお土産”を献上するってことで…
さすがに水洗ではない…しかし手洗いの水は出るし紙もちゃんと備わっていた


それでは、帰りますかな…。
近代的なダム管理所を後にすると、再びいつ行き止まりになるか分からないようなうらぶれた道を走ることになる違和感があった。

県道へ出る直前に、枝道から取り付け部分を撮影しておいた。
もし現地へ行く読者があるとすれば、この景色が参考になるかも知れない。


もっともこの記事を最後までご覧になった私同様に奇特な趣味をお持ちの読者(?)も、実際に現地へ行ってみようとする方は僅少だろう。
生雲ダムは規模が小さく、ダム特有のダイナミズムは感じにくい。周囲も開けておらず眺めが今ひとつだし、ダム下から眺めることも不可能である。
そう言えば両岸共に監査廊への出入口が全く見当たらない…右岸はダム管理所内にあるかも知れないとして左岸は?

しかしダム堰堤上を自由に行き来できて、殆どの設備を近くから眺めることができる点は大変有り難い。私企業たる中国電力の管理物件は、ダムは元より変電所や発電所などいずれも管理が厳しい。遠くから眺めることしか出来ない物件が多い中、生雲ダムの一般向け開放度は大いに評価できる。
ダム堰堤上を開放し両岸の行き来を可能にすることがダム設置の付帯条件だったのかも…
更にここは水路式発電の中継地となっているため、調整池をはじめ他のダムにはない特殊なものも見ることができる。

個人的には結構気に入った物件なので、同じ中電管理の佐々並ダムを観に行く機会があって時間があれば、立ち寄ることがあるかも知れない。
とにかく山奥でケータイは多くの機種で通じない…現地では怪我や事故など起こさないように気をつけて欲しい

ホームに戻る